「赤坂プリンスホテル」改め「グランドプリンスホテル赤坂」が2011年3月31日をもって閉館された。

赤坂プリンスホテル新館は、戦後を代表する建築家である丹下健三の設計により1983年3月7日に開業。「赤プリ」と呼ばれてクリスマス・シーズンには若者が殺到する人気デートスポットになり、バブル景気のアイコンのひとつとなった。

広告業界で働く人々の日常を風刺的に描いたギャグ4コマ漫画『気まぐれコンセプト』は、バブル当時にたびたび赤プリを舞台にしたネタを描いた。以下の作品は1988年の年末にビッグコミックスピリッツに掲載されたものだ。

赤坂プリンス


ホイチョイ・プロダクションズが描く、バブル期のこうした享楽的な「ギョーカイ人」像は、会社に閉じ込められて社内遊泳にキュウキュウとする従来のサラリーマン像とは一線を画していた。広告やマスコミは人気業種となり、「シンデレラエキスプレス」のJR東海や「やわらかあたま」の住友金属など、CMの人気が企業の就職人気を高めるという現象も生まれ、ギョーカイの影響が広くサラリーマン社会を過去のしがらみから剥がしてくれるようにさえ思われた。東京電力が内田春菊による人気キャラクター「でんこちゃん」のキャンペーンを始めたのもこのころだ。

ちょうど同じころ、チェルノブイリ原発事故(1986)を契機として書かれた広瀬隆の反原発書『危険な話』(1987年)が社会現象化してはいたものの、原発推進/反対の議論は平行線を辿ったまま、バブルの喧騒に飲みこまれていった。

バブル期に多くの若者たちが熱狂と快楽と狂騒に彩られた半醒半夢の夜を過ごした「赤プリ」は、今月上旬から約3カ月間、東日本大震災の被災者、特に原発事故で避難した福島県民の受け入れ施設として活用される。夢から醒めたのだ。引用した『気まぐれコンセプト』の作中で福島という名前の人物が赤プリに宿泊しているのは単なる偶然だろう。