D&Dで趣味英語 【Infinit Region】

「英語は目的ではなく手段」なのでした。英語を学ぼうなんて思っていなかったのに、気づいたら英語漬けになっていた管理人が贈る趣味の世界。 元祖RPG「D&D」こと「DUNGEONS & DRAGONS」を遊びながら熱量を維持。無理しない、自然体で英語に触れる趣味のブログです。

かつてはコミケにもこの名称で参加。好きなルールは「3rd Edition」。「D&D」らしい雰囲気を醸し出しつつ、メカニカルなところがステキだと思います。なお、英語は専門ではありません。むしろ「苦手」です。なのに、今ではふつうに英語サイトや洋書にも触れています。そのきっかけが「D&D」でした。

凍結の剣“Frost Brand”の存在感

全身に冷気をまとい、凍てつくような氷結の刀身を持つ剣。「D&D」ではおなじみの“Frost Brand”が帰ってきました。アイテム集『MORDENKAINEN'S MAGNIFICENT EMPORIUM』では、このほかにも炎の剣“Flame Tongue”、対巨人兵器“Giantslayer”、幸運をもたらす“Greater Luck Blade”など、懐かしい武器がズラリと並んでいます。武器に限ったことではなく、防具でもアイテムでも、ファンならば「おお!」と思うようなラインナップが顔をそろえているのです。

 今回は、そうした武器の中から冒頭の“Frost Brand”について触れていきたいと思います。『MORDENKAINEN'S MAGNIFICENT EMPORIUM』では、マジックアイテムを「データ」ではなく「より物語的な対象」としてとらえることがテーマだとしています。武器というと、「振るってなんぼ」という固定観念があり、命中率やダメージなどのデータ以外でどのくらいの個性を表現することができるのか、なかなかイメージがわかない部分もあります。ですので、今回は「D&D」世界でもかなり有名な“Frost Brand”の描かれ方を見ながら、攻撃時以外の武器の存在感について考えていきたいと思います。

 またぞろ登場となりますがドリッズトです。彼は2本のシミターを操りますが、そのうちの1本が“Frost Brand”です。銘は“Icingdeath”(アイシングデス)。最新の「Neverwinter Saga」の第1巻『Gauntlgrym』では、物語の展開上“Frost Brand”がいつも以上に存在感を示します。以下、人によっては「ネタバレ」と感じる方もいるかもしれません。少しも情報も得たくないという場合は、回避したほうがいいかもしれません。

 さてさて、『Gauntlgrym』(ゴーントルグリム)ですが、失われたドワーフの都です。かつてフェイルーンに栄えたドワーフ文明の頂点、それが“Delzoun”(デルズーン)で、その「王」が君臨する都こそがGauntlgrymだったのです。フェイルーン北方の地下世界のいずこかにあると伝えられるGauntlgrymですが、その所在は長らく謎とされ、正確な位置は誰にも知られることなく長きにわたる年月が過ぎ去りました。この小説では、そんな伝説の都Gauntlgrymを探し求めるクエストが描かれ、やがて物語の舞台はGauntlgrymそのものへと移っていきます。
 ところでドワーフは名匠として知られています。武器や防具などの金属加工の分野で名宝を作り上げ、そして優れた石工として壮麗な建築物を数多く築いてきました。そんなドワーフたちの中にあっても、とりわけDelzounの残した武具の品質は群を抜いて優れているとされています。それはなぜか。職人たちの鋳造技術もさることながら、もう1つ、決定的な「秘密」がその製法に秘められていました。それが原初の存在“Primordial”の力です。この世界を生み出す原動力となり、神々にも匹敵する力を持つという圧倒的な存在。Gauntlgrymは、そんなPrimordialを閉じ込め、その「火」の力を用いて壮大な“Forge”を動かしていたのです。人為的に起こす火力では到底及ばない、純粋かつ根源的な「火」の力。それが伝説的なマジックアイテムを数多く残してきたGauntlgrymの秘密だったのです。物語の後半は、灼熱の“Great Forge”と、Primordialが繋がれた溶岩たぎる封印のエリアが舞台となります。登場する敵も炎のクリーチャーが多数いて、まさに“Frost Brand”がこれほど活躍できるシチュエーションはほかにない、というぐらいの絶好の場面が続きます。

 この物語で「うまい」と思うポイントはドリッズトの操る“Frost Brand”である“Icingdeath”を、たんなる攻撃手段としてはあまり描いていない点にあります。ドリッズトが武器を自在に操って縦横無尽に暴れまわるのはいつものこと。彼が敵を鮮やかに切り裂くのもいつものことです。それが「火のクリーチャーに強い氷の剣」だからといって、あまり演出が新鮮になることはたしかにないかもしれません。本書で“Icingdeath”がうまく描かれているなと感じるのは「戦闘以外」でその存在感を出している点にあります。

