峰なゆかというAV女優のブログが面白い。処女と少女と娼婦と淑女が同居する、知性と痴性のハーモニー。オタクでも腐女子でもない、ましてや優等生でもヤンキーでもない。キーワードは「乙女」。そんな峰なゆかさんへのインタビューに成功した。

峰なゆか



【好きな漫画雑誌は「IKKI」と「LO」】

■年末年始にブログ書かれていた漫画レビューとか素晴らしかったですよ。一部のブログでも話題になってました。

□年末年始の漫画レビューは一日目からコメント欄で恐ろしく反応が悪かったので、upするのがだんだん申し訳なくなってきてしまったんですけど、根が貧乏性なのでとりあえず書きためてあった分だけはupしてしまったという、個人的には反省していた企画だったんです。もうちょっと「ワンピース」とかびっくりするくらいメジャーな漫画8割とかじゃないとだめだったのかと。。。でも素晴らしいとか言われるんならまたやろうかと思ってきました。

■ぜひまたやってください。いつもはどんな漫画を読んでるんですか?

□えー、なゆが現在毎月買ってる漫画雑誌は、クッキー、別冊マーガレット、別冊フレンド、フィールヤング、IKKIです。たまに買うのはコミックビーム、快楽天、LO、エロティクスF、デザートです。基本的にマジメに購読してるのは少女漫画誌ですね。漫画は単行本派なので気になる漫画は漫喫でちょいちょい読めば充分なんですけど、少女漫画に関しては小さい頃から雑誌で読んでるので、なゆがリアルタイムで時代の流れを知っておける唯一の媒体だと思ってせこせこ買ってます。雑誌として評価してるのはIKKIとLOです。IKKIは、なゆとしてはメジャーなサブカル誌という位置付けです。青臭い漫画を排除しようというIKKI編集の正義には感心します。

■IKKIでは特にどの漫画が好きとかってあるんですか?

□IKKIでは西島大介さんの「ディエンビエンフー」と松本次郎さんの「フリージア」は文句なしにおもしろいです。けれども、超絶主観的に見て社会的な評価が不十分だと感じる作品を激しく応援したくなるという欲求に正直に選択すると、なゆが押したいのはアキタコウさんの「あいらぶ日和」です。

■「あいらぶ日和」ですか!意外です。

□単純に分類するとほのぼのラブラブ漫画なのですが、そのほのぼの加減はサザエさんをゆうゆう超えます。そもそも車が炎上したり、密室で人が死んだり、ノンワイヤーのアクション! とかにまったく興味が持てない性格ですから、ライバル登場だとかドッキドキ片思い、ドラ猫がお魚くわえる程度のスリルすら無性にウザいと感じる夜もあります(笑)。そういう時に読めるものは無いのかな、と諦めていたところで「あいらぶ日和」です。ただひたすらラブラブカップルの日常がとうとうと続くノロケ漫画で、誰もが夢見るハッピーエンドのその後のお話、「そして王子と姫は幸せに暮らしました。」の世界を何のパロディも皮肉も車炎上もなしに描きます。常に新しい刺激に飢えて胃酸過多な文系猛者たちの緑の胃薬的存在、胃にやさしい漫画なのではないでしょうか。大袈裟に言うとね。

■そう言われると「あいらぶ日和」に対する見方がかなりかわりますね。LOっていうのはどんな雑誌なんですか?

