2017年10月07日

『Udta Punjab』(フライング・パンジャーブ)

秀作。Netflixで既に観た作品だったが、劇場で観て評価が更に上がった。

ドラッグによるハイ状態で自らを鼓舞させるロッカー、事件に巻き込まれて中毒にさせられる少女、ドラッグ漬けの弟を持つ兄、世に蔓延する薬物の根絶を目指す女医。4人の登場人物という点が「ドラッグ」を通じて1つの線でつながっていく。一概に薬物と戦うといってもどのような立場から見るのか?という視点がとてもクリアになっている。自分から望んでなのか、そうさせられたのか、家族の問題、あるいは社会の問題として受け止めるのか。スターでも田舎の少女でも学生でも・・・つまり誰もが当事者になりうる問題なのだ。

シャーヒドは目の演技を見ただけで、今キマってる状態かそうでないかがわかる。
アーリアの演技の魅力はセリフの歯切れの良さなのだと今回気づいた。命令、あるいは啖呵をきるような場面で顕著だ。どんな逆境でもスパっとした口調に強い意思が感じられる。
役者の魅力を余すところなく映像で伝えたカメラも良かった。登場人物たちの「目」の表情を捉える。中毒になった弟は最初目をサングラスで隠していた。
Udta(飛ぶ)なのに海の中に沈んでいるアーリアの回想シーン、牢獄で歌を歌う母親殺しの少年・・短いけれど印象的なシーンがいくつかあった。

今回この映画のプロデューサーが来日してQ&Aを行ったが、パンジャーブ州の薬物汚染はかなり深刻とのことだった。検閲の問題で州政府とのやり取りもいろいろあったとのこと。

薬物が一人の人間を、家族を、そして社会全体を壊していく怖さが練られたストーリーの中に上手に組み込まれていた。