「奇跡の“すしシャリ”づくり」
(いのちびと2015年11月号より)

Tさんは、二十五歳で脱サラして、回転すし店を起業しました。
ネタは、地元岡山の最高のものを仕込み、大繁盛店となり、店舗数も拡大していきます。
しかし、デフレの進行、大手回転寿司チェーンとの価格競争などで赤字決算に。

家では、認知症となった母親の介護も抱えます。
衰えていく母のいのちに向き合いながら、自分に問いかけました。
何のために生きるのか? 自分の使命とは? そして、志を定めます。

「自分の生きた証として、世の中のためになることをする。本ものの“すし”を届ける」

二十四店舗を八店舗にリストラ。
一皿均一競争と決別し、プレミアムメニューに一新。お客様第一主義の徹底…。
一時、客数は六十%にまで激減するも、新路線を貫きます。

ある日、青森の研修から帰った次男が持参したリンゴを、家族で食しました。
「違う!」、その味は立ち尽くすほどの衝撃だった。
木村秋則さんの“奇跡のりんご“でした。

木村さんが、自然栽培で米作りもしていることを知ると、直ぐに会いに行った。
寿司は「ネタ四分、シャリ六分」と言われます。
米の流通偽装事件などにより、すしシャリは自分が守るとの強い思いがあったからでした。

木村式自然栽培は、農薬・肥料・除草剤を使用せず、大地・水・太陽という自然の力での米作りでした。
まず、自分の田んぼで実践してみます。
稲の根が大きく根付き、「旨い!これはいける」
何よりも「木村さんの精神」に共鳴しました。
人間も自然界の一部という謙虚な視点とバランス感覚を持つこと。まずは心が大事。
Tさんは、NPO法人を発起設立して、農家、事業者、消費者が参加して、安心安全な米づくりにも取組みます。

今、Tさんのシャリは、奇跡の“すしシャリ”です(全国で唯一)。
ミシュランガイドにある「某寿司店」のオーナーは、Tさんの板場でもシャリの勉強をされたそうです。

穏やかな笑顔で言われます。
「『胃が痛くなるほど辛抱して初めて稲はしっかり根を張り、やがて一気に成長する』と木村さんが言われました。足を地面につけて一歩一歩参ります」

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