2017年05月07日

『帝王カバーリ』

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観た人の感想だと若干評価が分かれているような気がしてた。自分も「ギャング系はあまり得意じゃないんだよなー」と思いながら特に過大な期待をせずに観たのだが、とても面白かった

ラジニカーントは今回はギャングのボスという役柄もあり、年相応の貫禄があってとても格好よかった。元々この人は足が長くて動きにキレがあるので、無理に若作りするより堂々としている方が渋みが出ていいと思う。衰えを隠そうとCGや画像処理をしまくるより全然いい。

マレーシアが舞台のこの作品は、マレーシアのランドマークであるツインタワーが印象的に使われている。移民として代々差別を受けながら生きてきた不幸とタミル人の誇りがタミル人の象徴ともいうべきラジ二によって強烈なメッセージを残す。

ギャング映画でも家族ものとうまくシンクロさせるのはインド映画の得意技。この作品、今回の上映ではオリジナルより約10分程度カットされているようだが、ノーカット版を観た人に聞いたところ銃撃戦のシーンなどが減っているのではとのこと。そのためか、より家族に重点が置かれ、さらにテンポが良くなったのではないかと思う。

そもそもギャングはその集団がひとつの「家族」なのだから、インド映画、というか家族を描くのがうまいタミル映画の得意分野なのだ。生々しい銃撃戦のシーンがそれほど多くなかった分、移民達とラジニのギャング一団というタミル人ファミリーがギャングの敵・・という名の辛い歴史や横行する悪に立ち向かうという視点で観れたので、面白かったのだと思う。

ラジ二の奥さん役は、おお、まさかここで使われていたのか!のラーディカー。ボリウッドでもおなじみだ。彼女はなぜか不幸な役どころが多い。

そして脇を固める俳優陣も良かった。
ギャングものは「目」で会話しなければならない。目で受け答えをし、YESかNOかを台詞なしで表現する。誰が味方で誰が敵か、誰が本音を言い、誰が嘘をついているのか。私はタミル映画の俳優はほとんど知らないが、このあたりのやり取りがとてもよく表現されていた。

BGMの使い方も良かった。
ギャング映画らしい緊張感のあるBGMでシーンの雰囲気を盛り上げる一方で、銃撃戦とラップのコラボという現代風の音楽でメリハリをつけていた。

長年のラジニファンだと期待値が上がっていてそれほど高評価ではないのかもしれないが、久しぶりに観た私としては十分にお金と手間をかけて丁寧に作られた作品だと思った。