優しさは愛になる。二人で一つの人生を歩む。
(いのちびと2017年七月号より)

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その日、Aさんは、Kさんとお見合いをした。
Kさんは言った。
「自分には原因不明の病気があります。手が震えて物を落とすことがあります。結婚はよく考えてください」
三時間、二人は話し続けた。
「なんて優しい人だろう。病気の話を聴いて、止めますなんて言えない」
Aさんは、Kさんに嫁ぐを決意した。

結婚後、二人の子どもも授かったが、平穏な暮らしは続かなかった。
Kさんの首に腫瘍があることが判明。
手術後、、首から下は全く動かない寝たきりの状態になってしまった。
Kさんは、「ありがとう」といつも優しく声をかけてくれた。

ある日、Kさんは「お前を道連れにして申し訳ない…」と言った。
そして、男泣きした。
Aさんの前で泣いたのは、生涯でその一回だけだった。
Kさんは、「自分で死ぬこともできない。妻に本当に申し訳ない」と友人に話したそうだ。
Kさんが経営する運送会社は、厳し状況にも陥っていた。

Aさんは、私が全て背負っていく。最後まで看ると決意する。
「強い使命感を感じていました。もう泣くだけ泣きましたので…」
看病、子育てをしながらも「社長」の代役を担った。
現場に飛び込み、自動車部品輸送分野の開拓も、人事管理や社員研修も、経理も…。
経営が持ち直すと、Kさんは「ありがとう」と安心した。

秋の日、Kさんは静かに息を引きとった。
寝室に様子を見に行くと、こと切れていた。
「もういいですね」と、Aさんは思った。
その日は、二人の結婚記念日だった。
結婚十六年、闘病十二年の歩みでした。

今日も、Aさんは社長として朗らかに働いている。
「全てに意味がありました。『なんとか二人の子どもも育てた。孫もできて幸せです』と主人に伝えたいです」
優しさは愛になるを思います。
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