日本国憲法の誕生-8/第9条修正ドタバタ劇

「日本国憲法」無効論 小山常実著 草思社 1995円
6 第9条修正をめぐるドタバタ劇
帝国議会における大きな修正は、国民主権の明記とともに、戦力を放棄した第9条第2項に「前項の目的を達するため」が挿入されたことである。この修正は、やはり、衆議院憲法改正特別委員会内小委員会で行われたが、国民主権の明記などと異なり、日本側が自主的に動いてできあがったものである。
佐々木惣一の第9条全体への反応
しかし、だからといって、日本側が第9条、特に第2項に賛成していたわけではない。少なくとも本音は、ほとんどの議員が反対であったと思われる。そもそも、マッカーサーは、GHQ案をもとにしてできあがった「憲法改正草案要綱」を日本政府が発表した1946(昭和21)年3月6日には、声明を発して、「将来にわたって如何なる陸海空その他の戦力をも認めず」と明言していた。したがって、「日本国憲法」第9条そのものに反対する議論は、被占領下の日本国では存在しようがなかったのである。
ところが、それでも、衆議院では野坂参三をはじめとする共産党の議員や穂積七郎などが、貴族院では佐々木惣一や沢田牛麿などが第9条に反対していた。
その中でも、佐々木惣一と穂積七郎は、第九条全体に反対していた。穂積は、もう一つわかりにくいが、少なくとも条文で規定することには反対していた。
佐々木は、8月29日貴族院貴族院本会議と9月13日憲法改正特別委員会で、まず第2項については、各国が戦争せざるをえない現実がある以上、戦力と交戦権を放棄するわけにはいかないと述べる。そして、平和主義および侵略戦争の放棄という第1項の趣旨には賛成しながらも、佐々木は、戦争放棄を規定するならば、不戦条約のときのように世界が共同して宣言する形態が望ましいとして、憲法で戦争放棄を行うことに反対する。世界平和は、日本一国ではなく、世界各国が共同して努力し、達成すべきものだからである。
また、佐々木は、日本国民に与える第9条の思想的精神的影響について、次のように危惧を述べている。佐々木は、第9条によって「国民は何だか自分は、国を為す人間として、自主的でない、何か独立性を失ったような、従って朗らかでない、・・・・・日本の国民は果たして、少しも卑屈のような気持を持つことがないと云う風に安心出来るものでありましょうか」(清水伸『日本国憲法審議録』第二巻、原書房、1976年、115頁)と憂えるのである。現実に、戦後日本人の精神に起きた変化は、「卑屈」の二文字で表されるようなものだった。佐々木の危惧は現実のものとなっていくのである。その意味で、佐々木の言葉には注目しておきたい。
第9条第2項への反対
これに対して、共産党の野坂参三、戦後初の東大総長をつとめた政治哲学者の南原繁、沢田牛麿、国際法学者の山田三良は、第2項のみに反対であった。もっとも、山田は、いったん反対した後、国際情勢への配慮などの理由をあげて賛成に回っている。
さて、この中で、もっとも体系的に第2項に反対したのが、南原繁であった。8月27日の貴族院本会議において、まず南原は、国民を防衛する施設をもつのは国家の普遍的原理であるとし、しかも、警察力だけでは治安を守るにも不十分であり、そのためにも国家は軍隊を必要とするのだとする。したがって、軍隊を置かない国家は、「国家としての自由と独立を自ら放棄したもの」(同、20頁)であるとする。いわば、主権国家論の立場から軍備の必要性を主張するのであるが、さらに南原は、将来国連へ加入すべきだという立場からも、第9条2項に反対する。なぜなら、国連とは軍備を備えた独立国家の集合体であり、国連に加入すれば、日本国は、特に国連憲章第42条によって国連軍に兵力を提供する義務を負うことがありうるからである。
沢田も、9月13日の貴族院委員会で、治安の観点からも軍隊がいるとしている。沢田の議論で注目されるのは、連合国は旧枢軸国に小規模ながら軍隊を認めているのだから、日本だけに認めないというようなことは想像しにくいと述べていることである。9月6日の委員会では、沢田は同様の情勢認識から、対日講和会議で、せっかく連合国が日本の軍備を認めるつもりがあったとしても、憲法で戦力不保持を決めておけば軍備をもてないではないか、と述べるのである。
交戦権放棄に対する藤田栄の反対
最後に注目される反対論は、7月9日衆議院憲法改正特別委員会における藤田栄(新光倶楽部)の議論である。藤田は、侵略戦争の放棄は結構なことだとして第9条第1項に積極的に賛成するし、第2項前文の戦力放棄についても反対はしない。しかし、藤田は、自衛戦争や制裁戦争も、したがって交戦権も放棄すべきではないと考える。通常の考え方からすれば、戦力を放棄しながら戦争などできないではないか、ということになろう。しかし、戦争宣言をすれば、現実に武力衝突がないとしても国際法上の戦争状態となる。だから、理論的には、戦力をもたずとも、自衛戦争や制裁戦争をすることができるわけである。それゆえ、藤田は、できるだけ自衛戦争や制裁戦争を行うための便宜を確保しておくために、第2項後文の交戦権の放棄には反対するのである。
