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2014年09月

アート見て歩き〜水野悠衣 展〜

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今日はKUNST ARZTで水野悠衣 個展〜One Scene〜を見ました。

水野さんは京都造形芸術大学で日本画を学んだ後、抽象的な作品を制作し始め、現在は細かいドットによる表現を追究しています。

20号大のパネルの作品群は、水干絵具によって描かれていますが、発色の鮮やかさとともに、日本画の顔料ならではのあたたかみを感じさせます。

水野さんのお話では、ここで抽象化されているのは物のカタチであるのみならず、何かから受けた印象であり、感情や、精神状態であったりするとのこと。

その色彩の組み合わせによって、あるものは挑発的であったり、饒舌であったり、あるものはそっと秘密を語りかけるような、それぞれに違う表情が現れています。

抽象絵画の場合に、そこに意味を読み取ることを拒絶するものもありますが、水野さんの作品は、見ていると自分の中の様々な感情、記憶、思考が刺激され、意識の上層に浮き上がって来るような感じがあります。私はその辺りに、水野さんの絵の面白さと可能性を感じました。

アーチストステートメントで水野さんは「自らの表現に不必要だと思うものを削ぎ落とした結果抽象にたどり着いた。具体的なものを提示しそれで意味を理解しようとする方法より、不特定な形や意味で考えを提示すると複数の思考を与えることができる」と語ります。

削ぎ落とすべきものと、そうでないもの、その厳しい取捨選択を経て見出された世界。そこには感覚の網をくぐり抜けて初めて感得されうる多様性と、深さがあるように思われます。



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手前の展示室。パネルを並べることで、それぞれの個性が際立ち、また関連性が見出されたり、境界線に生じる摩擦を感じたり、楽しめる。(写真では伝わらないが…)


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奥の部屋の小品。同じ写真を何枚もパンチで小さくカットしたものを貼り付けて、出来上がった世界。イメージを再構成する興味深い試み。

http://www.kunstarzt.com/top/top.htm





いのくま亭オープン

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昨年の暮からコツコツ準備を進めて来たギャラリーいのくま亭が、今月からオープンしました。

このブログでも度々経過を載せて来ましたが、古い家屋に手を入れるのは大変でした。また、生活してゆくのも〜。

結局一階の展示室の壁とキッチンは、プロの方にお願いする事になりましたが、最初から任せてしまうよりも、自分でとことんやってみて良かったかな、と思います。

また、色々とご相談に乗っていたき、アドバイス下さったギャラリー関係の皆様、若くて才能豊かな作家さんたちの出会いが、大きな励みになりました。とても感謝しています。

ギャラリーいのくま亭は、通りすがりにふらっと寄ってみようという場所ではありませんが、一度訪れたらまた来たくなるような、そんな場所に育てていきたいです。質の高い若手の作品を少しずつ紹介し、作家のファンが増えてくれるよう、取り組んで行きます。

2014.9.12
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http://galleryinokumatei.flips.jp/mobile/

アート見て歩き〜藤本貴士 展〜

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昨日はkunstarztで藤本貴士 個展〜KISS〜を見ました。

展示は3つのパートに分かれており、それぞれに藤本さんのコンセプトが分かりやすくプレゼンテーションされています。

風景を幾つかのショットで撮影したものをコラージュして円環を形づくる作品は、日頃見慣れた景色からイメージをさらに広げてくれます。
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また、モノクロ写真で月、草木、鳥、雫などを撮影した写真が弧を描くように並べられたものは、自然をテーマにしたシリーズだそうですが、静的な中に自然の強さ、それぞれの生き物たちの絆が表現されており、感動的なものでした。
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もうひとつは、行き交う人々がすれ違いざまにキスをしているように見える瞬間を捉えたもので、これは動画も見ることができました。さりげないユーモアとセンスが光ります。
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藤本さんの写真アートは、コンセプチュアルな中にも気負わず、理屈っぽくならない、素直に感覚で楽しめる世界です。こちらの固定観念を揺さぶる鋭い視点を持ちつつ、鑑賞者へのプレゼンテーションにも神経がゆきとどいている。今回の個展はそんな彼の発想の豊かさと素軽さが楽しめるものでした。

9月の作家&作品紹介

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今月の展示で会場に掲示する作家&作品の解説をご紹介します。

