Doc 4 - CIA - Zendebad Shah今月19日、米ワシントンDCに拠点を置くシンクタンク、国家安全保障文書館(National Security Archives)は、1953年8月、イランで発生したモハンマド・モサデク(Mohammad Mosaddegh)政権転覆クーデターに関する機密文書について、新しく公開された分も含めて、自らのウェブサイト上に公表した。

このクーデターは、もともと第二次世界大戦後、イラン首相となったモサデクがイギリスに牛耳られてきた石油資源を国有化しようとしたことに端を発したものである。さらに、モサデクは、反英・反米志向を強くして、ソ連への接近を図ったため、英米のオイル・メジャーによって仕切られていた国際市場から締め出しを受けることになった。

その結果、イランの財政状況は急速に悪化し、イラン国民の間でモサデクへの批判が高まった。こうした中で、モサデク政権の転覆を狙ったクーデターが発生し、モサデクは逮捕、失脚して、軟禁生活を余儀なくされたのであった。

従来から、このクーデターに米中央情報局(CIA)が関与していたという話は有名であった。実際、元CIA工作員のカーミット・ルーズベルト(Kermit Roosevelt)が書き残した『CIAの逆襲 ドキュメント「パーレビ復権」 イラン1953年』(毎日新聞社、1980年)という回顧録が存在していて、「アヤックス作戦(Operation Ajax)」として工作活動が行なわれていたことが明らかにされている。もちろん、この作戦には、イギリスも加わっており、いわば米英共同でモサデク政権転覆が図られたのである。

このほかにも、CIAがクーデターに関与していたという話は出ていたのだが、米政府は、あくまでも皇帝派のイラン軍部によるものだとして、その関与を認めてこなかった。

今回、公開された文書は、情報公開法を通じて入手されたものが中心となっている。内容としては、過去にCIA内部で作成された資料やカーミット・ルーズベルトが作成した作業メモのほかに、英国立公文書館で収集された文書も含まれている。文書解説を担当しているマルコム・バーン(Malcolm Byrne)氏によると、公開された文書は、CIAがクーデターに関与したことを初めて公式に認めるものであり、公開に踏み切ったCIAの判断を評価したいとしている。

ちなみに、現在、国務省においても、『アメリカ外交文書史料集(Foreign Relations of the United States)』のシリーズとして、このクーデターを扱ったものが出版計画のリストに入っている。当時の状況を記録した文書は、1960年代に大量に破棄されたとのことなので、その全貌を把握することは難しいであろうが、近い将来、こうした文書を学術的に検討することによって、クーデターの真相が少しずつ解明されていくことになるかもしれない。

【関連文書】
CIA Confirms Role in 1953 Iran Coup
National Security Archives, August 19, 2013.

【関連記事】
"CIA Admits It Was Behind Iran's Coup"
Foreign Policy, August 18, 2013.

"In declassified document, CIA acknowledges role in '53 Iran coup"
CNN, August 19, 2013.

CIA、53年のイラン政変主導=初の公式確認文書公開-米大学
『時事ドットコム』(2013年8月20日)


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