2019年12月22日

『ラーンジャナー』(Raanjhanaa)

これも以前観た時と感想が変わった作品。
私はこの作品のテーマを自分の中で消化することができず、結論から言えば好きとは言えない作品だった。というのも誰も幸せになっていないからだ。1つの愛が周りの人すべてを不幸にするなんて辛すぎる。

ではあるが、ストーリーの重さを感じないほどドラマティックできれいな作品となっている。特にヴァラナシの風景が素晴らしく、路地裏の生活感、聖なるガンガーを見渡すガート、ごちゃごちゃした街並みをラフマーンの美しい音楽と共に味わえる。

献身的な愛を貫けることができる喜び・・自己犠牲のうえに成立する愛。
クンダンは幼い時に一目惚れしたゾーヤーへの捧げる愛にのめりすぎるあまり、受け取る愛に対してあまりにも無頓着過ぎる。友人からの、幼馴染の彼女、父からの、どれほどの愛を受けていたのだろうか。もっと周りを見て。あなたの周りにも愛はたくさんあふれているのだから。

最近のインド映画はいろいろなことに寛容で、理想論ではあっても許すことが主流になっている。しかしこの作品はすべての事を拒絶する。宗教も、政治も、実らぬ愛も。そのあたりが以前観た時に辛かったところなのだが、この厳しさもインドなのではないかと思ったのだった。

インドの大学に端を発した学生の政治的活動でクンダンとゾーヤーの力関係が変わってくる。ゾーヤーはクンダンに対して好意を持った瞬間はあっても愛を感じることはなかった。しかしいざクンダンが自分のものだけではなくなった時に嫉妬した。このあたりの彼女の微妙な心の変化はとても興味深かった。特に昨今のインドの情勢を鑑みると、とてもリアリティを持って見られる。

なおシク教徒のことを「ヒンドゥー」と呼ぶシーンがあって、これをある方に尋ねたところ、「シクも一種のヒンドゥーと解釈している人がいるからでは」という答えをもらったのだが、間違っていたらごめんなさい。