インサイター

insight : the ability to understand and realize what people or situations are really like

夏のパチ怪獣まつり2015 「マルサン怪獣総進撃」#12

このエントリーをはてなブックマークに追加
baronmiddle

バロン: 昔から中国の山奥にいるナゾの怪獣、スーシー山の大爆発によって流れた溶岩の中から生まれた。ものすごい声を上げて口から1キロも炎をふき、あらゆる物を焼きつくす、二つある首を一度に切られない限りいつまでも生きている恐ろしい大怪獣。


昨年、全世界に30人は存在すると思われるパチ怪獣マニアたちを震撼させた一品。

まんだらけのオークションに突如出品されたこの怪獣は、マルサンから発売されていた「バロン」という四つんばいの双頭怪獣のミドルサイズとして紹介されていた。マルサンのパチ怪獣シリーズはこれまでスタンダードサイズ、大サイズ、超特大サイズ、そしてミニサイズ(指人形)での展開が確認されていたけれど、ミドルサイズが存在したという情報は過去40年以上も無かった。

このミドルサイズのバロンが発掘されたことによって、まだ未知のパチ怪獣が多数存在する可能性が広がったわけだ。

オークション出品画像を見るだけでも伝わってくる、安定感のある堂々とした佇まい。大協の宇宙怪獣シリーズを彷彿させる彩色がかもしだず王道パチ怪獣感。バロンのスタンダードサイズより遥かに魅力的で、この造形をスタンダードサイズにしてほしかったくらいの超名作。

またいつか未知のパチ怪獣に出会えますように……!


夏のパチ怪獣まつり2015 「マルサン怪獣総進撃」#11

このエントリーをはてなブックマークに追加
DSC_1438 (600x800)

バドラ: 原爆実験の放射能を浴びて、突如、入道雲の中からとび出てきた。マッハ3のスピードで空をとび、背中の翼で衝撃波を出して地上のものを破壊し、目からは放射線を発して敵と斗う。体中がかたいうろこでおおわれどんな武器も役に立たない凶暴な怪獣。

元ネタはウルトラマンに登場した高原竜ヒドラなんだろうけれど、うまくオリジナリティを醸し出すことに成功していると思う。フクロウみたいな顔がキュートで、とても凶暴には見えないところがいい。

夏のパチ怪獣まつり2015 「マルサン怪獣総進撃」#10

このエントリーをはてなブックマークに追加
gaiantgorilla

このジャイアントゴリラは、マルサンのパチ怪獣シリーズ(正式には「ウルトラ怪獣シリーズ」)ではなく、当時世界的に大ヒットしたイギリス画『恐竜100万年』(1966)の名義を借りた恐竜シリーズのひとつとして発売された。しかし『恐竜100万年』に巨大ゴリラは一切出てこないので、やっぱりこれはキングコングのパチもの以外のなにものでもなかったのだと思う。

写真の小さいほうは1990年代に再発された復刻版。パチものとはいえ、荒々しいリアルな表情と躍動感あふれるマッチョボディは見事で、マルサン怪獣の中でも名作とされている。大きいほうは昨年マルサンから発売されたジャイアントサイズの新規造形版(といっても体は恐らくゴローの流用)。もともとのジャイアントゴリラと比べるとバランスは悪いけれど、大きくなったぶん迫力はある。

『恐竜100万年』なんて書いたものだから、久しぶりに同作のハイライトをYouTubeで見てみたら、子供の頃にテレビで見たときは相当リアルだと感じたストップモーションの恐竜たちがもう全然リアルに見えなくて、少しさみしい思いをした。


夏のパチ怪獣まつり2015 「マルサン怪獣総進撃」#9

このエントリーをはてなブックマークに追加
mogrines

モグリネス: 南極の氷の中から生まれたので暑さにとても弱いが、口から吐き出す冷凍ガスで陸上にいる時は、自分の体を冷やしながら生きている。ふつうは海の中にいて魚を食べているが、台風などによって陸にうちよせられると、驚いて大暴れし、冷凍ガスで何でも凍らせてしまう。

書き写していて毎回感じることだけれど、マルサン怪獣新聞に書かれていたこの紹介文、とても文学部の大学生が書いたとは思えない。

それはそうと、このモグリネス。モグラを連想させるネーミングや頭部についたドリル、大きな爪から、てっきり地底怪獣だと思っていた。海洋怪獣なのだとすれば、たぶん『妖星ゴラス』の南極怪獣マグマあたりが解説文のインスパイア元か。愛嬌のある丸顔とつぶらな瞳が愛おしくて、地味だけど嫌いじゃない。




夏のパチ怪獣まつり2015 「マルサン怪獣総進撃」#8

このエントリーをはてなブックマークに追加
gothra

ゴスラ: 非常に恐暴な怪獣で二つの頭を持ち一方からは熱光線を吐き全てのものを一瞬にして焼きつくし、一方の口からは冷凍光線を吐き全てを冷凍にしてしまう。然し片方の頭をやられると体温の調節ができなくなり死んでしまう。

成田亨と高山良策の非凡な創造力が融合して生み出された、ウルトラシリーズ屈指の名怪獣「ゴモラ」。そのゴモラを大胆に剽窃して双頭にした問題作がゴスラだ。著作権意識がまだ未成熟だった1970年だからこそかろうじて存在が許された禁断の創造物。よく円谷プロが訴訟を起こさなかったなと思う。