<展示作家紹介>

まりもったん

明治大卒後、パリで暮らし、現在は東京でフランス語教師をしながら銅版画を制作している。都会に暮らす人々の無関心とスノビズムを揶揄するような、独特の雰囲気を持った作品が特徴だが、その中にユーモアが混ざり合い、見るものの好奇心を喚起する。大胆にデフォルメされた人物や風景が紡ぎ出す画面からは、物言わぬ人々の多様な心の物語が伝わってくる。今回はパリ滞在中に撮影した写真も展示する。屋根裏部屋の窓からひょっこり顔を覗かせた猫の写真などは一見の価値がある。
個展は10月。東京、京都、そしてパリを主題にした作品を展示する。
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山原晶子

京都嵯峨芸大卒。淡い色彩を基調とした画面には、夢見るような、仄かな明るさが漂い、見るものの心を癒すような優しさがある。けれど、細部まで丁寧に創り込まれた絵の中の世界は、現代ならではの複雑さをも表している。その一つは心理的な揺らぎである。簡単に言葉にすることのできない、世界に対する悲観と楽観が入り混じったような感情がそこにはある。そしてもう一つは空間表現だ。彼女の絵の中には平穏な具象と背中合わせに、時として唐突とさえ言えるような抽象化が顔を出す。それらが幾つもせめぎ合い、重なり合うことで、絵画芸術ならではの奥行きと緊張感が生まれている。一見平穏で純粋に美しい作品だが、その辺りを意識すると、なかなか一筋縄では行かない、彼女ならではの複雑さと奥深さが感じられることだろう。
11月の個展では、世界はもしかしたら◯◯の中にあるのではないか?というテーマでの新鮮な展示を予定している。
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宮崎敦

成安造形大卒。彼の作品が持っている魅力のひとつは、作品そのものが、理論と感性がせめぎ合う強烈な磁場となっているところだろう。理性では、スーパーやドラッグストアにおける販促物やPOPなどがガチャガチャとひしめき合っている様が、大量消費社会への警告のようにも捉えられるが、一方では、そのあまりにも楽天的な雰囲気が、作品のバイタリティとしてイキイキと輝いているのに驚かされる。恐らく彼自身が、それらのモチーフに魅入られ、感性を開放し、喜々として筆を走らせているのだろう。
一見するとダイナミックで、ちょっと騒がしくもある画面だが、ストロークは確かで、汚れた感じは微塵もない。そして中心を持たない構図にも、背後に強い統率が効いており、作品としての完成度はとても高いことに気付くだろう。
来年1月の個展は、インスタレーションを含んだ面白い展示を見せてくれるようである。
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アート見て歩き〜中道由貴子 展〜

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今日は久しぶりに絵を見て来ました。ギャラリーモーニングの中道由貴子展。

メインになっているのは、鮮やかで美しい色彩に満ちた作品群。

見ていると、変化し続ける映像が次々に網膜に触れてきます。

その動きはきめ細かな液晶テレビを初めて見た時の残像のようでした。

そしてまたそれは、ある種の視覚的愉悦を誘発するように感じられました。

中道さんの絵には、色の上に重なった色が、透けて見えるように工夫されているところがあります。

うかがうと、そういう部分は絵の具を拭き取るとのことでしたが、ムラを出さず、滲まぬように、丁寧に仕上げられています。

そういう工夫とこだわりによって、多くの色を使っても、清潔感があり、うるささを感じない、文字通り透明感を感じさせる画面に仕上がるのでしょう。

現代は様々なビジュアルイメージに溢れているし、コンピュータでイメージを素早く、自在に変えることも当たり前のようになりました。

今の若いアーチストの絵作りもまた、そうしたビジュアルの自由さを試みる傾向があるように思います。

そんな中で中道さんもまた、絵画という手作業において、イメージをどのように重ね合わせ、増幅させて行くのか、というところに関心が向けているように思われます。

そして彼女は、それを常に「動き」の中に求め、独自の美的感興の地平を追求しているように見えました。

以下は個展に寄せたアーチストステートメントからの一文です。

…目を凝らすことと想像を膨らませること、そこに留めることと自由に動かすこと、違ったベクトルに思える行為が重なる瞬間何が見えるのか自分でも知りたくて絵を描いています。

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http://gallerymorningkyoto.com/2014exhibition/nakamichiyukiko2014.html





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