 たとえば次のシーン。仲間の“Dahlia Sin'felle”がドリッズトの剣の異常に気付いて指摘してきます。
 Your sword
 Drizzt looked down as his belted scimitar, lcingdeath, and discerned at once the cause of her concern. At the crease where the blade's hilt sat on the scabbard, a line of blue light glowed. Icingdeath always had a bluish tint to it, and often glowed more powerfully, particularly when facing a creature of fire. The scimitar was one of the ancient frostbrands, after all, a weapon built to battle creatures of fire, a weapon hungry for fire elemental blood.
 But Drizzt had never seen it glow while in its scabbard. He grasped the hilt and brought it forth just a bit, and his alcove was bathed in blue light.
 He slid it back into the scabbard and took a deep breath, and told himself that it was just because of the nearness of the ultimate of fire creatures, the primordial.

 “Icingdeath”の本来の性質を描きつつも、「究極の火のクリーチャー」であるPrimordialの存在感をうまく漂わせています。“Icingdeath”が激しく輝けば輝くほど、核心となるPrimordialへと近づいていっているわけですから。

 さて、もう1つ“Icingdeath”の描写から。ふつう、武器というものは攻撃のためにあるものなのですが、“Frost Brand”には防御性能もあります。『MORDENKAINEN'S MAGNIFICENT EMPORIUM』のデータでは、「3+enhancement bonusの2倍」に相当するFire resistanceが得られます。ですから、+3の“Frost Brand”だとすると9ポイントぶんの火のダメージに耐えられることになります。ちょっと火に炙られた程度ではダメージになりません。

 そういう火への耐性が直接描かれている部分もあります。物語の最終局面で、溶岩のほとりのワンシーン。彼がなにを「見たくない」と思っているかなど、重度のネタバレですのでこの1文のみ引用します。
 Without the protection of lcingdeath, the heat proved too intense, but he couldn't help but look down, though he feared what he might see.

 炎で吹き飛ばされても余裕のドリッズト。「奴らドラゴンを連れている」
 "What-?" was all Bruenor managed to say before a great rush of flames poured through the door with a dark form, Drizzt, within them, being carried along by the sheer force of the blast.
 The drow landed in a short run as the flames dissipated, and looked to his friends, wisps of smoke rising from his cloak, Taulmaril in one hand, Icingdeath in the other, glowing fiercely.
 "Oh, joy," Drizzt deadpanned. "They have a dragon."

 なお、この小説『Gauntlgrym』では、もう1本のシミターである“Twinkle”はほとんど出てきません。キャッティ・ブリーから受け継いだ“Taulmaril”は強力な飛び道具として頻繁に使われているのですが。

たんなるアイテム集ではないはず?

 昨年後半にリリースされた製品の中で、このブログでは触れていなかったものを1点拾っておきます。偉大なるモルデンカイネンの名を冠した『MORDENKAINEN'S MAGNIFICENT EMPORIUM』です。
MME_s

 「D&D」のアイテム集というと、おなじみの『Adventurer's Vault』シリーズがありますが、こちらの製品も似たようなもの。見た目も内容もほとんど違いがないため、「なんで『Adventurer's Vault 3』じゃないの?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。なので、いちおう「前置き」からやっておきます。


『Rules Compendium』のシリーズ製品
 この『MORDENKAINEN'S MAGNIFICENT EMPORIUM』は、最近日本でも邦訳が発売された『Rules Compendium』のシリーズ群のうちの1つ。いわゆる「D&D Essentials」というヤツで、中核本の邦題は『ルールズ・コンペンディウム』ですね。新たなエントリーユーザーも視野に入れた仕切り直しのシリーズで、プレイヤー用ルールブック、ダンジョンマスター用のボックスセット、モンスター集のボックスセット……という具合に製品がリリースされてきました。初期のコア・ルールブックとは違ったアプローチで作られたものが多く、「たんなる本ではない」ものも多数あります。たとえばモンスター集の『Monster Vault』ですが、モンスターデータを収録した本のほかに、ゲーム中でマップに配置して使える「トークン」がセットになっていたりと、従来のコア・ルールである『Monster Manual』とは異なる構成に仕上がっています。これと同様に、本書『MORDENKAINEN'S MAGNIFICENT EMPORIUM』も、従来のアイテム集とは違う製品となるように企画されているようですが、できあがった製品を見るかぎりでは、これまでのアイテム集とあまり変わらないものだという印象を受けてしまいます。

Monster_Vault_BOX_s
 参考までに、記事中に出てきた『Monster Vault』の写真。従来の『Monster Manual』に相当する「D&D Essentials」シリーズ製品で、たんなる「本」だけではなく、マップやトークンといったツールも同梱したボックスセット仕様。


