本学では、昨年、裁量労働制が「試行的」に導入され、その評価の説明を聞くことなく、過半数代表者がなぜか再び「試行的」に裁量労働制を実施することを認めました。
 ところで、1966年9月21日から10月5日までの半月にわたって開催された「ユネスコにおける特別政府間会議」で、「教員の地位に関する勧告」が採択されています。
 その内容はご存じですか。
 裁量労働制の試行に当たっては、業務の増加を防ぐという約束を労組委員長が取り付けていたように思ったのですが、この間、様々な業務が増えて、特に非裁量的な業務である講義の担当時間だけでも一気に約10%も増えています。
 一方、給与や手当はカットされたままだけではなく、さらに減額という状況で、他大学との格差は、給与だけではなく研究時間削減、経費削減などの教育研究環境とともにもはやムシできない劣悪な状況となっています。

 裁量労働制では、労働時間を見なし労働時間とし、平均労働時間がおおむね見なし労働時間となるのが基本です。その範囲内で、勤務時間を自由に決めることが労働者のメリットであるとして、労働法制として導入された制度です。
 そのため、裁量性が確保できていることも重要ですが、労使間で業務内容はできるだけ具体的に取り決め、業務量が安易に増加しないように制限を行い、見なし労働時間の妥当性を維持することが求められるようです。

 ところが本学では、選挙で選ばれた過半数代表者は、昨年度一年間の「試行」での労働者の労働時間について説明を受けたのかどうかわかりませんが、労働者に対して特に説明することなく再び「試行」で裁量労働制を行う協定に署名したようです。

 一方、ILO/ユネスコが出した「教員の地位に関する勧告」では、以下のように定められているようです。
89 教員が一日あたり、また一週あたり労働することを要求される時間は、教員団体と協議して定められなければならない。
90 授業時間を決定するにあたっては、教員の労働負担に関係するつぎのようなすべての要因を考慮に入れなければならない。
(a)教員が一日あたり、一週あたりに教えることを要求される生徒数
(b)授業の十分な立案と準備ならびに評価のために要する時間
(c)各日に教えるようにわりあてられる異なる科目の数
(d)教科関係、課外活動、監督任務および生徒への助言(カウンセリング)などへ参加するために要する時間
(e)教員が生徒の進歩について父母に報告し、相談することのできる時間をとることが望ましいということ
91 教員は現職教育の課程に参加するために必要な時間を与えられなければならない。
92 課外活動への参加が教員の過重負担となってはならず、また教員の本務の達成を妨げるものであってはならない。
93 学級での授業に追加される特別な教育的責任を課せられる教員は、それに応じて通常の授業時間を短縮されなければならない。

年次有給休暇
94 すべての教員は、給与全額支給の適正な年次休暇をもつ権利を享受しなければならない。

研修休暇
95(1) 教員は給与全額または一部支給の研修休暇をときどき与えられなければならない。
(2)研修休暇の期間は、先任権および年金のための在職期間に通算されなければならない。
(3)人口集中地帯からかけ離れ、公共当局によってそのように認められている地域に住む教員は、他の教員よりひんぱんに研修休暇を与えられなければならない。

特別休暇
96 二国間および多国間文化交流の枠内で与えられる休暇期間は、勤務と考えられなければならない。
97 技術援助計画に従事する教員は、休暇を与えられなければならない。そして母国における彼らの先任権、昇任資格および年金権は守られなければならない。さらに、彼らの臨時出費をつぐなう特別の措置を講じなければならない。
98 外国からの客員教員も、同様に母国から休暇を与えられなければならず、彼らの先任権および年金権は守られなければならない。
99 (1) 教員は、教員団体の活動に参加できるように給与全額支給の休暇を随時与えられなければならない。
(2) 教員は、彼らの団体の役職につく権利を有するべきであり、このばあい、彼らは公職につく教員と同等の諸権利をもたなければならない。
100 教員は、雇用に先立って行なわれた取りきめにしたがって、正当な個人的理由によって、給与全額支給の休暇を与えられなければならない。

病気休暇と出産休暇
101(1)教員は有給の病気休暇の権利を与えられなければならない。
(2)給与の全額あるいは一部を支払われる期間を決定するに当たっては、教員を長期間にわたって生徒から隔離する ことが必要な場合があることを考慮しなければならない。
102 国際労働機関によって定められた母性保竈の分野における諸基準、とくに1919年の母性保護条約、1952年の母性保護条約(改定)は、本勧告の第 126項の諸基準と同じく、これを実施しなければならない。
103 子どもを持つ女子教員は、失職することなく、かつ、雇用から生ずるすべての権利を完全に保護されて、出産後一年まで追加の無給休暇を、要求によって取得することができるような措置により、教職にとどまることを奨励されなければならない。

教員の交流
104 当局は教育活動にとっても、教員自身にとっても、外国との専門的、文化的交流および、教員の外国旅行が大きな価値をもっていることを認識しなければならない。また当局は、このような機会を拡げるよう努力し、かつ、個々の教員が外国で得た経験を考慮しなければならない。
105 このような交流の希望者の募集は、いかなる差別もなしに行なわれなければならず、また、関係者はいずれか特定の政治的見解を代表するものとみなされるべきではない。
106 外国で研究し、教えるために旅行する教員は、そうするための十分な便宜と、彼らの職と地位に対する適切な保障を与えられなければならない。
107 教員は、外国で得た教育上の経験を、教員の同僚とわかち合うことを奨励されなければならない。

校舎
108 校舎は安全で全体のデザインが魅力的であり、また配置において機能的でなければならない。校舎は効果的な教授、課外活動に役立ち、またとくに農村地域においては、地域社会のセンターとして役立つものでなければならない。校舎は、定められた衛生基準にしたがって、また耐久性、適応性および容易かつ経済的な維持という観点から建設されなければならない。
109 当局は、生徒と教員の健康と安全を、いかなる点でもおびやかすことのないように、学校施設、校舎が適正に維持されることを保障しなければならない。
110 新しい学校を立案する時には、教員代表と協議しなければならない 。既存の学校に施設を新築するかあるいは増築する場合は関係学校の教職員と協議しなければならない。
 表向きの内容よりも、なぜこのようなカタチで条件が定められたのか、が本当は大切なのですけど。

 ちなみに大阪府の高校教員はこの勧告違反でILOに提訴を行っているとか。

 本学の過半数代表者は労組の委員長でもあるわけですが、裁量労働制のあるべき姿だけではなく、ILOの勧告内容についてもご存じなのか?


 少し気になりませんか?