2006年12月05日

ナベツネの「私の履歴書」が面白い

日経朝刊で今月から連載が始まった渡邉恒雄の「私の履歴書」は、第一回目の冒頭からして強烈だった。普通であれば何年何月にどこそこで生まれた、みたいな書き出しで始まるのに、いきなり「学校から帰ると姉たちがうろたえ取り乱している。父平吉が玄関で洗面器いっぱいの血を吐き、病院に担ぎ込まれたのだという。」というスプラッター描写で意表をつかれる。タクシーに乗って病院に行く際の描写も「だが、父が死ぬかもしれないなどとは思いもしなかった。初めて乗ったタクシーがライトの明かりで闇を切り裂きながら疾走する、そのことに心が躍った。」とカッコイイ。こんな感じのドライ&ダイナミック&リズミカル(DDR)な文体で、彼の波乱に満ちた青春期をいきいきと描き出している。石原慎太郎の「私の履歴書」は駄作だったけど、ナベツネのこれは稀に見る傑作になりそうな予感がする。

今のところの最高傑作は12月3日に掲載された第三回目に書かれた、戦時下の旧制高校で校長たちを闇討ちにするエピソードだろう。

「入学したその年の秋の記念祭で学生たちの鬱屈が暴発した。校庭で薪を燃やして「東高踊り」を踊りながら周囲を回るうちに夕闇が訪れた。それが合図だった。私と数人の仲間は打ち合わせどおり校長、体育教師、生徒監といった軍国主義を鼓吹している主要なメンバーを次々に襲った。殴る、蹴飛ばす、体当たりする。怒声の隙を縫うようにして逃げた。」

尾崎豊でもここまでやらないよ。あと数回青春期〜戦争期が続いた後は、共産主義運動を経てマスコミ界のドンと呼ばれるに至るまでの、ダースベイダー顔負けのピカレスクロマンが展開されるはずなので期待したい。

insighter at 01:27│Comments(5)TrackBack(1)この記事をクリップ!メディア 

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1. 日経新聞の専売所に走れ!まだ間に合うかも!  [ TOO HEAVY,TOO POOR ]   2006年12月07日 07:49
日経新聞朝刊の連載「私の履歴書」今月はナベツネだそうだ。そして、非常に面白いらしい。1日の新聞から読み直すしかないなあ(笑。 若い人のことを分かってますよというフリをする大人は、周囲の顔色を見てコロコロ言うことを変えてしまう人が多いけれど、「おやぢ」っ...

この記事へのコメント

1. Posted by Machiko   2006年12月06日 10:53
確かに、面白いです。
ピカレスクロマンって、ホントその通りだ。笑
2. Posted by 8426   2006年12月10日 20:58
今日のナベツネ
いきなり唇をうばってしまいました。
3. Posted by 真実一郎   2006年12月10日 21:49
今日の恒雄は最高。あんなこと私の履歴書で書いた人いませんよ。
4. Posted by yamachan   2006年12月26日 20:54
Web版「ナベツネ履歴書」?
5. Posted by 履歴書   2007年03月01日 02:06
履歴書関連で、TBさせていただきました。

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