日本政府やその御用経済学者、エコノミストたちは、日本の法人税は高過ぎると主張をし続け、法人税減税を行なってきた。1988年に42%だった税率が、2003年には30%に下がっている。

この15年間の消費税の税収は136兆円になったが、同じ時期の大企業から税収(法人3税)は131兆円も減収しており、消費税が大企業の納めるべき法人税の減税・減収の穴埋めに使われているのが実態だ。

法人税の実効税率とは、国税である法人税だけでなく、地方税を含めて、法人企業の利益に課税される税の実質的な負担率を示すものだ。その際、税の一部が税の計算上、損金に算入されることを考慮して算出している。

 日本の場合、国税である法人税の税率(表面税率という)は30%だ。このほかに、地方税が二つある。一つは法人住民税で、これは「法人税額の17・3%」となっている。所得に対する率に換算すると、30×0・173=5・19で、5・19%ということになる。

 もう一つの地方税は法人事業税で、この税率は7・2%(このほかに「外形標準課税」による法人事業税があるが、利益に課税される税ではないので、ここでは計算に入れない)。

 以上の三つの税の税率を単純に合計すると、30+5・19+7・2=42・39で、42・39%ということになる。さらに、三つの税のうち法人事業税については、法人所得を計算する上で損金に算入できることを考慮する必要がある。

 つまり、企業の実際の利益は、税の計算上の所得より法人事業税の分、7・2%だけ大きい。これを考慮して、企業の実際の利益に対する税の負担率を計算するためには、42・39を1・072で割ってやる必要がある。42・39÷1・072=39・54となる。こうして計算したのが実効税率だ。

 日本経団連の御手洗冨士夫会長なども「日本の実効税率は高い」といって、30%に下げることを主張しているが、財務省の資料を見ても、アメリカのニューヨーク市の場合の実効税率は45・95%。日本が高いという主張は根拠がない。

 フランスでは、法人税は33%と日本より高いが、地方税がないので、実効税率も33%で日本より低くなる。しかし、ヨーロッパの場合は従業員の年金や健康保険などのための社会保険料を、日本の企業より多く負担しており、それを抜きにして比較しても現実的な意味は希薄だ。税と社会保険料を含めた企業の負担を計算すると、フランスの方が日本より多くなる。

※法人税率日米比較(法人税、事業税、住民税を含む)財務省06年1月現在
ニューヨーク45.95%、ロサンゼルス40.75%
東京40.69%、日本標準39.54%

スウェーデンの法人税率は28%と低い、だが被雇用者の名目所得の32.42%に相当する額を雇用者が負担する(被雇用者が70歳以上の場合は24.26%)(所得税の最高税率は62%)

■国によって大きく異なる事業主負担の割合

先進国の多くは、医療や年金、介護などで社会保険方式をとっているが、社会保険料の本人負担と事業主負担は各国で異なる。
 
労働者の年収に占める保険料率を、本人負担分と事業主負担分にわけて、国際比較してみると…

給与から天引きされる本人負担は、スウェーデン7.0%、フランス9.6%、ドイツ21.0%、日本10.9%となっています。一方、事業主負担分は、スウェーデン28.6%、フランス32.0%、ドイツ21.0%などと日本の11.3%と日本を大きく上回っているのだ。


自動車会社の医療保険負担日米比較、自動車1台当たり
■米国  GM 17万円〜18万円
■日本 トヨタ 1万円弱 
原価に占める費用だから、輸出競争力に大きく影響している。

※ハワイ州では週20時間以上の就労をする従業員には雇用主が健康保険の負担を義務付けられている。