この夏の8月5日、「フリートークの天才」と呼ばれたマエタケこと前田武彦さんが亡くなられ、その翌日に「Mr.かくし芸」マチャアキこと堺正章さんが22歳年下の一般女性と再々婚した。

昭和のテレビを席巻したこの芸能界の二大巨頭が、かつて「怪獣」だったことを覚えている人は、もうそれほど多くないだろう。怪獣ブーム全盛期の1971年に放映されたバラエティ番組『マチャアキ・前武 始まるヨ!』で、二人をモチーフにした怪獣が暴れるコーナーがあったのだ。怪獣の名はマエタケ怪獣ベロベロとマチャアキ怪獣ガリガリ。怪獣ベロベロは、毒舌が武器だったマエタケにちなんで、二枚のベロが巨大な口から大きくはみ出した異相が特徴。痩躯だったマチャアキは、細身で軽量そうな鳥の骨みたいな怪獣になっている。

番組自体が短命で終わったために、実際に動いているベロベロとガリガリを見た人は少なかったと思われるけれど(DVD化希望!)、人形は当時ブルマァクからちゃんと発売されている。そしてこの出来が素晴らしくイイ。二躰揃えて並べると、その個性のコントラストが際立ってさらにイイ。なんでもかんでも怪獣化され、人形化された時代の臨界点だろう。

1950年代から1970年代にかけて日本を席巻した「怪獣」という存在は、戦争や原爆、公害といった「大きな問題」のメタファーとして普及し、浸透していった。この時代、お金の亡者は「カネゴン」と呼ばれ、怒ってばかりの怖いママは「ママゴン」と呼ばれた。そしてテレビというまだ成長期のマスメディアを舞台に活躍する異能の芸能人もまた、怪獣だったのだ。

ビッグ・ブラザーの時代からリトル・ピープルの時代へと移行した現在、「怪獣」という想像力は役割を果たしてしまったので、怪獣化される芸能人はもういない。マエタケ怪獣ベロベロに合掌。

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リトル・ピープルの時代
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