毎度お世話になりありがとうございます。
キャロル・リード監督の名作『第三の男』。
あまりにも有名なウィーンの大観覧車のシーン。
「ボルジア家の三十年の圧制はミケランジェロ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、そしてルネッサンスを生んだ。でも、スイスの五百年のデモクラシーと平和は何を生んだというんだ？鳩時計だけさ」という名台詞の前になりますが、こんな場面があります。
１９４８年、アメリカ・ソ連・イギリス・フランスの連合国に分割統治されていたオーストリアの首都ウィーンに乗り込んできたジョセフ・コットンが演じるアメリカの三文小説家ホリー・マーチンスが見たのは、彼をウィーンに呼んだ旧友ハリー・ライム（オーソン・ウェルズ）の葬式。
「交通事故で死んだ」と聞かされるも、どうも不審な点が多く、
友情に燃えて真相を調査しようとするマーチンスは、
警察からハリーのやっていた闇商売について聞かされます。
ペニシリンを希釈して売ることにより、
それを服用した子供たちや患者が次々と死亡しているというのです。
にわかには旧友の悪事を信じられないマーチンスは、
死んだはずの旧友ハリーをついに発見し、
いよいよ観覧車で相対することになります。
どんどんと高度の上がっていく観覧車のゴンドラの中、
マーチンスはハリーを問い詰めます。
「君は、自分の売った薬の犠牲者を見たことがあるのか？」
肩をちょっとすくめ、ハリーはこう答えます。
「まぁ、あんまり快適なものじゃあないね。
しかし、“犠牲者”か。ずいぶん感傷的な言葉を使うな、君も」
それがどうしたといわんばかりのハリーの言葉に、
怒りと戸惑いの表情を隠さないマーチンス。
ところが、そんな旧友にまったく取り合わず、
ゴンドラの扉を開け、眼下に広がる遊園地にちらばる人影を見ながら、
さらに、ハリーはこう続けます。
「おい、下を見ろよ。
あそこで動いている点の一つが止まったぐらいで『かわいそう』だと言うのか？
もし、あの点の一つが止まる度に２万ポンド儲かるっていうのなら、
点がいくつあるかって数えるのが当たり前ってもんじゃないのかい？」
今朝から大騒ぎになっている中国産の毒入り餃子のニュース。
いよいよ氷山の一角が姿を現した観がありますが、
赤福や吉兆の騒ぎが一挙に吹き飛ぶほどの事件。
ただの一社で収まるはずはなく、今後も騒ぎは拡大していくでしょう。
中国では死亡例も、餃子混入のメタミドホス
中国製ギョーザの中毒問題で、検出された有機リン系殺虫剤「メタミドホス」による事故などが中国で近年相次ぎ、今年も被害が出たほか、２００４年には死者も出ていたことが３１日までに分かった。
中国メディアによると、今年１月１１日、広東省仏山市でスープ料理を食べた農家の４人が中毒症状を起こし、うち２人が重症となった。スープの中に入った木の実に、約１０日前にメタミドホスが噴霧されていたため、残留農薬が中毒を引き起こしたとみられている。
昨年１２月１７日には、雲南省瀘西県で祝い事の際、もち米でつくった団子を食べた住民２３人が吐き気などの症状に襲われ、３人が重症となった。団子にメタミドホスが混入したことが原因だった。
０４年３月と４月には、四川省で誤って調味料として食品に混入したメタミドホスを食べた農民１２人が中毒を起こし、２人が死亡。同省衛生庁は同４月、注意を呼び掛ける通達を出した。
広東省の電子部品工場では０３年５月、メタミドホスの混入した食品を食べた工員ら１０２人が中毒症状を起こしている。
中国農業省などは昨年１月１日以降、メタミドホスの中国国内での使用、販売を全面的に禁止する通達を出しているが、今年の広東省と昨年１２月の雲南省のケースは通達後に発生し、使用禁止は徹底されていない。
（ここまで）
結局のところ、中国という国の産業で何が問題なのか。
作る側は、意図して危険な薬品を混入したのであれば、
それは買い手を狙った無差別テロに他なりませんし、
知らずに使ったのだとしても、
安全な製品作りをしようと研究する意思と技術が欠如しているわけで、
とてもじゃないけど商取引の相手としては成り立ちません。
それを取り締まるべき中共政府も、
地方の役人レベルでは、知識や最新情報が足りないし、
検査する対象が多すぎて、とてもじゃないけど手が回らない。
もちろん、ちゃんとした技術とモラルで商品を作っている企業もあるでしょうが、
当然のことながらコストをかけた分価格競争で不利になり、生き残りにくい。
情報が公開されない社会体質と、
「安ければいい」「金を儲けた者が正義」という風潮がはびこるゆえの本末転倒。
安いものには安いなりの理由があります。
わが国のマスコミが必死にフォローしようとしている中国のあつかましさと恐ろしさが、オリンピックの年にこのような形で知れ渡るのは実に喜ばしいことであると思います。
「再発防止」とか、「生産者の良心」なんてものを求めても、
最初からそのような心情を持ち合わせていない人々だって存在するのですから、
こちらもそのつもりで戦わなければいけないのではないでしょうか。
本日もジパングをよろしくお願いいたします。