データよりも「背景ストーリー」重視
 そのようにパッと見た感じでは新しさを感じない本書『MORDENKAINEN'S MAGNIFICENT EMPORIUM』ですが、コンセプトとして掲げているテーマは従来のアイテム集と異なります。これまでの『Adventurer's Vault』では、アイテムの「データ」が重視されてきました。ですが、今回のこの本では、そういったゲーム中で使われるデータよりも、個々のアイテムの背景にある「物語」に重点を置いたというのです。同書5ページに掲載されている導入部からの引用です。
 Mordenkainen's Magnificent Emporium supplements your DUNGEONS & DRAGONS game in a new way. Of course, it presents items galore of all types, but this tome also puts a lot of emphasis on the fun elements of an item's history, appearance, or folklore.
 The goal of this treatment is to make magic items more magical. Some players see magic items as rules elements to acquire rather than objects of wonder. That's fine if that's how you want to play, but if you're looking for more engaging items and you want to bring a sense of excitement back to their acquisition, Mordenkainen's Magnificent Emporium can help.
 それぞれのアイテムが持つ「由来」「見た目」「伝承」に重きを置きましたよ、と。マジックアイテムを単なるゲーム要素としてみるのも結構だが、アイテムを入手した時の興奮をふたたび味わいたいなら、本書はその一助になりますよ、と言っています。そういうコンセプトですので、本書に掲載されているアイテムは、「データ」よりも先に「ストーリー」などの背景要素を書いておき、データなどのルール要素は後から仕上げていったというのです。これまでのアイテム集とは根本的に異なるアプローチが採られているということなのですね。

 ですが、その効果が大いに発揮されているかというと、ちょっとギモンではあります。けっきょくのところ「データ」のほうが存在感が強く、個々の物品の「背景」や「伝承」といったストーリー要素はそれほど前面に出ているとは感じられないのです。以前にリリースされたモンスター集の製品で『Monster Vault: Threats to the Nentir Vale』というものがあるのですが、これはたんなるモンスターのデータ集ではなく、登場する各クリーチャーを「Nentir Vale」という地域にあてはめて具体的に描いた内容になっていました。ふつうモンスターの解説というと、誰でも応用できるように普遍的で、あたりさわりのない説明が書かれています。ところが、この本では具体的な地域にあてはめることで、それぞれのクリーチャーの生態系や組織活動を細かく描写することに成功していたのです。今回のアイテム集『MORDENKAINEN'S MAGNIFICENT EMPORIUM』が狙うべきだったのも、この路線なのかもしれません。

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 ある特定の地域“Nentir Vale”でのクリーチャー体系を描いた『Monster Vault: Threats to the Nentir Vale』。知的種族が構成する組織や、各地に分布するクリーチャーの生態系など、「血のかよったモンスターマニュアル」とでも言うべき体裁の1冊。収録されたモンスターのトークンとポスターマップつき。『MORDENKAINEN'S MAGNIFICENT EMPORIUM』は、これのアイテム版を目指せればよかったのでしょう。

 と、そのように総じて「ふつう」という印象の本書ですが、返して言えば「いつもどおり十分に使える」ということでもあります。あらゆる製品に斬新さや奇抜さが必要なわけではありませんので、定番のデータ集として大いに活用できるのではないでしょうか。

「なんでクラス?」の吸血鬼

 引き続き『Heroes of Shadow』から「吸血鬼」について触れていきましょう。いわゆるダークヒーローを取り扱うサプリメント『Heroes of Shadow』では、2つの方向から吸血鬼にアプローチしています。1つは「種族」、そしてもう1つが「クラス」です。

 そもそも種族とクラスというものの区分については、次のようにイメージする方が多いのではないでしょうか。

 種族=生来の特徴や身に付いた体質など
 クラス=経験で伸ばしていく技術

 こう考えると吸血鬼が「クラス」というのは、なんかヘンです。スポーツのように鍛錬を積んだら吸血鬼になれるのか? というと、ちょっと違うからです。みんな上記のような「区分け」の先入観があるから、「吸血鬼がクラス扱いです」なんて聞くと「???」と思ってしまうわけです。

 そんな素朴なギモンに答えている記事があります。2011年4月6日の“Design & Development”です。
Design_Development_20110406


