君たちに明日はない (1) (マンサンコミックス) (マンサンコミックス)君たちに明日はない (1) (マンサンコミックス) (マンサンコミックス)
著者:垣根 涼介
販売元:実業之日本社
発売日:2008-12-25
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企業の人事部の代わりに人員整理や指名解雇を行う「リストラ請負会社」に勤める33歳の主人公は、ストレスを感じつつも与えられた職務を冷徹にこなす日々を送る。自主退職の督促をする面談相手は、建材会社のパワハラ支店長や玩具メーカーのオタク開発者、私立学校の教師、高校時代の同期銀行マンと多種多様。そうしたリストラ候補の一人だった40代の独身営業ウーマンと恋に落ちたことをきっかけに、主人公は自らの人生を回顧しはじめる。

2005年の山本周五郎賞を受賞した垣根涼介の小説『君たちに明日はない』の漫画化作品。昨年末にコンビニで購入。現在も週刊漫画サンデーに連載中で、この第一巻は小説のほぼ前半部分に相当するようだ。原作は未読。

リストラ対象者本人の葛藤と、他人のサラリーマン人生に引導を渡す主人公自身の葛藤。この二つの視点を通して、サラリーマンという職業が抱える諸問題が浮き彫りにされる。リストラされる側の心理描写が人によっては物足らなかったり、主人公が熟女フェチであるとか元レーサーであるとかという設定が唐突に出てきたり、柳沢きみおの漫画のようなセックスシーンが挿入されたりして、緊迫感はあまりないけれど、テーマ自体がタイムリーなので一気に読ませるパワーはある。少なくともこれからの数年間は、リストラ(クビ切り)とまったく縁が無いサラリーマンはいないだろう。いまでも我々は『明日があるさ』をあの頃と同じ気持ちで歌えるんだろうか。

いまや漫画読者の多くはサラリーマンなのに、サラリーマンという存在に真正面から取り組んだ漫画は多くない。だから取材に基づいたサラリーマン小説を原作とするこうした漫画がもっとあっていいはずだ。