きもの”浪漫紀行”

きもの屋”巽庵・きく庄”でございます。 本物のきものを愛し、末永くご愛用いただきたいと願っております。

2012年08月

きもの屋日記

8月 晦日。

8,31


暑い一ヶ月でした。

お客様とお話させていただく機会が時々ありましたが
そこでも暑くてスッキリしない、気持ちの晴れない事が多かったです。
何でいい加減な商いをするのだろうと憤る事も多々ありました。
しかし流れが少しずつ、確実に変わってきているように思います。

上質な品物の絶対数は残念ながら大幅に減少しています。
しかし物創りに真剣に取り組む姿が多くなってきています。
「誤魔化しはあくまで誤魔化しであって決して本物にはならない。」という点が
最近明確になってきているように思います。
いい加減な古着ではない、永い時代を活きる、
お召しいただく方を活かす品物を創ろうという本来の熱い意気込みを感じます。

もっと大きく目を開き、これからも上質の品物を追求し続けようと思います。

今月もありがとうございました。


きもの屋日記

昨日”きもの”の基本として「白の半襟」を挙げました。

「白の半襟」については今も色々なご意見がある事でしょう。
以前も「半襟」のご相談をいただいた時基本的に「白」とお話したのですが
まるでセンスのないご返答という評価をいただいた事があります。
その方は普段から「色半襟」やら「柄半襟」をご利用いただく方だったのですが
礼装、準礼装の際にもそのような「半襟」をご利用であった為違和感を感じていました。

「白半襟」に関しては戦中、戦後の物が不足していた時
色・柄の「半襟」に変わるものとして白生地を切って「半襟」としていた名残という説があります。
確かに明治、大正期の品物を見ると刺繍であったり友禅の「半襟」を多く見かけます。
その様子から察すると上記の説も何となく説得力があります。
しかしそこをもう少し踏み込んで考えてみるとその頃は”きもの”どころではない時代。
物がないから代用品として白生地を利用したという説には無理があるように思います。

また明治、大正期を考えてみると現代に比べれば人々の周辺には今のような色が少なく、
まして照明等も暗かったのでお洒落に派手目の品物を使った事が考えられます。
しかし今の我々の周辺には多くの色、中には原色も多く使われています。
そのような中では「白半襟」が飾り過ぎを避ける方法として最適ではないでしょうか。

そのような観点からも私共の基本として「半襟」には白無地をお勧めしています。

色々な選択肢のある現代ですがだからこそ真の姿を追及すれば明確に答えが出ると思います。

”きもの”の世界の持つ独特の美意識をさらに追求していただければと願っています。

きもの屋日記

台風の影響でしょうか。
南風が心地良いのですがこの後また暑くなるんじゃないのかと不安です。
日中の暑さは決して侮れません。ご自愛ください。

先日ご紹介した「付下着尺」。
あの品物は恐らく記したように、また最近の流れの中では以前以上に
地味な品物として判断されてしまうでしょう。
それ程に最近は派手な造りの目立つ傾向です。
時代の変化もあり一概に今の傾向を否定するものではありません。
しかし”きもの”ならではの特徴を明確に出すのであれば
皆さんがお求めになる「上品さ」を構築する為にもしっかり考えねばなりません。
「地味」と「上品」の違いが益々ぼやけてきてしまっている最近の状況。
私共がもっとしっかりした判断をしアピールしていかねばならないと思います。

”きもの姿”で皆さんに基本としてお考えいただきたい事。

それは「半襟」「足袋」の色。
この二点の「白色」がどれほどまでに全体の印象を決めるかをじっくりお考えください。
全体の趣は滲み出るものと理解していますが基本は上記の色。
そこに「上品」の基本があると思います。

貴女ご自身の個性を活かす為にも覚えておいていただきたい基本の一つです。



プロフィール

巽庵・きく庄店主

巽庵・きく庄店主
学生時代は映画を専攻していた変わり者。きものの基礎を京都の老舗で学び36年。ようやく経験を活かせる年齢になりました。当たり前の事ですが映画製作同様創作を”きもの”の世界にも求めます。周囲との調和も視野に入れ「和」のコーディネートをご提案。お客様の「笑顔」「楽しさ」を追求したいと思っています。商いを通じての社会貢献。それが商いの本来の姿と心に刻み、また後世に本物を伝える事を旨として益々頑張っていきたいと思います。
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巽庵・きく庄店主

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