□LOはロリコンエロ漫画誌なんですけど、普通のエロ漫画ってランドセルしょってる女の子がでてきても「○学二年生」とかいちおうごまかすのが習わしになってますよね。LOは「8歳の○○ちゃん、身長135cm、趣味はぬり絵」とかモロ書いちゃってるんです。あらかじめ年齢を紹介してるにも関わらず、「8歳のマンコはキツキツだ〜」とか「8歳のアナルに中出し!!」とか、無駄に年齢を確認したりするんです。そいで雑誌の最後には「性犯罪のない世の中を願って 編集部」みたいな一文が載せられてます。そんなLO編集の強引な正義には感心します。

■ブログでイラスト投稿を報告した快楽天も有名なエロ漫画誌ですよね。

□エロ漫画は好きです。そもそも女の子が好きで、かわいい女の子がエロいことをされてるのを見たいっていうのがすごくあるので、小中学生の時に廃品回収のところからエロ漫画誌を拾ってきたりしていました。今はやらないですよ(笑)。


【尾田栄一郎=石田衣良説】

■これまで特に影響を受けた漫画とか雑誌とかってあるんですか?

□うーん、影響を受けた雑誌というとエロティクスですかね。まだエロティクスFが出る前の。ちょうど山本直樹さんの漫画を初めて読んだくらいの時に本屋さんに置かれるようになって、当時はサブカル誌というよりは、買いやすいエロ本という目で見てました。でもエロティクスを読んでからサブカルという世界があるんだということを知りました。中学生くらいの時ですかね。でも未だにサブカルの概念をつかめてません。

■好きなものは「ドーナツ、パンダ、山本直樹」というくらい山本直樹好きなんですよね。僕は彼の描く女性の顔とか体形があまり好みではないので、「極めてかもしだ」以外は読みませんでした。

□あー、体型は好きだけど私も顔はあまり好きじゃないかな。山本直樹さんの最近の作品「レッド」は、まだ面白いかどうかよくわからないんですよ。完結してから二回読んでやっとストーリーが分かるっぽい感じです。

■もっと有名な漫画家の作品はあんまり読まないんですか?

□有名どころの漫画は全然知らなかったりするんです。すごく昔の少女漫画とかはあまり読んでないし、ジャンプも10年くらい前の漫画ならわかるけど、最近たまに買っても、こち亀とジャガー以外読むものがないですね。なゆ、ワンピースもナルトも好きじゃないんですよ。しかも作者がわりとカッコよくて未婚だっていう噂なので。尾田栄一郎さんは「石田衣良的な上手さ」があるんでむかつくんです(笑)。

■そういえばブログでも石田衣良の私生活を絶妙に妄想されてましたよね。

□なゆはよく話題に石田衣良が登場するんですよね。このあいだも「書斎特集」って書いてある雑誌の表紙をちらっと本屋で見て、自分の書斎を公表するなんて石田衣良しかいない!と思って見てみたら、やっぱり石田衣良でした(笑)。むかつくけど気になるアイツ、みたいな。でも、ただむかつくんじゃなくて、実際石田衣良に迫られたらちょっとトキメいちゃうかな、っていうのがむかつく最大の理由なんです。

■複雑な乙女心ですね(笑)。


【市立図書館の本を読みまくった少女時代】

■好きな作家として村上春樹と夏目漱石の名前をよくあげられてますけど、石田衣良もなんだかんだで結構読まれてますし、ブログを読むとかなりの読書家だなって思います。

□いえいえ、なゆはそれほど読んでないんです。いろいろ中途半端なんです。でも小学校三年生くらいから、市立図書館の本を全部読もうと思って、ものすごく通ってましたね。紙をめくるのが好きなんですよ。ていうか紙が好きなんです。だから大人向けの小説も小さいころから沢山読んでいて、そういう小説には当然セックス描写もでてくるので、そのての知識はすごく早くからありましたね。

■村上春樹と夏目漱石の他にはどんな作家が好きなんですか?