交戦権を放棄した場合の日本国および日本国民にとっての損害は、枚挙に暇がない。たとえば他国が日本国に突然侵略してきた場合には、日本の警察隊と民間有志で組織する義勇軍が反撃することになるが、警察隊と義勇軍は軍隊ではないから捕虜になることさえもできない可能性がある。そのため捕らえられた後に虐待されたり裁判抜きで銃殺されてしまう可能性もある。また、交戦権があれば、中立国に対して日本国の敵国に対する武器援助や補助金の送付を止めるように要求することもできるが、この要求権も日本国には存在していないことになる。
交戦権放棄の最大の問題は、他国との関係においてよりも、国内対立が武力対立にまでいたった場合に発生する。日本政府に対して反乱を起こした団体が、たとえば北海道を占拠して政府を組織した場合、第三国がこの政府を承認して交戦団体として承認すれば、かえって反乱団体のほうが国際法上保護されるということになるのである。藤田は、特にこの内乱団体の問題に注意を促して、交戦権否認に反対するのである。
明確な反対論こそ少数派であったが、議会の多数の者が、特に第9条第2項の戦力放棄には疑問をもっていた。たとえば、日本進歩党の原夫次郎は、6月26日の衆議院委員会で、侵略されたときに自衛戦力がなくては自衛権をまっとうできないのではないか、世界連邦ができるということならば、まだそれほど心配しなくてもよいかもしれないとも思う、と述べていた。
しかし、議会全体の雰囲気は、マッカーサー声明がある以上、戦力放棄をやめることはできないというものであった。実際、たとえば、自由党の北玲吉は、6月25日衆議院本会議では永世局外中立運動を起こそうと主張しているが、「此の憲法の草案が発表されました時に、マッカーサー元帥が日本の憲法の進歩性、非常に特色のある進歩性として指摘した所の此の条項でありますから、当局としては変更は困難を感じますと想像します」(同、109頁)と述べている。
第9条の順序入れ替えと「前項の目的を達するため」の挿入
それゆえ、日本側は、第9条について実質的な変更を加えることは最初からあきらめていた。衆議院の小委員会も、もっぱら、原案をもう少し格好のよいものに変更しようとすることのみ、精力をかたむけている。
政府提出案第9条は、第1項で「国の主権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、他国との間の紛争の解決の手段としては、永久にこれを放棄する」とし、第2項で「陸海空軍その他の戦力は、これを保持してはならない。国の交戦権は、これを認めない」と規定していた。
社会党は、小委員会に対して、この規定の修正案を提示する。そして、7月27日の第三回小委員会では、社会党案が論議された。その案とは、「草案第9条の前に一条を設け『日本国は平和を愛好し、国際信義を重んずることを国是とする』趣旨の規定を挿入」(前掲『衆議院帝国憲法改正案委員小委員会速記録「附録」』13頁)する案であった。この案について、鈴木義男は、「唯戦争ヲシナイ、軍備ヲ皆棄テルト云フコトハ一寸泣言ノヨウナ消極的ナ印象ヲ与ヘルカラ、先ヅ平和ヲ愛好スルノダト云フコトヲ宣言シテ置イテ、其ノ次に此ノ条文ヲ入レヨウヂヤナイカ、サウ云フコトヲ申出タ趣旨ナノデアリマス」(前掲『衆議院帝国憲法改正案委員小委員会速記録』78頁)と趣旨説明している。
傍線部のような、情けないなあという感覚は、小委員会の委員にとって共通するものだった。同日、進歩党の犬養健も、吉田安も同旨のことを述べる。こうして消極的に戦争を放棄するのではなく、少しでも積極的な理念から戦争を放棄するという形式をとりたいという雰囲気が固まってくると、芦田他数名は、7月29日の朝に集まり、案文を整理している。
これは、29日の第4回小委員会に提案されているが、第9条の第1項と第2項をひっくりかえす修正案であった。すなわち、第1項で「日本国民は、正義と秩序とを基調とする国際平和を誠実に希求し、陸海空軍その他の戦力を保持せず、国の交戦権を否認することを声明す」と戦力放棄を宣言し、「前項の目的を達するため」という文言で第2項を始めたうえで戦争放棄を述べる案である。芦田によれば、軍備をもたず交戦権を放棄するからこそ戦争がやれなくなるわけだから、第1項と第2項の順序を交代したのである。
そして30日の第5回小委員会では、芦田は、第1項を「日本国民は正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、陸海空軍その他の戦力は、これを保持せず、国の交戦権は、これを否認することを宣言する」とし、第2項を「前項の目的を達する為、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」という案文に整理している。このとおりに決定しておれば、入江俊郎が指摘するように、自衛戦力を肯定する解釈は発生しようがなかっただろう。