 結論から言うと、吸血鬼が「クラス」であるのは、機能性を優先したからであって、上記のような我々が持っている「区分け」のイメージにはいっさいとらわれていないようです。ここで重きが置かれているのは「つねに吸血鬼らしい体験ができる」ということ。「D&D」の「4th Edition(第4版)」では、バトルのときなどに使われる“Power”で個々のキャラクターの個性を表現します。そういった“Power”の多くは「クラス」に依存するものが多いので、より吸血鬼らしい能力やアクションを表現するには、「クラス」の枠組みに当てはめたほうが効果的であるというのです。また、クラスにすることによって「種族+吸血鬼」という表現ができるようになるため「エルフのヴァンパイア」や「ハーフリングのヴァンパイア」といった自由な組み合わせが実現できるようになります。

 一方で、ほかのクラスと吸血鬼を組み合わせたいという要望もあるでしょう。そういったものに対しては「種族」としての吸血鬼であるVrylokaで対応すればよく、あらゆる角度から「吸血鬼」が楽しめるように『Heroes of Shadow』では「種族とクラス両方から」吸血鬼へのアプローチが試みられているというわけです。

 このところ長いエントリが続いたので、ページの読解は避けまして雑談っぽくネタをひろってまとめたいと思います。

 『Savage Species』
 本文の2行目にある書名。かつての「3rd Edition(第3版)」の頃にリリースされたサプリメントで、テーマは「モンスターで遊ぶ」というもの。邦訳されていないものの、それなりに需要はあるんじゃないかと思われますが、この当時は「v.3.5(第3.5版)」への過渡期でもあったので、タイミングが微妙だったのかもしれません。参照記事内で触れられているとおり、TrollやOgreなどと並んでVampireでプレイすることもできました。
Savage_Species_s
 この本に書かれている記述からは、ヴァンパイアをPCとして導入する際には「マジで慎重に検討したほうがいいよ」という切実さが伝わってきます。その理由はいくつかあるのですが、たとえばゴースト、リッチ、ヴァンパイアといったアンデッドを例に挙げて「永遠に葬り去るのが非常に困難」だとしています。たしかに、こういったアンデッドを根絶させるのはなかなかに難しいものがあります。リッチのPhylactery(フィラクタリー=経箱)を探したり、ヴァンパイアの棺を探したりして、ちゃんと「とどめ」を差さないとちっとも倒すことができません。加えて、ヴァンパイアをキャンペーンに導入すると、その便利すぎる移動能力ゆえに、あらゆる遭遇や仕掛けを回避されてしまいます。一方で「招待されないと建物にすら入れない」などの余計な制約があり、いちいち世話が焼けるというかメンドーなことこの上ありません。ですので、当時の『Savage Species』では、「気安く許可すると、きっとDMは後悔しますよ?」と熟考を促しているわけです。そこから見ると、現在の『Heroes of Shadow』などはシステム的にも整理されていることもあってか、じつに堂々とヴァンパイアを導入しています。それだけ「制約」が多いということでもあるのかもしれませんが。「4th Edition(第4版)」は、TRPGらしい「無茶苦茶な自由さ」がないところが、長所でもあり短所でもあるように思います。


 Strahd
 3段落に名前が出てきています。フルネームは“Strahd von Zarovich”で、「D&D」のアンデッド寄せ集め世界「Ravenloft(レイヴンロフト)」でおなじみの吸血鬼。最近だとボードゲームの表紙を飾っておられたりしました。日本では邦訳が少ないせいか、ベテランゲーマーの方々にしか認知がないように思いますが、「D&D」を代表するキャラクターの1人です。
Ravenloft_BG_s
 ボードゲーム『Castle Ravenloft』のボックスアート。いかにもなクラシカルスタイルのStrahdさま。


 さてさて、『Savage Species』の話の続きみたいになりますが、ヴァンパイアが持つ能力は、自由な行動がとれるTRPGではけっこう強力です。とくに「飛行」が便利で、コウモリに変化できるだけでも探索や移動の幅はグッと広がります。ガス状態は「飛行」に加えて「すり抜け」ができますから、ちょっとした窓やレンガの隙間からどこにでも入り込んでいけてしまう凶悪仕様。「D&D」におけるヴァンパイアとしては、上述のStrahdさまがイコニックな例の最右翼ですが、個人的には最近のドリッズトのシリーズに出てくる“Korvin Dor'crae”が八面六臂の大活躍をしていて印象に残っています。Dor'craeはThay(サーイ)のSzass Tam(ザス・タム)の一派に属するヴァンパイアで、探索でも戦闘でも「吸血鬼らしい」能力を生かして、じつにイヤラシイ活躍をします。そのセコい輝きは、立派に助演男優賞に値すると思ってます。


 さて、そんなわけで、わりと反則的な特徴の多いヴァンパイアですが、『Heroes of Shadow』ではバランスをとりつつ魅力を残すという、微妙にうまいラインを狙ってきているのではないかと思います。中二病の自覚がある方には有効な処方箋(というかドラッグ)だと思いますので、興味のある方はぜひ。
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