2019年12月28日

『燃えよ スーリヤ!!』(Mard Ko Dard Nahin Hota)

私が映画の感想を書く時に使いたくない言葉が「ヤバい」と「今までになかったインド映画」なのだが、悔しいことに、この2つを合わせ持つような作品だった。

間違いなくインド映画ではある。けれどパンフレットにも書かれてたように、香港のカンフー映画の要素を取り入れつつ、アメコミ風でもある。小籠包の中にカレーを入れて日本のワサビをつけてバドワイザーで流し込んだら美味しかった的な、ミックスしたら思いもよらぬ味が発見できたような作品だった。

無痛症で空手マンに憧れる少年が師匠のために戦うというストーリー。はっきりいって大した意味はない。無痛症という設定は面白い切り口だと思った。常にゴーグルを付け、給水するためのリュックを背負っているという謎の設定もよい。映像映えと発想だけで引っ張った感はある。

タイガー・シュロフが美しく魅せるアクションだとしたら、主人公アビマニュは実際にファイティングするアクション。今のボリウッドにはアクション俳優が不足しているので、彼のような俳優が出てくると面白い。今後が楽しみ。チビスーリヤもかわいかった。
ヒロインのラーディカはアクションの経験がなかったそうだが、なかなかいいキレ味だった。

アクションに注目が集まるが、この作品は音楽の入れ方がとてもセンス良かった。アジアのどこかの国で起きた物語のような演出がなされている。細かな心の機微を表現したかのような音楽が随所に入って必要以上にドラマティックだ。

シリアスなのかコメディなのか意味不明、わかるやつだけついてこい、といういい意味で監督のわがままが全面に出ていて、でも私は結構好きだった。監督の強烈なオタク風味にこの作品に対する熱さを感じたのだ。この監督が本格的にボリウッドに入り込んだらちょっと面白いのではないかと思う。