2006年06月

2006年06月27日

リカルド=カシン著。水野勉訳。白水社。
有名すぎるが、現在入手は難しいだろうからここで紹介。
イタリアの名クライマー、リカルド=カシンの、筆者68歳の時の処女作品(!)。戦前のまだ貧しく、なかなか思うように山にも行けなかった頃から少ない休みで初登攀をした若い頃から、戦争で山どころじゃなかった話、後輩の育成、K2,G検年をとってからもマッキンリーやアンデス、カフカズをクライマーとして登り、メスナーらを率いてローツエ南壁にいたるまでの話。まだランニングビレイやA1の発想がない時代に諸批判を受けながらも積極的に受け入れ、冬にスキーも楽しむ柔軟性、その上で埋め込みボルトを頑なに拒否するクライマーの矜持が彼の魅力。さらに自分が50年前に初登攀したルートをその時よりも早く登るというエネルギッシュなところも、本当に楽しそうに書いている。大遠征では苦汁を舐めているが(特にK2)、1クライマーとしては尊敬するところが多い。
文章はそれほどうまいとは思わないが、率直に経験や思想を語っている。メスナーを読む人なら、彼ほど壮絶ではないにせよ似たものを感じるだろう。

(21:23)