もとに戻された第1項と第2項の順序
ところが、社会党の鈴木の質問をきっかけに、第1項と第2項の順序が再びもとに戻され、自衛戦力肯定の解釈が発生する余地が生まれてくる。この30日、鈴木は「今一ツ念ノ為ニ、交戦権ヲ先ニ持ツテ来テ、戦争放棄ヲ後ニ持ツテ来ルコトハ、立法技術的ニ如何デスカ」(同、141頁)と質問する。
これに対して、金森国務大臣は、「是ハ非常ニ『デリケート』ナ問題デアリマシテ、サウ軽々シク云ヘナイコトデアリマスケレドモ、第1項ハ『永久にこれおを放棄する』ト云フ言葉ヲ用ヒマシテ可ナリ強ク出テ居リマス、併シ第2項ノ方ハ永久ト云フ言葉ヲ使ヒマセヌデ、是ハ私自身ノ肚勘定ダケカモ知レマセヌガ、将来国際連合等ノ関係ニ於キマシテ、第2項の戦力保持ナドト云フコトニ付キマシテハ色々考フベキ点ガ残ツテ居ルノデハナイカ、斯ウ云フ気ガ致シマシテ、ソコデ建前ヲ第1項ト第2項ニシテ、非常ニ永久性ノハツキリシテ居ル所ヲ第一項ニ持ツテ行ツタ、斯ウ云フ考へ方ニナツテ居リマス、ソレガ御質疑ト直接関係ガアルカドウカ知リマセヌガ、サウ云フ考ヘデ案ヲ作ツタノデアリマス」(同、141~142頁)と答えている。
金森は、第9条第1項は永久のもの、第2項は当面のものという構成原理によってつくられていると説明したのである。この説明は、社会党の鈴木、進歩党の犬養と吉田の関心を引くことになる。8月1日の第7回小委員会で、犬養は、「是ハ一寸法制局ニ伺ヒマスガ、第9条ノ第1項ハ今一寸鈴木君が触レラレマシタガ、是ハ永久不動、第2項ハ多少ノ変動ガアルト云フ、何カ含ミガアルヤウニ、一寸此ノ間国務大臣ノ御発言ガアツタノデスガ、サウ云フ含ミガアリマスカ」(同、190頁)と質問している。
これに対して、佐藤(達夫)政府委員は、「正面カラサウ云フ含ミガアルト云フコトヲ申上ゲルコトハ出来ナイト思ヒマスガ、唯気持チヲ分リ易ク諒解シテ戴ケルヤウニ、金森国務大臣ハアア云フ言葉ヲ御使ヒニナツタノダラウト思ヒマス」(同)と答えている。すると、犬養は、わが意を得たとばかり、「随テ此ノ順序ハ無意味デナクテ、相当意味ガアル・・・・・」とたたみかけ、佐藤も、「意味ガアルト云フコトヲ申シタイ為ニアア云フ表現ヲ使ワレタト思ヒマス」と応じ、さらに犬養は、「是ハ一応論議ノ対象ニナル」(同)と発言する。
その後、原案の順序がよいか、芦田案の順序がよいか議論される。江藤が簡単に原案を支持すると述べた後、吉田(安)は、「昨日デシタカ、金森国務大臣がガ一寸言ウテ居ラレタ永久ト云フコト、第1項ト第2項の何デスガ、今又法制局ノ佐藤サンカラノ御話、サウ云ツタコトヲ考ヘマスト、大分是ハ強サニ於テ第1項ト第2項―――勿論第2項は何デスガ、含ミガアルヤウ二考へラレルノデスガ、サウスレバ是ハドウデセウカ、ヤハリ原文ノヤウニシテ置イタラ如何デセウカ」(同、一九一頁)と、戦力不保持を永久のものにしないために、原案の順序に戻そうと発言する。
そして、犬養らの進歩党は、原案の順序に引き戻す雰囲気をつくったうえで、第一項を「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、水久にこれを放棄する」、第二項を「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」(同、194頁とする修正案を提案する。この案は、社会党の鈴木と自由党の廿日出が賛成し、小委員会の修正案として決定され、そのまま憲法成文となっている。
日本側の本音は第九条第二項に反対だった
右の過程を見ると、注目すべきことに、第九条に反対こそしないが戦力放棄を永久に行なうことは、社会党の委員も反対だったことが知られる。したがって、保守派も左翼的な党派も日本の政党の本音は第九条第二項に反対であった。左翼的党派も、いまだ、国家とはなにかということについて常識を失っていなかったのである。
もう一点、注目すべきことに、三〇日の金森と鈴木のやりとり、一日の犬養と佐藤のやりとり、それに吉田(安)の発言は、GHQ提出の英訳版では削除されている。削除された発言の内容は入江俊郎のメモによって知られてきたとおりである。ただし、入江メモでは一日に佐藤に質問したのは鈴木になっていたが、質問者は犬養である。しかし、この順序の意味に留意していた部分が削除されたのはなぜだろうか。
犬養や吉田、鈴木らは、「国際紛争を解決する手段として」の戦争は永久に放棄してもよいが、永久に戦力を放棄することはしてはならないと考えていた。それゆえ、将来の憲法改正による戦力保持の可能性を開いておきたい、と考えていた。だからこそ、進歩党や社会党が率先して、第一項と第二項の順序を原案どおりに引き戻したのである。
