時は遡る事2010年。

ビクトリア駅からは目と鼻の先、フェロン(Ferron)というギリシャでは珍しい名前の通りにあった当時の僕らの家。 


その夜、仕事を終え明け方近くまでテラスでまったり黒霧島を嗜んでいたところ、自宅下に一人の警官が忍び足で近寄ってきました。

重装備の彼になんだなんだと身を乗り出し下を覗き見ていましたがアジアからの2匹の野次馬に気づいたお巡りさん、『静かに、中に入りなさい』というジェスチャーを送ってきました。

こういう事をされると逆に興味が倍増してしまうのが人間のサガ、僕らはお巡りさんからの盲点に影を潜め 一部始終を観察していました。

お巡りさんは何やら無線でコソコソ話している模様。

するとそこへ1台、2台とサイレンとライトを消したパトカーが音を立てないように徐行しながら侵入してきました。

先に入ってきた数台のパトカーが路肩、建物ギリギリまで乗り上げて車を止め狭くもない道なのになんでだろうと思っていたのですがその後新たなるパトカーか続々と列を連ね追尾。

みるみるうちに家の前の道はパトカーでいっぱい。
15台近くはいたんじゃないかと思います。

中から降りてきたのは機動隊のようなゴツいユニフォームの警察官達。

トランクから防弾盾を取り出し武器類も装着、物々しい雰囲気になってきました。

この時点では僕はいつもの様に、デモ隊との衝突に備えているのかなくらいに思っていたのですが次第に何十人もの機動隊員達は物音ひとつ立てずに2列に並びだしました。

ギリシャではまず”整列”という現象を見る事が出来ないのでそれだけで新鮮。

やればできるじゃないか。

image
(ギリシャの一般的な駐車風景)


しばしこう着状態が続いたのでその隙に10番(業界用語でトイレ)に行き、芋焼酎に消えた氷を継ぎ足しに千鳥足でキッチンの電気をつけたところでドンッ!!!という轟音がしました。

ウイスキーグラスをそのまま置き捨て現場に競歩で戻るとなんと先ほどの隊列が我が家のメインエントランスからアリの行列の様に一気に進行中。

まさにSAT突撃の瞬間の様に。

1階(日本でいう2階)に位置していた当時の家、エントランスからホールを抜け10数段の階段を2回越えると僕らの家の玄関でした。

いつもは静かな階段がバタバタバタバタとドラムの様な騒音を出し、揺れています。

ある程度まで入口の状況を見た後僕らは階段に面した玄関に移動、扉を開けると短銃やライフルを持った機動隊が間を開けることなく続々と階上にあがっていきました。

大興奮の僕ら、ドア至近からは覗けない階段上の状況が気になって身体中の穴という穴からアドレナリンを大放出中。

我慢しきれなくなって一歩、二歩、三歩と前に進んでいると突然、途中にいた見るからに鬼教官といった風格の人が『こらっ!!何してるんじゃい!今すぐ中に入れ!死にたいのか!?、、ハウス!』とまるでシャー!中の猫のように目を見開いて叫んできました。

親にも、先生にもこんな風に怒られた事がなく、あまりの声量と迫力にびびりまくりその場で足をバタバタする事しか出来なかった僕。

数秒後やっと正気にかえり、すごすごとハウスしました。

ここからはドアに付く小さい覗き穴だけが頼みの綱です。

死にたくはないけど死にたいくらい見たいのです。


後にも先にもこの時程この覗き穴の性能にこだわった事はありませんでした。

魚眼レンズの様な仕組みになっている様ですがレンズ部分周囲に曇りがかかっていて一番見たいところが見えません。

というかそもそも穴は一つしかないので二人で取り合い。



実は僕もゆじろすも3兄弟構成、しかも兄ー姉ー自分という並びも一緒(長男がどうしようもない元ヤンなのも一緒)なので末っ子根性丸出しで我先にとこのわずか数センチの球体を奪い合いました。

多分この瞬間、ビルに住む人全員同じ事をしていて覗き穴稼働率は間違いなく100%だったでしょう。

ここからは代わりばんこに見たので断片的な記憶の中の映像ですがパンパンっ!という銃声と思われる音や怒号とともにハリウッド映画さながらの突入劇が目の前で繰り広げられ、天井は抜けるんじゃないかというくらい揺れていました。

相当数の人数が揉みくちゃになっている様が容易に想像できました。

しばらくすると機動隊に腕や首を掴まれたいかにも悪そうな人たちが続々と連行されていきます。

10人、20人、ものすごい数です。

僕らは再びテラスに戻り、うなだれながらパトカーに押し込まれるその人たちを呆然と眺めていました。

それこそ海外警察映画の最後の方、お決まりシーンの様に青いサイレンランプをつけた無数のパトカーの前で機動隊員たちはねぎらいの言葉を掛け合っていました。

後から聞いた話では結構危険な過激派のアジトに一斉ガサ入れが入ったという事。

状況が悪化して流れ弾にでも当たっていたらと思うと恐ろしいですね。

空も明るくなってきた頃に起こったリアル、ハリウッド風体験。

こんな危ないところに住んでいたんだと改めて気付かされ、この一件の後すぐに新居を探し出し、ついに脱出しました危険地帯ビクトリア。

さようなら、もう2度と僕の人生でここに来る事はないでしょう。

image


引越し先はコロ、人呼んでギリシャの南青山。

ここで大人しくソフィスティケートされた毎日を送ればいいものをまた懲りずに自ら危ないエリアへと足を運んでしまう僕ら。

なぜだろう、街が呼んでいる。


せっかくこしてきた安全地帯、コロを夜な夜な飛び出し向かう先はアテネもう一つの暗黒街。


知ってはいるけど磁石に引き寄せられる砂鉄のように吸い寄せられる僕らの体。

もーどうにもとまらないー。





、、、、、、書き切りたかったけど今日は朝から晩までノンストップで働いたのでもう限界、というかソファーでおちてしまいました。。 寝ます。

明日はレッドブル2本だな。


おやすみなさい。

image



筆  タカキス

にほんブログ村 ライフスタイルブログ ナチュラルライフへ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