□古川日出男、マリー・ダリュセック、ジャネット・ウィンターソン、ポール・オースター、森茉莉、トニ・モリスン、カポーティ、舞城王太郎、リチャード・ブローティガン、ボリス・ヴィアンなんかが好きです。

■マリー・ダリュセックとかジャネット・ウィンターソンとかポール・オースターとかは僕、全然わからないです。。。

□うん、インタビューでは凄く有名どころの二人が分かりやすいから、その二人が好きって答えてるんです。基本的に友達とも文学の話とかはしないですね。あとは最近読んだ手塚治虫さんの自叙伝「僕は漫画家」も最高に良かったです。文章も素敵なんですね、手塚さんってば。惚れてしまいそうです。

■長い小説も結構読んでますよね。「カラマーゾフの兄弟」も二回読んでるとか。

□小説も漫画も基本的に二回読むんですよ。AVといっしょなんですよね。だいだいバーッとみて、ここが抜きどころだなと確認したら(笑)後からゆっくり読みます。カラマーゾフの兄弟はキャラが好きなんですよね、末っ子の。

■そんななゆかさんでも沼正三の「家畜人ヤプー」はさすがに途中でやめたという。

□「家畜人ヤプー」は面白いんですけど、なんか長すぎますよね。もうちょっと短くまとめられたはずだと思うんです。後半に設定がいろいろ変わったりし過ぎだし、あとダジャレみたいな言葉遊びが多すぎたり。しかも初版は蛍光緑の字で印刷されていたらしくて、そういう意味でもすごく読みにくかったらしいですよ。


【「最近はまたマンガも描こうと思ってるんです」】

■もともと自分でも漫画とか小説とか書いたりしていたんですか?

□中学生の時に漫画を描いていて、某雑誌の編集者に見てもらっていたこともあるんです。そのころはセーラームーンの絵柄を模写してXXXXXの恋愛漫画を書いてました。でもそんなの掲載されるわけないですよね(笑)。小中時代はわりと暗い感じで。まあ特に自分が暗いという自覚も無く生きていたんですけど、高校になってからイケイケの人になるとどんな気分なのかなと思って、しばらくはイケイケでした。高校の終わりくらいに、自分にイケイケは向いていないなと気付きましたね。富山の地元にはヤンキーが凄く多くて、サブカル友達はまったくいませんでした。東京に来てバイト先とかで漫画の話をすると、地元では誰も知らなかったような漫画を知っている人がいて嬉しかったです。最近はまたマンガも描こうと思ってるんです。

■音楽には興味がないんですよね。

□音楽はぜんぜん聞かないですね。たまにYoutubeでカラオケで歌いたいアニソンを聞くくらいで、CDは小学校の時お父さんにもらったディズニーのサントラしか持ってません。文系友達に石野卓球とかゆらゆら帝国の話をされてもまったくついていけないのが玉に瑕です。というわけでインサイターの音楽関係の記事は読み飛ばしてしまいました。どうもすみません(笑)。でもやっぱりオザケンの存在は好きです。

■音楽よりもオカルトのほうが好き、っていうのも面白いです。

□なゆが人生の汚点だと考えているのはムーを読んでなかったことです。もちろん宇宙人だとかUMAには昔から興味アリアリだったんですけど、田舎の本屋さんにムーは置いてなかったんですよね。ムーの存在を知ったのは上京してからでした。小さい頃から抱いて寝てるぬいぐるみがないと、乙女としては不完全な気がするし、小さい頃からムーを愛読していないとサブカル女子としては不完全なんじゃないかと思うのです。いや、別に完全体サブカル女子になりたいわけじゃないんですけど(笑)。

■最後になにかオススメの漫画を教えてください。

□卯月妙子さんの「実録企画モノ」ですね。AV女優兼漫画家で、最近は舞台とかをやってるらしい卯月さんのリアルな日常を描いたものなんですが、ウンゲロミミズの撮影裏話やら、小学校の時にクリトリスをクリップではさんで上からガムテープで固定して登校してた思い出やら、旦那さんが自殺した経緯までおもしろおかしく描いてるんですよね。すごいですよ、この人は。あとは自分のブログで一人息子とセックスした話を書いてものすごい非難されたりとか、とにかくすごいです。よかったら読んでみてくださいね。

■それって車炎上とかノンワイヤーアクションどころじゃないですね(笑)。