しかし、日本側としては、将来的に第二項の戦力不保持を改定して武装するつもりであるとGHQに思われたくなかった。実際、後述のように、米国は、一九四五年一月から二月には「日本の非武装化及び非軍事化のための条約案」を計画し、二五年間の非武装を日本国に約束させようとしていた。また、同年二月のGHQ案第八条は、永久に日本国に武装を許さないことを規定していた。
それゆえ、日本側としては、日本の再武装を連想させるような発言をそのまま英訳するわけにはいかないと考えたのではないだろうか。
自衛戦力肯定の可能性
ところが、第一項と第二項が原案どおりの順序に戻り、第二項のはじめに「前項の目的を達するため」が入ったことにより、「前項の目的」をめぐって解釈問題が発生することになる。
「前項の目的」とは、第一項全体か、「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し」か、いずれを指すのか。「前項の目的」が「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し」を指していると解すれば、特に第九条の趣旨が変更されることはない。これに対して、第一項全体を指していると解すれば、自衛戦力肯定論が登場する可能性が与えられるわけである。
だが、自衛戦力肯定論の可能性について、小委員会は無自覚であった。明らかに、小委員会は、「前項の目的」は「……国際平和を誠実に希求し」の部分を指すと理解していた。「前項の目的を達するため」の提案者である芦田は、八月一日の委員会で、「前項ノト云フノハ、実ハ双方トモ二国際平和ト云フコトヲ念願シテ居ルト云フコトヲ書キタイケレドモ、重複スルヤウナ嫌ヒガアルカラ、前項ノ目的ヲ達スル為メト書イタ」(同、194頁)と説明している。政府側の見解も同様のものであった。帝国議会可決後の枢密院第二回審査委員会で、金森国務大臣が「『前項の目的を達するため』とあるのは、第一項の『国際平和を希求』するといふ大目的の意味であり」(前掲村川、211頁)と回答しているからである。
日本国憲法の誕生-9/占領軍制定無効憲法 へつづく
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もくじ
新無効論概略
新無効論概説・問答編
新無効論の目的・論理概略・現実対処法
新無効論と旧無効論
憲法違反と条約違反 ―― 新無効論と旧無効論
改正?破棄?廃止?無効確認?
大日本帝国憲法75条違反
法律論議以前!事実関係からの無効
日本国憲法の死亡 ―― 有効論への即効解毒剤
日本国憲法の誕生 ―― 日本国憲法は講和条約の限度で有効
日本国憲法改正論の欺瞞
憲法業者のペテンにひっかかるな!
法定追認有効説の論理破綻
追認有効説の変形――事実の規範力
保守の思想と保身の欲望
追認有効説の破綻と自画自賛
改憲派は「保守」派ではない!小山常実
4月28日問題!大東亜戦争はどうやって戦争終結できたの?
護憲派改正論者に告ぐ!
護憲派護憲論と護憲派改正論は蚤の曲芸!
憲法改正とは祖先との協同作業のことである
憲法学者の騙しテクニック
元凶は東大法学部
(1)「君主殺し」を叫ぶ国立国会図書館HP監修者
(2)「君主殺し」を叫ぶ国立国会図書館HP監修者
大日本帝国憲法に殉死・清水澄博士
「祓庭復憲」現行憲法無効宣言
「憲法無効宣言」南出喜久治講演録
橿原の宮のおきて
神聖をもとめる心 ──祭祀の統治への影響──
神の差し替え工作(2-1) 神道神学論考
神の差し替え工作(2-2) 神道神学論考
史上最悪宗教「利を権ることを尊べ!」
「生きていく」と「生かされている」
欽定憲法とは76箇条の御誓文
(動画)大日本帝国憲法とは?
大日本帝国憲法とは何か 3-1 小山常実
大日本帝国憲法とは何か 3-2 小山常実
大日本帝国憲法とは何か 3-3 小山常実
國體の下に 序章
國體の下に 1-1 何が私たちを決めるのか
國體の下に 1-2 何が私たちを決めるのか
國體の下に 2 生きている者だけの天国
國體の下に 3 命と人権を越えるもの
國體の下に 4 憲法の向こうにあるもの
國體の下に 5 すべては國體の下に
戦後の「疚しさ」(1)
戦後の「疚しさ」(2)
再考 皇室典範改正 議論すべき五つの論点 (2-1) 小山常実
再考 皇室典範改正 議論すべき五つの論点 (2-2) 小山常実
チャンネル桜 渡部昇一の大道無門 ゲスト:小山常実(3-1)
チャンネル桜 渡部昇一の大道無門 ゲスト:小山常実(3-2)
チャンネル桜 渡部昇一の大道無門 ゲスト:小山常実(3-3)
日本国憲法の誕生-1/政府草案/松本乙案
日本国憲法の誕生-2/松本乙案≒民間草案
日本国憲法の誕生-3/GHQ案押付プロセス
日本国憲法の誕生-4/ポツダム宣言違反
日本国憲法の誕生-5/GHQ統制帝国議会
日本国憲法の誕生-6/其ノ筋ノ意向「国民主権」
日本国憲法の誕生-7/皇室自治・職能代表制
日本国憲法の誕生-8/第9条修正ドタバタ劇
日本国憲法の誕生-9/占領軍制定無効憲法

「日本国憲法」無効論 小山常実著 草思社 1995円
