「存在感のない大学」としてすっかり"広報"されイメージが定着してきた本法人ですが、大学の存在意義とはいったい何なのでしょうか。
 そもそも、創設者は別として、現代の私立大学の理事長も含めて、どのように考え、理解しているのでしょう。
 グローバルスタンダードという言葉が使われて久しいですが、日本の高等教育はいったい何のために存在しているのでしょうか。そもそも、国はその存在価値をどの程度認めているのでしょうか。

 公立大学法人 大阪府立大学の設立団体 大阪府の首長、橋下徹知事は、「中途半端な大学」、「税金を投じて大学を運営する必要はない」などと、主張しておられます。確かに、運営資金の出所については、必ずしも税である必要はないのも事実です。しかし、その負担が学生であるかどうかといえばそれは否でしょう。

 橋下知事だけではなく、最近の政治家の先生方の中には、個人的想いだけが先行して、その根拠や位置づけをまったく示さずに主張される先生方が増えています。このことは、科学的根拠に神経質な*はず*の大学教員も、実は同じような行動を取る人が増えています。世間から質が低下している、といわれる所以もこのあたりにあるのでしょうか。

 制度の根拠は、法律や規則、さらにその根拠となる憲法などによるのが筋でしょう。当然、法令の文章の解釈には、言葉遊びではなく、本来目指したその法令の趣旨に考慮すべきでしょう。現代社会においては、さらに国際条約の影響を強く受け、批准した条約の内容にしたがって国内法を調整する必要が生じるようになりました。

 そこで、高等教育に関するグローバルスタンダード、国際条約や様々な宣言を見てみましょう。
 ちなみに、これらの(政府にとって不都合な)条約の中には、最近まで日本語に翻訳すらされていなかったものもあるそうです。
# 優秀な政治家や行政の公務員の方々は、原文ですらすら読めるためのようです。

世界人権宣言(1948年、26条):少なくとも初等の及び基礎の段階の無償化
経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約)(1966年、前文第一部第二部第三部第四部第五部:外務省)第三部13条が高等教育関係
子どもの権利に関する条約(1989年:外務省)
国際人権規約(外務省の説明)
ユネスコ高等教育世界宣言 21世紀の高等教育 展望と行動 あるいはこちら
教育における差別待遇の防止に関する条約(文科省訳)
技術教育及び職業教育に関する条約(文科省訳)

これらに関するコメント、意見など

ユネスコ「高等教育教育職員の地位に関する勧告」について(全国大学高専教職員組合)
ユネスコ高等教育宣言と大学審答申
国際人権規約・高等教育無償化条項の留保撤回を!(日本私立大学教職員組合連合)

 はたしてどれくらいの大学経営者、執行部メンバー、管理職がこれらの資料に目を通しているのでしょうか。政治家も、経済、失業、生活、教育などの関して意見を述べる前に、是非勉強しておいていただきたい資料ばかりです。
 
 産業界との関わりでさえ、世間で言われているような共同研究ではなく、第一義にほかのなにかが規定されています。

 こういう高等教育に必要な教養に関する教育を世間に広めることが、真に世界的視野の社会貢献なのではないでしょうか。その意味で、確かに橋下知事のご指摘のように、教育は失敗しているのでしょう。ひょっとして、これらを全部理解した上で、税金を投入している公立大学としての「個性」を自覚するよう促しておられるのでしょうか。

 
 みなさんは読んでみてどう思われるでしょうか。