2017年07月08日

すずり天神蔵硯録(硯譜) 中国硯の部−1 端渓石 鐘様硯 銘 寒山

すずり天神蔵硯録(硯譜) 中国硯の部−1 端渓石 鐘様硯 銘 寒山

鐘様硯(しょうようけん)
 タガヤサンの蓋に寒山の金書き
 古布の仕覆
 古い桐箱に次の箱書き  名寒山 鐘聴硯(しょうちょうけん)
 端渓硯(端硯) 山坑 清中期の古硯
 硯のサイズ(蓋なし):14.1×10.5×1.6cm  重量331g
 伝 江戸時代長岡藩所蔵品

すずり天神です。
私の収蔵する硯の中から、日本以外の主に中国の硯を紹介します。
写真につきましては色合わせが困難で、若干実物と異なります。ご容赦ください。
硯の産地や時代は、吟味しているつもりですが、あくまでも私見です。


目次(目録・Contents)はこちら。

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硯面は釣鐘の外形を写し、硯背は釣鐘の文様を写しています。
硯材の石紋は地味で、硯面周囲の石が荒れてきています。
一時期日本で仕事し、現在上海で活躍している硯匠『龔展』(こんてん)氏によると、
このような鐘様硯には実際のモデルが存在するそうです。
この硯の銘は寒山ですので、もしも中国の寒山寺の釣鐘がモデルならば、
清代の火事で焼失しているため、調査は困難ということになります。

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箱書きは、鐘の音を聞く硯「鐘聴硯」となっています。
味わい深い名前ですが、表題としては一般的な「鐘様硯」を採用しました。

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硯面にはまるタガヤサン(鉄刀木)の蓋がつき、金文字で「寒山」と書かれています。

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仕覆も名品です。江戸時代古渡の古布(インド産 紅唐桟(べにとうざん) 経緯双糸の木綿)で、
年代は17世紀遅くとも18世紀とのことです。飾り留め具の雄部分は残っていますが、
先端の糸玉を受ける相手部分は欠落しています。

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硯面硯背の拡大写真です。
竜頭(りゅうず、釣鐘を吊るす部分)の文様は判りにくいです。亀のようにも見えますが、
やはり竜の頭でしょうか。

鐘様硯にはこの硯のように鐘の形と鐘の文様を写したものの他に、鐘の形だけを写し
文様を省略した硯、長方硯の硯面に鐘の形を彫った硯があります。

Posted by inomatte at 23:41│Comments(0) 中国の硯 | すずり天神蔵硯録(硯譜)

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