インサイター

insight : the ability to understand and realize what people or situations are really like

2006年08月

テレビCMは死んだのか?

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テレビCM崩壊 マス広告の終焉と動き始めたマーケティング2.0
Joseph Jaffe著


梅田望夫の『ウェブ進化論』を読んだときにも感じたけれど、ユートピアのような新世界を提示しつつ、それを否定する人が旧人類に見えるようなものの書き方をする人(2.0脳の人)は、どこか胡散臭く思えてしまう。ジオン軍じゃあるまいし。この『テレビCM崩壊』という本も、テレビを代表とする旧マスコミを「時代遅れ」と叩く一方で消費者の全能感を煽っているけれど、既得権益の保持者を引き摺り下ろして自分が新しい権力になりたいんだろうな、という下心が見え過ぎていて感心しない。

マスメディアの影響力が落ちたのは周知の事実としても、だからといってこの本が提示している「10の新しいアプローチ」も脆弱だ。僕が知る限り、アメリカではブログやポッドキャストを利用したオンライン広告活動の非効率性がいくつも報告され始めているし、既にトレンドであるアドバゲームやブランデッドエンターテイメントの有効性を証明する明解なデータも見たことが無い。ゲーム内広告に関しては日本ではとっくの昔にペプシやジャワティーがやっているけれど、その後大規模には行われていないのはやっぱり投資効率が悪いからだろうか。

いずれにしても、日本で最近最も成功したマーケティングは資生堂のマキアージュやTSUBAKI、UNOといったテレビCM中心のキャンペーンなわけで、テレビCMぜんぜん崩壊してないじゃない。と言いたいところだけれど、あの「CMのCM」キャンペーンはやっぱり崩壊している。楽屋落ち的ナンセンス映像のあとで「CMって何?」なんて問われても、通りすがりの見知らぬ男に「僕は誰でしょう」と聞かれるような居心地の悪さを感じてしまう。テレビCMの良さを伝えたいなら自ら答えを出してほしい。

CMって何?の答えを過去の偉人に求めたのがTBSだ。「テレビCMの日」だった昨日、TBSは60年代に数々の伝説的CMを作った杉山登志を描いたドラマ「メッセージ〜伝説のCMディレクター・杉山登志〜」を放映した。しかしこれがまたドラマとして出来が悪かったこともあり、視聴率は前週「税務調査官窓際太朗の事件簿14」の17.1%を大きく下回る9.7%という惨敗。せっかくテレビCMの地位回復を狙ったのに、逆にCMというテーマに対する世間の関心の薄さを露呈してしまった形だ。テレビCMはやっぱり衰退する運命なのかもしれない。

今週のガセネタ

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■「グラビア界の黒船」リア・ディゾンが『週刊ヤングジャンプ』10月5日発売号でグラビアを披露するらしい

■ショック!「日経のエース記者」石鍋仁美たんが男性であることがほぼ確定

『グエムル-漢江の怪物-』のバイラル・キャンペーン

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韓国の怪獣映画『グエムル-漢江の怪物-』が、「バイラルウォーカー」という動画クチコミサイトを利用してバイラル・キャンペーンを展開していたので参加してみた。下の動画を60人の人がクリックしてくれると、その報酬として本編約60分を視聴することが出来るようになるらしい。どうせ映画を見に行くんだから映像ではない特典が欲しかったところだけど、まあいいや。

このグエムル、怪獣のデザインも動きもユニークでいい。形態はだいぶ違うけど『ザ・グリード』(1998)という映画の深海獣を思い出した。

WMP REQUIRED

今週のガセネタ

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■桜庭和志は恐妻家らしい。

■週刊誌や経済誌があまりセブンイレブン批判をしないのは、批判するとセブンイレブンで雑誌を販売してもらえなくなるかららしい。

ドン・キホーテの次世代型コンビニ「情熱空間」が近所に欲しい

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情熱空間あのドン・キホーテが渋谷区西原にオープンした次世代型コンビニ「パワーコンビニ情熱空間」に行ってきた。コンビニなのに飲食品が既存のコンビニより安く、缶コーヒーが99円、500mlペットボトル飲料が118円、ビールが199円、カップヌードルが127円、ポテチ類も99円。かといって従来の激安店のような品揃えではなく、海外の高級ミネラルウォーターや珍しいお酒やヨーロッパの菓子といった、輸入食材ショップにあるようなプレミアムブランドも数多く並んでいる。コスメコーナーも充実していて、雰囲気はドン・キホーテよりもソニープラザに近いかもしれない。流れているBGMもドンドンドン・ドンキ〜ではなくラテン・ポップだった。一方でドンキーらしくパーティーグッズ・コーナーもあったりする。

店内には作りたての惣菜・弁当を販売するコーナーも設けられていて、これも既存コンビニとの大きな違いになっている。明らかにオリジン弁当を意識したスタイルながら、惣菜はどれも結構美味しそうだった。

安い価格設定、幅広い品揃え、楽しい雰囲気、新鮮な弁当と惣菜、24時間営業。コンビニの王者セブンイレブンにとっては恐ろしいライバルが登場したといえる。実際この情熱空間1号店の賑わいとは対照的に、真正面にあるセブンイレブンには客が一人も入っていない時間が多く、セブンの店員たちは劇団ひとりを見る品川庄治の品川のような目で情熱空間を見つめていた。これがオープン直後のご祝儀人気であることを差し引いても、目の前に情熱空間があればセブンイレブンに行く理由は全く無くなる。ここのセブンは将来的には雑誌・書籍のみを扱う本屋として業態を変えないと共存できないような気がする。