6 第9条修正をめぐるドタバタ劇
帝国議会における大きな修正は、国民主権の明記とともに、戦力を放棄した第9条第2項に「前項の目的を達するため」が挿入されたことである。この修正は、やはり、衆議院憲法改正特別委員会内小委員会で行われたが、国民主権の明記などと異なり、日本側が自主的に動いてできあがったものである。
佐々木惣一の第9条全体への反応
しかし、だからといって、日本側が第9条、特に第2項に賛成していたわけではない。少なくとも本音は、ほとんどの議員が反対であったと思われる。そもそも、マッカーサーは、GHQ案をもとにしてできあがった「憲法改正草案要綱」を日本政府が発表した1946(昭和21)年3月6日には、声明を発して、「将来にわたって如何なる陸海空その他の戦力をも認めず」と明言していた。したがって、「日本国憲法」第9条そのものに反対する議論は、被占領下の日本国では存在しようがなかったのである。
ところが、それでも、衆議院では野坂参三をはじめとする共産党の議員や穂積七郎などが、貴族院では佐々木惣一や沢田牛麿などが第9条に反対していた。
その中でも、佐々木惣一と穂積七郎は、第九条全体に反対していた。穂積は、もう一つわかりにくいが、少なくとも条文で規定することには反対していた。
佐々木は、8月29日貴族院貴族院本会議と9月13日憲法改正特別委員会で、まず第2項については、各国が戦争せざるをえない現実がある以上、戦力と交戦権を放棄するわけにはいかないと述べる。そして、平和主義および侵略戦争の放棄という第1項の趣旨には賛成しながらも、佐々木は、戦争放棄を規定するならば、不戦条約のときのように世界が共同して宣言する形態が望ましいとして、憲法で戦争放棄を行うことに反対する。世界平和は、日本一国ではなく、世界各国が共同して努力し、達成すべきものだからである。
また、佐々木は、日本国民に与える第9条の思想的精神的影響について、次のように危惧を述べている。佐々木は、第9条によって「国民は何だか自分は、国を為す人間として、自主的でない、何か独立性を失ったような、従って朗らかでない、・・・・・日本の国民は果たして、少しも卑屈のような気持を持つことがないと云う風に安心出来るものでありましょうか」(清水伸『日本国憲法審議録』第二巻、原書房、1976年、115頁)と憂えるのである。現実に、戦後日本人の精神に起きた変化は、「卑屈」の二文字で表されるようなものだった。佐々木の危惧は現実のものとなっていくのである。その意味で、佐々木の言葉には注目しておきたい。
第9条第2項への反対
これに対して、共産党の野坂参三、戦後初の東大総長をつとめた政治哲学者の南原繁、沢田牛麿、国際法学者の山田三良は、第2項のみに反対であった。もっとも、山田は、いったん反対した後、国際情勢への配慮などの理由をあげて賛成に回っている。
さて、この中で、もっとも体系的に第2項に反対したのが、南原繁であった。8月27日の貴族院本会議において、まず南原は、国民を防衛する施設をもつのは国家の普遍的原理であるとし、しかも、警察力だけでは治安を守るにも不十分であり、そのためにも国家は軍隊を必要とするのだとする。したがって、軍隊を置かない国家は、「国家としての自由と独立を自ら放棄したもの」(同、20頁)であるとする。いわば、主権国家論の立場から軍備の必要性を主張するのであるが、さらに南原は、将来国連へ加入すべきだという立場からも、第9条2項に反対する。なぜなら、国連とは軍備を備えた独立国家の集合体であり、国連に加入すれば、日本国は、特に国連憲章第42条によって国連軍に兵力を提供する義務を負うことがありうるからである。
沢田も、9月13日の貴族院委員会で、治安の観点からも軍隊がいるとしている。沢田の議論で注目されるのは、連合国は旧枢軸国に小規模ながら軍隊を認めているのだから、日本だけに認めないというようなことは想像しにくいと述べていることである。9月6日の委員会では、沢田は同様の情勢認識から、対日講和会議で、せっかく連合国が日本の軍備を認めるつもりがあったとしても、憲法で戦力不保持を決めておけば軍備をもてないではないか、と述べるのである。
交戦権放棄に対する藤田栄の反対
最後に注目される反対論は、7月9日衆議院憲法改正特別委員会における藤田栄(新光倶楽部)の議論である。藤田は、侵略戦争の放棄は結構なことだとして第9条第1項に積極的に賛成するし、第2項前文の戦力放棄についても反対はしない。しかし、藤田は、自衛戦争や制裁戦争も、したがって交戦権も放棄すべきではないと考える。通常の考え方からすれば、戦力を放棄しながら戦争などできないではないか、ということになろう。しかし、戦争宣言をすれば、現実に武力衝突がないとしても国際法上の戦争状態となる。だから、理論的には、戦力をもたずとも、自衛戦争や制裁戦争をすることができるわけである。それゆえ、藤田は、できるだけ自衛戦争や制裁戦争を行うための便宜を確保しておくために、第2項後文の交戦権の放棄には反対するのである。
