【重慶(中国南西部)=池田実】中国の対台湾交流窓口機関、海峡両岸関係協会と台湾側の海峡交流基金会は二十九日、第五回の定期協議を中国内陸部の重慶市で開催した。両者は両岸(中台)間の自由貿易協定(FTA)に当たる「経済協力枠組み協定(ECFA)」について最終合意し、同日午後、中国側の陳雲林会長と台湾側の江丙坤理事長が協定に調印した。 

 ECFAは一九四九年の分断以降、中台が締結する初の包括的な経済協定。これを機に貿易額は大幅に拡大する見通しで、中台は経済の一体化に向けて大きく動きだすことになる。

 ECFAは、貿易額で計百六十七億ドル(約一兆五千億円)、計八百六品目の関税を二〇一三年一月一日までに撤廃することが柱。金融や医療などサービス分野の相互市場開放なども進めるほか、中台間でトラブルの絶えない特許や著作権の問題を解消するため、知的財産権保護の協力協定にも調印した。

 関税撤廃の対象となるのは、石油化学製品や繊維、機械などで、中国向け台湾製品が石油化学製品やプラスチックなど五百三十九品目、台湾向け中国製品が二百六十七品目。個別の関税水準から段階的に引き下げ、最終的にゼロ関税にする。

 撤廃項目数は中国が台湾の約二倍となったほか、中国が台湾に労働市場の開放などを求めないことを約束するなど、中国側が譲歩した形での調印となった。

 中台はそれぞれの手続きを経て、半年以内にECFAを発効させる方針だ。


東京新聞 2010年6月30日
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