POSデータでガチガチに管理したセブンイレブンの無味乾燥な品揃えが嫌いな僕としては、情熱空間は近所に欲しいコンビニNo1だ。

アメリカのコカ・コーラ新作CM

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アメリカのコカ・コーラの新作CMが、悪名高き超人気バイオレンス・ゲーム『Grand Theft Auto』の見事なパロディになっている。暴力と悪意に満ちた街に乗り込んだ主人公がコーラを飲むと・・・。

爆弾ロックを聴きながら CANIS LUPUS 『G.T.O』

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燃えるような8月の陽差しが軋む
ゆっくり絶ゆまず 地獄に堕ちる
サマーランドに浮かぶ子供たちの死体
陽炎揺れて 大空に吸い込まれる

ここから先は占領区域
鉛の兵隊
鈍色に光るジャンプスーツ
GENETIC TAKING OVER
焼けただれたアイアン・スキン
百万年の光の彼方

凍るような真冬よりも
私は寒い
憂いの空に遠ざかる機影かすみ
しずかにカウント・ダウン
星のことばで君と話した
平和な夜の寂し過ぎた交わりも終わる

CANIS LUPUS 『G.T.O』

北村昌士がYBO2に続いて結成したプログレ・バンド、CANIS LUPUS。1989年に発表したセカンドアルバムに収録されたこの曲は、核戦争をイメージさせる歌詞が印象的な、変拍子を多用した黙示録的ハードロックになっている。

北村が自ら書いたライナーノーツでは、有機生命体は核エネルギーによる自己破壊を通じて一種の先祖帰りを果たそうとしているのではないか、というような考察がされており、核で崩壊する世界をJ・G・バラードのSF小説『結晶世界』で描かれる綺想的な終末イメージと重ねている。爆弾ロックとしては非常にユニークなアプローチだ。

CANIS LUPUS の初期のアルバムはいずれも隠れた名盤なので、CD化されていないのが惜しい。

「ジャーナリズムVSマーケティング」という不毛

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速水由紀子の新著『「つながり」という危ない快楽―格差のドアが閉じていく』は、彼女のことを「トラウマ系バツイチ子連れジャーナリスト」と罵倒した三浦展のベストセラー『下流社会』に対する批判本でありながら、肝心のコミュニティ分析・格差分析にデータ的裏づけがほとんどないという粗雑な作りで、中身はないけどとにかく三浦展に対する積年の大怨だけはビンビンと伝わってくるという酷いトンデモ本だった。かつて読んだ『あなたはもう幻想の女しか抱けない』とかは凄く面白く読んだ記憶があるんだけど、どうしちゃったんだろう。

『下流社会』には問題解決のための具体的提言が無いと批判し、エリートの「ノブレス・オブリージュ」を提案しているものの、実は『下流社会』にも全く同じキーワードが提言として既に書いてある。編集者は指摘してあげなかったんだろうか。第4章の「マスコミのためのシステム改革講座」は唯一読めたけれど、それも最後の「きっこのブログ」礼賛で台無し。きっこのブログは好きだけど、告発メールの裏取りもしないようなブログにジャーナリズムの可能性を見出すのはどうかと思った。

ジャーナリストである彼女は、三浦展のようなマーケッターという存在、あるいはマーケティングという行為を軽蔑しているふしがある。真実を追究するジャーナリズムは金儲けを追及するマーケティングより高尚だ、と思いたがる気持ちも分からないではない。だれど彼女が主に寄稿している『AERA』こそが(良くも悪くも)極めてマーケティング的なジャーナリズムだというのは皮肉なものだ。本当に居るかどうか分からないような消費者カテゴリーを、たった数名のインタビューで「裏づけ」し、扇動的なタイトルをつけて電車の中吊り広告で煽る。そうした雑誌に長く書き続けたことで、彼女のジャーナリストとしての切れ味が衰えたのであれば残念だ。

さようなら北村昌士

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ろうそくの炎アルコールのにおい
耳をそばだてて君の声をきいた
もうすぐあえるねもうすぐそこに
黄昏の天使ミルクが欲しい
遠い夜のかごめの君みずいろのイリュージョン
ときはなたれた小鹿さがし
どこまでも歩いても家に帰れず
うすあかりの枯野ふみしめ

花びらはいつか風のあとをこえて
まどろんだ君の夢の中に消えた
もうすぐあえるねもうすぐそこに
黄昏の天使翼が欲しい
遠い夜のかごめの君みずいろのイリュージョン
あけはなたれた扉さがし
どこまでも歩いても家に帰れず
うすあかりの枯野ふみしめ

北村昌士『天使』


プログレ〜ニューウェイヴ雑誌「フールズ・メイト」の初代編集長であり、YBO2等のバンド活動やレーベル運営を通して80年代〜90年代のインディーズ・シーンに影響を与え、ルックス的には「早すぎた岡田准一」あるいは「男YOU」だった北村昌士が、6月17日に心臓疾患のために亡くなられた。享年49才。

北村昌士が80年代のフールズ・メイトに書いた文章のうち、1985年2月号に掲載された「孤独の餓鬼道」というコラムは長い間僕の人生のガイドラインになっていた。あれを読んだときから僕はおかしくなって、おかげで上手く年をとれない『劇画オバQ』のオバQみたいになるところだった。あれを超える文章をいつか書けるようになりたい。

孤独の餓鬼道
孤独の餓鬼道(1984)

昌士と彰
浅田彰と北村昌士(1984)

昌士と赤子
岡田君とYOUを足したみたいな北村昌士(1987)

今週のガセネタ

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■放漫経営が原因でIDEEが事実上倒産したらしい。

■大晦日に日テレがPRIDEを放映するという噂があるらしい。
Profile
真実一郎
心に茨を持つリーマン。吐き気がするほどロマンチスト。好きな言葉は「巨悪も美女も眠らせない!」。

サラリーマン漫画の戦後史 (新書y 240)
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