交戦権を放棄した場合の日本国および日本国民にとっての損害は、枚挙に暇がない。たとえば他国が日本国に突然侵略してきた場合には、日本の警察隊と民間有志で組織する義勇軍が反撃することになるが、警察隊と義勇軍は軍隊ではないから捕虜になることさえもできない可能性がある。そのため捕らえられた後に虐待されたり裁判抜きで銃殺されてしまう可能性もある。また、交戦権があれば、中立国に対して日本国の敵国に対する武器援助や補助金の送付を止めるように要求することもできるが、この要求権も日本国には存在していないことになる。
交戦権放棄の最大の問題は、他国との関係においてよりも、国内対立が武力対立にまでいたった場合に発生する。日本政府に対して反乱を起こした団体が、たとえば北海道を占拠して政府を組織した場合、第三国がこの政府を承認して交戦団体として承認すれば、かえって反乱団体のほうが国際法上保護されるということになるのである。藤田は、特にこの内乱団体の問題に注意を促して、交戦権否認に反対するのである。
明確な反対論こそ少数派であったが、議会の多数の者が、特に第9条第2項の戦力放棄には疑問をもっていた。たとえば、日本進歩党の原夫次郎は、6月26日の衆議院委員会で、侵略されたときに自衛戦力がなくては自衛権をまっとうできないのではないか、世界連邦ができるということならば、まだそれほど心配しなくてもよいかもしれないとも思う、と述べていた。
しかし、議会全体の雰囲気は、マッカーサー声明がある以上、戦力放棄をやめることはできないというものであった。実際、たとえば、自由党の北玲吉は、6月25日衆議院本会議では永世局外中立運動を起こそうと主張しているが、「此の憲法の草案が発表されました時に、マッカーサー元帥が日本の憲法の進歩性、非常に特色のある進歩性として指摘した所の此の条項でありますから、当局としては変更は困難を感じますと想像します」(同、109頁)と述べている。
第9条の順序入れ替えと「前項の目的を達するため」の挿入
それゆえ、日本側は、第9条について実質的な変更を加えることは最初からあきらめていた。衆議院の小委員会も、もっぱら、原案をもう少し格好のよいものに変更しようとすることのみ、精力をかたむけている。
政府提出案第9条は、第1項で「国の主権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、他国との間の紛争の解決の手段としては、永久にこれを放棄する」とし、第2項で「陸海空軍その他の戦力は、これを保持してはならない。国の交戦権は、これを認めない」と規定していた。
社会党は、小委員会に対して、この規定の修正案を提示する。そして、7月27日の第三回小委員会では、社会党案が論議された。その案とは、「草案第9条の前に一条を設け『日本国は平和を愛好し、国際信義を重んずることを国是とする』趣旨の規定を挿入」(前掲『衆議院帝国憲法改正案委員小委員会速記録「附録」』13頁)する案であった。この案について、鈴木義男は、「唯戦争ヲシナイ、軍備ヲ皆棄テルト云フコトハ一寸泣言ノヨウナ消極的ナ印象ヲ与ヘルカラ、先ヅ平和ヲ愛好スルノダト云フコトヲ宣言シテ置イテ、其ノ次に此ノ条文ヲ入レヨウヂヤナイカ、サウ云フコトヲ申出タ趣旨ナノデアリマス」(前掲『衆議院帝国憲法改正案委員小委員会速記録』78頁)と趣旨説明している。
傍線部のような、情けないなあという感覚は、小委員会の委員にとって共通するものだった。同日、進歩党の犬養健も、吉田安も同旨のことを述べる。こうして消極的に戦争を放棄するのではなく、少しでも積極的な理念から戦争を放棄するという形式をとりたいという雰囲気が固まってくると、芦田他数名は、7月29日の朝に集まり、案文を整理している。
これは、29日の第4回小委員会に提案されているが、第9条の第1項と第2項をひっくりかえす修正案であった。すなわち、第1項で「日本国民は、正義と秩序とを基調とする国際平和を誠実に希求し、陸海空軍その他の戦力を保持せず、国の交戦権を否認することを声明す」と戦力放棄を宣言し、「前項の目的を達するため」という文言で第2項を始めたうえで戦争放棄を述べる案である。芦田によれば、軍備をもたず交戦権を放棄するからこそ戦争がやれなくなるわけだから、第1項と第2項の順序を交代したのである。
そして30日の第5回小委員会では、芦田は、第1項を「日本国民は正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、陸海空軍その他の戦力は、これを保持せず、国の交戦権は、これを否認することを宣言する」とし、第2項を「前項の目的を達する為、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」という案文に整理している。このとおりに決定しておれば、入江俊郎が指摘するように、自衛戦力を肯定する解釈は発生しようがなかっただろう。