この穢れた傑作は歴史の中に封印され、二度と日の目を見ることはないと思われていたけれど、昨年に円谷プロ公認で復刻発売されたときは驚いた。

夏のパチ怪獣まつり2015 「マルサン怪獣総進撃」#7

このエントリーをはてなブックマークに追加
kaibarg

カイバーグ: 東京湾にいたマキ貝がヘドロを食べて巨大化したもの。マッハ1のスピードで海の中を泳ぎ、口から毒ガスを吐き出す。体はやわらかいが、頭脳はからの中にあるので、いくら体に弾が当たっても死なないが、きれいな空気やきれいな水を吸うと、もとの小さな貝に戻ってしまう。

造形的には大雑把な後期マルサンクオリティだけれど、色のグラデーションが地味に美しくて、ヘドロが原因で生まれたヘドラやザザーンの同類とは思えない。黄桜の河童みたいな表情もいい。欲を言えば、もう少し貝類っぽいつるつるした体表でもよかったような気はする。

夏のパチ怪獣まつり2015 「マルサン怪獣総進撃」#6

このエントリーをはてなブックマークに追加
ultra_saturn

ウルトラサターン: 地球を征服しようとする星人から人間を守る為に冥王星の王モストサターンから送られて来た。地球人に変装するのが、とてもうまく、いつでも変えているので、誰にも見破ることができない。催眠術を使って地球人の味方として、バンカー星人、フラン星人と闘う。

ヒーローというより怪人にしか見えないところがいい。これ見よがしに腰につけたミサイルが殺る気マンマンな感じがして、人間を守るといいながらどこかで裏切りそう。

マルサンのウルトラ怪獣シリーズは、スタンダードサイズと大・特大サイズのデザインが微妙に違うのが常で、このウルトラサターンも頭部や胸の部分が良く見ると違う。たぶんラフスケッチすらなく自由に粘土をこねて作っていたのだと思う。

1965年のツタンカーメン展が大ヒットして以来、ツタンカーメンの黄金マスクが怪獣や怪人のデザインモチーフにしばしば使われたけれど、ウルトラサターンはそのもっともストレートな表出のひとつだった。



夏のパチ怪獣まつり2015 「マルサン怪獣総進撃」#5

このエントリーをはてなブックマークに追加
ultra_a

怪傑透明ウルトラエース: ドイツの偉大なる科学者アインべック博士が実験中のアルファー液を誤って体中にあびてウルトラエースに変身。地球を攻撃してくる怪獣と戦い地球防衛軍を助ける。マントを広げマッハ3のスピードで飛び廻る。そして体を休めるときとか身の危険を感じたときは、マントを頭からかぶって透明になってしまう。

ウルトラマンとウルトラセブン(と光速エスパー?)をマッシュアップさせた、70年代パチデザインの王道。これは大サイズバージョンで、真っ赤に晴れあがった唇は何回見ても慣れない。

このウルトラエースが存在したために円谷プロは「ウルトラA」という番組名を断念して「ウルトラマンA」にした、という有名なエピソードがあるけれど、そもそもここまでデザインを剽窃されていたのであれば円谷プロのほうがウルトラエースを訴えて潰す、という発想はなかったのかどうか。


夏のパチ怪獣まつり2015 「マルサン怪獣総進撃」#4

このエントリーをはてなブックマークに追加
DSC_1425 (600x800)


トルトス海人: 大昔は地上に住んでいたが、今から100万年前、人類と戦争して負け、海の中に逃げた。人間を恨み船を襲う。手についているハサミはどんなに硬いものでも切ってしまうが、体はゴムのようで、ミサイルでも跳ね返してしまう。弱点は目。頭は良くない。

ウルトラセブンの傑作回「ノンマルトの使者」をパチったような設定だけれど、どこかアウトサイダーアートの香りがする異様な造形は一度見たら忘れられないオリジナリティがある。マルサンのウルトラ怪獣シリーズを代表する作品のひとつ。

スタンダードサイズのほうは復刻版も含めて多く出回っている一方で、ジャイアントサイズはあまり残っていないようで、見つけるのが大変だった。


夏のパチ怪獣まつり2015 「マルサン怪獣総進撃」#3

このエントリーをはてなブックマークに追加
furanseijin


昨日紹介したガンブリヤを作り出した宇宙人、フラン星人。公式設定を見ると、ウルトラセブンに登場したあのボーグ星人との確執が紹介されている。

フラン星人: ボーグ星とあと一年で衝突して無くなってしまうフラン星のフラン星人は地球を征服しようとして、地球人と戦うためにガンブリヤをつくって大暴れさせる。とても頭が良くて、人間が何を考えているかすぐわかってしまう。

これまでフラン星人はメフィラス星人の露骨なパチものであると思い続けてきた。実際に「頭がいい」という設定もメフィラス星人を意識したものだったはず。けれど、改めて比較してみると、完全に合致する部分はひとつもない。似ていないといえないこともないギリギリのラインを敢えて狙っているようにもみえる。腐ってもマルサンの看板を背負った造形職人たちの底意地を感じる。
Profile
真実一郎
心に茨を持つリーマン。吐き気がするほどロマンチスト。好きな言葉は「巨悪も美女も眠らせない!」。

サラリーマン漫画の戦後史 (新書y 240)
サラリーマン漫画の戦後史 (新書y 240)

twitter
RECENT COMMENT
あわせて読みたい
購読者数・ブックマーク数相関グラフ
Amazonライブリンク
  • ライブドアブログ