キャロル・リード監督の名作『第三の男』。
あまりにも有名なウィーンの大観覧車のシーン。
「ボルジア家の三十年の圧制はミケランジェロ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、そしてルネッサンスを生んだ。でも、スイスの五百年のデモクラシーと平和は何を生んだというんだ？鳩時計だけさ」という名台詞の前になりますが、こんな場面があります。
１９４８年、アメリカ・ソ連・イギリス・フランスの連合国に分割統治されていたオーストリアの首都ウィーンに乗り込んできたジョセフ・コットンが演じるアメリカの三文小説家ホリー・マーチンスが見たのは、彼をウィーンに呼んだ旧友ハリー・ライム（オーソン・ウェルズ）の葬式。
「交通事故で死んだ」と聞かされるも、どうも不審な点が多く、
友情に燃えて真相を調査しようとするマーチンスは、
警察からハリーのやっていた闇商売について聞かされます。
ペニシリンを希釈して売ることにより、
それを服用した子供たちや患者が次々と死亡しているというのです。
にわかには旧友の悪事を信じられないマーチンスは、
死んだはずの旧友ハリーをついに発見し、
いよいよ観覧車で相対することになります。
どんどんと高度の上がっていく観覧車のゴンドラの中、
マーチンスはハリーを問い詰めます。
「君は、自分の売った薬の犠牲者を見たことがあるのか？」
肩をちょっとすくめ、ハリーはこう答えます。
「まぁ、あんまり快適なものじゃあないね。
しかし、“犠牲者”か。ずいぶん感傷的な言葉を使うな、君も」
それがどうしたといわんばかりのハリーの言葉に、
怒りと戸惑いの表情を隠さないマーチンス。
ところが、そんな旧友にまったく取り合わず、
ゴンドラの扉を開け、眼下に広がる遊園地にちらばる人影を見ながら、
さらに、ハリーはこう続けます。
「おい、下を見ろよ。
あそこで動いている点の一つが止まったぐらいで『かわいそう』だと言うのか？
もし、あの点の一つが止まる度に２万ポンド儲かるっていうのなら、
点がいくつあるかって数えるのが当たり前ってもんじゃないのかい？」
今朝から大騒ぎになっている中国産の毒入り餃子のニュース。
いよいよ氷山の一角が姿を現した観がありますが、
赤福や吉兆の騒ぎが一挙に吹き飛ぶほどの事件。
ただの一社で収まるはずはなく、今後も騒ぎは拡大していくでしょう。
中国では死亡例も、餃子混入のメタミドホス
中国製ギョーザの中毒問題で、検出された有機リン系殺虫剤「メタミドホス」による事故などが中国で近年相次ぎ、今年も被害が出たほか、２００４年には死者も出ていたことが３１日までに分かった。
中国メディアによると、今年１月１１日、広東省仏山市でスープ料理を食べた農家の４人が中毒症状を起こし、うち２人が重症となった。スープの中に入った木の実に、約１０日前にメタミドホスが噴霧されていたため、残留農薬が中毒を引き起こしたとみられている。
昨年１２月１７日には、雲南省瀘西県で祝い事の際、もち米でつくった団子を食べた住民２３人が吐き気などの症状に襲われ、３人が重症となった。団子にメタミドホスが混入したことが原因だった。
０４年３月と４月には、四川省で誤って調味料として食品に混入したメタミドホスを食べた農民１２人が中毒を起こし、２人が死亡。同省衛生庁は同４月、注意を呼び掛ける通達を出した。
広東省の電子部品工場では０３年５月、メタミドホスの混入した食品を食べた工員ら１０２人が中毒症状を起こしている。
中国農業省などは昨年１月１日以降、メタミドホスの中国国内での使用、販売を全面的に禁止する通達を出しているが、今年の広東省と昨年１２月の雲南省のケースは通達後に発生し、使用禁止は徹底されていない。
（ここまで）
結局のところ、中国という国の産業で何が問題なのか。
作る側は、意図して危険な薬品を混入したのであれば、
それは買い手を狙った無差別テロに他なりませんし、
知らずに使ったのだとしても、
安全な製品作りをしようと研究する意思と技術が欠如しているわけで、
とてもじゃないけど商取引の相手としては成り立ちません。
それを取り締まるべき中共政府も、
地方の役人レベルでは、知識や最新情報が足りないし、
検査する対象が多すぎて、とてもじゃないけど手が回らない。
もちろん、ちゃんとした技術とモラルで商品を作っている企業もあるでしょうが、
当然のことながらコストをかけた分価格競争で不利になり、生き残りにくい。
情報が公開されない社会体質と、
「安ければいい」「金を儲けた者が正義」という風潮がはびこるゆえの本末転倒。
安いものには安いなりの理由があります。
わが国のマスコミが必死にフォローしようとしている中国のあつかましさと恐ろしさが、オリンピックの年にこのような形で知れ渡るのは実に喜ばしいことであると思います。
「再発防止」とか、「生産者の良心」なんてものを求めても、
最初からそのような心情を持ち合わせていない人々だって存在するのですから、
こちらもそのつもりで戦わなければいけないのではないでしょうか。
本日もジパングをよろしくお願いいたします。