もとに戻された第1項と第2項の順序
ところが、社会党の鈴木の質問をきっかけに、第1項と第2項の順序が再びもとに戻され、自衛戦力肯定の解釈が発生する余地が生まれてくる。この30日、鈴木は「今一ツ念ノ為ニ、交戦権ヲ先ニ持ツテ来テ、戦争放棄ヲ後ニ持ツテ来ルコトハ、立法技術的ニ如何デスカ」(同、141頁)と質問する。
これに対して、金森国務大臣は、「是ハ非常ニ『デリケート』ナ問題デアリマシテ、サウ軽々シク云ヘナイコトデアリマスケレドモ、第1項ハ『永久にこれおを放棄する』ト云フ言葉ヲ用ヒマシテ可ナリ強ク出テ居リマス、併シ第2項ノ方ハ永久ト云フ言葉ヲ使ヒマセヌデ、是ハ私自身ノ肚勘定ダケカモ知レマセヌガ、将来国際連合等ノ関係ニ於キマシテ、第2項の戦力保持ナドト云フコトニ付キマシテハ色々考フベキ点ガ残ツテ居ルノデハナイカ、斯ウ云フ気ガ致シマシテ、ソコデ建前ヲ第1項ト第2項ニシテ、非常ニ永久性ノハツキリシテ居ル所ヲ第一項ニ持ツテ行ツタ、斯ウ云フ考へ方ニナツテ居リマス、ソレガ御質疑ト直接関係ガアルカドウカ知リマセヌガ、サウ云フ考ヘデ案ヲ作ツタノデアリマス」(同、141~142頁)と答えている。
金森は、第9条第1項は永久のもの、第2項は当面のものという構成原理によってつくられていると説明したのである。この説明は、社会党の鈴木、進歩党の犬養と吉田の関心を引くことになる。8月1日の第7回小委員会で、犬養は、「是ハ一寸法制局ニ伺ヒマスガ、第9条ノ第1項ハ今一寸鈴木君が触レラレマシタガ、是ハ永久不動、第2項ハ多少ノ変動ガアルト云フ、何カ含ミガアルヤウニ、一寸此ノ間国務大臣ノ御発言ガアツタノデスガ、サウ云フ含ミガアリマスカ」(同、190頁)と質問している。
これに対して、佐藤(達夫)政府委員は、「正面カラサウ云フ含ミガアルト云フコトヲ申上ゲルコトハ出来ナイト思ヒマスガ、唯気持チヲ分リ易ク諒解シテ戴ケルヤウニ、金森国務大臣ハアア云フ言葉ヲ御使ヒニナツタノダラウト思ヒマス」(同)と答えている。すると、犬養は、わが意を得たとばかり、「随テ此ノ順序ハ無意味デナクテ、相当意味ガアル・・・・・」とたたみかけ、佐藤も、「意味ガアルト云フコトヲ申シタイ為ニアア云フ表現ヲ使ワレタト思ヒマス」と応じ、さらに犬養は、「是ハ一応論議ノ対象ニナル」(同)と発言する。
その後、原案の順序がよいか、芦田案の順序がよいか議論される。江藤が簡単に原案を支持すると述べた後、吉田(安)は、「昨日デシタカ、金森国務大臣がガ一寸言ウテ居ラレタ永久ト云フコト、第1項ト第2項の何デスガ、今又法制局ノ佐藤サンカラノ御話、サウ云ツタコトヲ考ヘマスト、大分是ハ強サニ於テ第1項ト第2項―――勿論第2項は何デスガ、含ミガアルヤウ二考へラレルノデスガ、サウスレバ是ハドウデセウカ、ヤハリ原文ノヤウニシテ置イタラ如何デセウカ」(同、一九一頁)と、戦力不保持を永久のものにしないために、原案の順序に戻そうと発言する。
そして、犬養らの進歩党は、原案の順序に引き戻す雰囲気をつくったうえで、第一項を「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、水久にこれを放棄する」、第二項を「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」(同、194頁とする修正案を提案する。この案は、社会党の鈴木と自由党の廿日出が賛成し、小委員会の修正案として決定され、そのまま憲法成文となっている。
日本側の本音は第九条第二項に反対だった
右の過程を見ると、注目すべきことに、第九条に反対こそしないが戦力放棄を永久に行なうことは、社会党の委員も反対だったことが知られる。したがって、保守派も左翼的な党派も日本の政党の本音は第九条第二項に反対であった。左翼的党派も、いまだ、国家とはなにかということについて常識を失っていなかったのである。
もう一点、注目すべきことに、三〇日の金森と鈴木のやりとり、一日の犬養と佐藤のやりとり、それに吉田(安)の発言は、GHQ提出の英訳版では削除されている。削除された発言の内容は入江俊郎のメモによって知られてきたとおりである。ただし、入江メモでは一日に佐藤に質問したのは鈴木になっていたが、質問者は犬養である。しかし、この順序の意味に留意していた部分が削除されたのはなぜだろうか。
犬養や吉田、鈴木らは、「国際紛争を解決する手段として」の戦争は永久に放棄してもよいが、永久に戦力を放棄することはしてはならないと考えていた。それゆえ、将来の憲法改正による戦力保持の可能性を開いておきたい、と考えていた。だからこそ、進歩党や社会党が率先して、第一項と第二項の順序を原案どおりに引き戻したのである。
しかし、日本側としては、将来的に第二項の戦力不保持を改定して武装するつもりであるとGHQに思われたくなかった。実際、後述のように、米国は、一九四五年一月から二月には「日本の非武装化及び非軍事化のための条約案」を計画し、二五年間の非武装を日本国に約束させようとしていた。また、同年二月のGHQ案第八条は、永久に日本国に武装を許さないことを規定していた。
