京都大学では、現在、いわゆる「非常勤職員」5年雇用契約規定による解雇問題のストライキが行われているようです。「臨時雇いが何を言ってるんだろう」と思われることでしょう。この雇用は、元来法律が想定していた雇用ではなく、派遣切りよりもひどい 単なる時間雇用労働者の正社員化を防ぐ脱法的な運用であることを知ってください。
 京大理事の発言こそがお役所思想、「非常勤職員雇い止め問題」の根元です。現政権の雇用者対策の雛型を見ることができるかも知れません。【リンク
 京大の経営陣を代表した大西理事は、労使交渉において、「非常勤の業務は臨時的で補助的」、「(解雇しても)新たな人を雇うまでだ」と発言しているそうです。
# どこかで聞いたようなせりふです、、、、^^;;

 派遣労働者がはびこったのと同じように、臨時的な職務のための「非常勤職員」が、いつの間にか年間通期雇用で、しかも5年間も継続し、解雇したらすぐに代替雇用が必要な業務を行う職員としての運用が行われるようになったのでしょうか。

 国の法律では、本来、非常勤は「国家公務員法に基き、二箇月以内の任期を限られた職員等の任用」だったようです。ところが、いつの間にか雇用の年限が拡張され、国公立大学法人などでは、労基法の繰り返される契約更新による期限の定めのない雇用にみなされることを防ぐため、年度末に1日のみ契約を切ったりしてきました。採用時に明確に裕紀の労働条件説明を行った文書を渡されずに非常勤になっている人も多くいますし、5年の年限を、実体を無視して法人になってからと説明され、曖昧に扱われている人も多くいるようです。
 すでに東京地裁の判例では、独法前の雇用との関係は認められています。その判決文で裁判官は、『思うに、非常勤職員といっても、任用更新の機会の度に更新の途を選ぶに当たっては、その職場に対する愛着というものがあるはずであり、それは更新を重ねるごとに増していくことも稀ではないところである。任命権者としては、そのような愛着を職場での資源として取り入れ、もってその活性化に資するよう心がけることが、とりわけ日本の職場において重要であって、それは民間の企業社会であろうと公法上の任用関係であろうと変らないものと思われる。
 また、非常勤職員に対する任用更新の当否ないし担当業務の外注化の当否については方針もあろうが、任用を打ち切られた職員にとっては、明日からの生活があるのであって、道具を取り替えるのとは訳が違うのである。』としているところは注目すべき内容です。


 労基法に基づく指導の趣旨を汲めば、その業務が存在し必要であれば、その業務を担っていた人を継続して採用すべきです。何年にもわたって恒常的に業務があるのならば、期限を定めない雇用にすべきです。非常勤は実態、パートタイム労働者なので、関連する法律を元に配慮される権利があるはずです。
○ 事業主は、パートタイム労働者を雇い入れる際、「昇給の有無」、「退職手当の有無」、「賞与の有無」を文書等で明示することが義務化。
○ 通常の労働者と同じ就業実態にあるパートタイム労働者の賃金の決定や教育訓練、福利厚生などすべての待遇について、パートタイム労働者であることを理由に差別的に取り扱うことは禁止。
 同じ就業実態とは以下の(1)〜(3)を満たす場合です。
  (1) 職務内容が同じ
  (2) 人材活用の仕組みや運用などが全雇用期間を通じて同じ
  (3) 契約期間が実質的に無期契約
○ 通常の労働者との均衡を考慮し、パートタイム労働者の職務の内容、成果、意欲、能力、経験などを勘案して賃金を決定することが努力義務化。
○ 事業主は、雇い入れ後パートタイム労働者から求められたとき、そのパートタイム労働者の待遇を決定するに当たって考慮した事項について説明することが義務化。
○ 事業主は、通常の労働者を募集する場合、その募集内容を既に雇っているパートタイム労働者にも周知するなど、パートタイム労働者から通常の労働者への転換を推進する措置を講じることが義務化。
以上の内容から考えれば、京都大学の役員の発言がいかに非人間的、非社会的、なによりも高等教育機関の役員としてふさわしくないかが伺えます。

 京都大学でも、雇用は確保できないといっているこういう理事の報酬はきっと大きいのでしょうね。

【京都大学:役員の報酬等及び職員給与の水準の公表について
理事長:年俸 2,470万円
理事 :年俸 1,700万〜1,850万円


 公立大学法人 大阪府立大学でも似たような問題は存在しているようですが、労働法などの知識を法人が法律に反して労働者に周知していないため、疑問すら感じずにやめている人も多くいるのかも知れません。全国で次年度から国立大学法人だけで1,400人程度が雇い止めとなるそうです。腰掛け、首のすげ替えではなく、熟練した労働者による真に効率的な運営と人材活用の観点からも、法の趣旨をふまえた佐賀大学のような素直な大学運営が行われるように祈ります。
雇い止めの情報

こんな国会質問もあります。何故こういう質問なのかの根拠を考えてみるのもいいかも知れませんね。
平成二十一年二月九日提出
質問第一〇八号
国立大学の雇い止めに関する質問主意書
提出者  山井和則

国立大学の雇い止めに関する質問主意書

 国立大学の雇い止めについて、政府に対し質問する。

一 国立大学で二〇〇九年度中の雇い止めは何件になると国は把握しているか。もし、把握していないなら、早急に調査し、把握すべきと考えるがいかがか。
二 新聞の報道(平成二一年二月八日、共同通信社)では、国立大学で二〇〇九年度中の雇い止めが一三〇〇件超とのことだが、このことを国は把握しているか。
三 二〇〇九年度中に国立大学で雇い止めされる非常勤職員は、雇用契約が満了する職員の何割か。雇用契約が満了しても雇い止めされず、契約更新される職員は何人、何割か。正職員になる職員は何人、何割か。
四 そもそも国立大学で、正職員ではなく、これらの有期雇用の非常勤職員が雇用されている理由は何か。また、有期雇用の非常勤職員が行う業務はどのような内容と国は認識しているのか。つまり、臨時的、一時的な業務でなくても、有期雇用にすることに問題はないか。また、専門的な業務について五年ごとに担当者を替えることに問題はないか。
五 雇い止めされる労働者が従事していた業務のうち、継続される業務は何割か。
六 雇い止めされる非常勤職員のうち、専門的業務に従事する労働者は何割か。
七 雇い止めされた非常勤職員が行っていた業務は今後どうなるのか。その業務自体がなくなるものは何割か。その業務を別の現職員が行うのは何割か。その業務を新たに雇う非常勤職員にさせるケースは何割か。
八 継続される業務において、これまで従事してきた有期雇用労働者を雇い止めして、新しく労働者を雇用することは違法ではないか。あるいは、道義的に問題はないか。
九 非正規雇用労働者の保護が国策として求められる今日において、模範となるべき国立大学がこのような雇い止めを行うのは問題ではないか。
一〇 五年で雇い止めを行い人材を入れ替えることは、長期的にみて国立大学の研究機能を下げることにはならないか。研究の基盤は人材と考えるが、人材を使い捨てにしているのではないか。
一一 このように人材が入れ替わる状況を文部科学省は研究の推進のために問題があると思わないか。また、厚生労働省としては、同じ業務が引き続き存在するのに五年ごとに職員を交替させるというやり方が問題とは思わないか。
            右質問する。