2019年06月22日

『KABIR SINGH』

トレイラーを観て、アル中でヤク中の主人公がどんな酷い人生を歩む話だろうと思っていたのだが、なんとびっくり純愛物語だった。

まず悪いところ。

今の時代、このストーリーはないだろうと。
つまり、主人公がヒロインに一目惚れし、ストーカーまがいのアプローチをしかけ、両想いになるも親の反対にあって・・・という昔のインド映画のラブストーリーで散々観たようなよくある展開だった。

せっかくアル中の有能外科医という面白い設定なんだから、これを生かしてもっと破滅型の人生にしたら良かったのではないかと思う。やってることは自分の思い通りにならなくてグレちゃった少年と同じで、自分語りの青臭い雰囲気に留まってしまっているのがもったいない。

だがこの青臭いクズ男をシャーヒドがとてもうまく演じていた。優しい瞳の奥に潜む狂気みたいな役がとてもいい。甘いシャーヒド、キレたシャーヒド、脱いだシャーヒドなど、ファンなら間違いなく楽しめる。惜しむらくは曲の挿入はあったが、ダンスシーンがなかったこと。恋するあたりで1曲踊って欲しかったなあ。

スピード感あるハードな映像と恋するやわらかな映像との対比、時代の変化を1カットで切り替え、あえてミスマッチさせたBGMや音楽など、「コレかっこいいでしょ」というあざとさとのギリギリのラインをイケてる雰囲気にしているのはやはりシャーヒドのおかげだろう。

インド映画では宗教、身分の違い、親同士の因縁など、必ず何かが起きる。今回は特に障害になる要素が少なかったのでそのあたりも弱いと思った。

例えば『Ishaqzaade』とか、辛口純愛物語っていうのはなかなかいい。まあこの映画はハードなようでいてスイートな話であり、家族は絶対、献身的な友人の存在と、いたってノーマルな内容ではあったが、ラブストーリー大好物の私は決して嫌いではなかった。