それゆえ、日本側としては、日本の再武装を連想させるような発言をそのまま英訳するわけにはいかないと考えたのではないだろうか。
自衛戦力肯定の可能性
ところが、第一項と第二項が原案どおりの順序に戻り、第二項のはじめに「前項の目的を達するため」が入ったことにより、「前項の目的」をめぐって解釈問題が発生することになる。
「前項の目的」とは、第一項全体か、「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し」か、いずれを指すのか。「前項の目的」が「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し」を指していると解すれば、特に第九条の趣旨が変更されることはない。これに対して、第一項全体を指していると解すれば、自衛戦力肯定論が登場する可能性が与えられるわけである。
だが、自衛戦力肯定論の可能性について、小委員会は無自覚であった。明らかに、小委員会は、「前項の目的」は「……国際平和を誠実に希求し」の部分を指すと理解していた。「前項の目的を達するため」の提案者である芦田は、八月一日の委員会で、「前項ノト云フノハ、実ハ双方トモ二国際平和ト云フコトヲ念願シテ居ルト云フコトヲ書キタイケレドモ、重複スルヤウナ嫌ヒガアルカラ、前項ノ目的ヲ達スル為メト書イタ」(同、194頁)と説明している。政府側の見解も同様のものであった。帝国議会可決後の枢密院第二回審査委員会で、金森国務大臣が「『前項の目的を達するため』とあるのは、第一項の『国際平和を希求』するといふ大目的の意味であり」(前掲村川、211頁)と回答しているからである。
日本国憲法の誕生-9/占領軍制定無効憲法 へつづく
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もくじ
新無効論概略
新無効論概説・問答編
新無効論の目的・論理概略・現実対処法
新無効論と旧無効論
憲法違反と条約違反 ―― 新無効論と旧無効論
改正?破棄?廃止?無効確認?
大日本帝国憲法75条違反
法律論議以前!事実関係からの無効
日本国憲法の死亡 ―― 有効論への即効解毒剤
日本国憲法の誕生 ―― 日本国憲法は講和条約の限度で有効
日本国憲法改正論の欺瞞
憲法業者のペテンにひっかかるな!
法定追認有効説の論理破綻
追認有効説の変形――事実の規範力
保守の思想と保身の欲望
追認有効説の破綻と自画自賛
改憲派は「保守」派ではない!小山常実
4月28日問題!大東亜戦争はどうやって戦争終結できたの?
護憲派改正論者に告ぐ!
護憲派護憲論と護憲派改正論は蚤の曲芸!
憲法改正とは祖先との協同作業のことである
憲法学者の騙しテクニック
元凶は東大法学部
(1)「君主殺し」を叫ぶ国立国会図書館HP監修者
(2)「君主殺し」を叫ぶ国立国会図書館HP監修者
大日本帝国憲法に殉死・清水澄博士
「祓庭復憲」現行憲法無効宣言
「憲法無効宣言」南出喜久治講演録
橿原の宮のおきて
神聖をもとめる心 ──祭祀の統治への影響──
神の差し替え工作(2-1) 神道神学論考
神の差し替え工作(2-2) 神道神学論考
史上最悪宗教「利を権ることを尊べ!」
「生きていく」と「生かされている」
欽定憲法とは76箇条の御誓文
(動画)大日本帝国憲法とは?
大日本帝国憲法とは何か 3-1 小山常実
大日本帝国憲法とは何か 3-2 小山常実
大日本帝国憲法とは何か 3-3 小山常実
國體の下に 序章
國體の下に 1-1 何が私たちを決めるのか
國體の下に 1-2 何が私たちを決めるのか
國體の下に 2 生きている者だけの天国
國體の下に 3 命と人権を越えるもの
國體の下に 4 憲法の向こうにあるもの
國體の下に 5 すべては國體の下に
戦後の「疚しさ」(1)
戦後の「疚しさ」(2)
再考 皇室典範改正 議論すべき五つの論点 (2-1) 小山常実
再考 皇室典範改正 議論すべき五つの論点 (2-2) 小山常実
チャンネル桜 渡部昇一の大道無門 ゲスト:小山常実(3-1)
チャンネル桜 渡部昇一の大道無門 ゲスト:小山常実(3-2)
チャンネル桜 渡部昇一の大道無門 ゲスト:小山常実(3-3)
日本国憲法の誕生-1/政府草案/松本乙案
日本国憲法の誕生-2/松本乙案≒民間草案
日本国憲法の誕生-3/GHQ案押付プロセス
日本国憲法の誕生-4/ポツダム宣言違反
日本国憲法の誕生-5/GHQ統制帝国議会
日本国憲法の誕生-6/其ノ筋ノ意向「国民主権」
日本国憲法の誕生-7/皇室自治・職能代表制
日本国憲法の誕生-8/第9条修正ドタバタ劇
日本国憲法の誕生-9/占領軍制定無効憲法

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