11日、アメリカ中央情報局(CIA)のライアン・トラーパニ(Ryan Trapani)報道官は、最も新しい情報評価として、イラクとシリアで活動しているイスラム過激派、イスラム国(Islamic State of Iraq and Syria、ISIS)の戦闘員数について、20000~31500人と見積もっていることを明らかにした。

トラーパニ報道官によると、今回の情報評価で示された数字は、2014年5月から8月までの情報報告をすべて検討し直して弾き出したもので、従来の評価では、戦闘員数をおよそ10000人と見ていたことを考えると、その評価が大きく修正される形になった。

戦闘員の数が増えた理由について、トラーパニ報道官は、6月以降、ISISがイラクでの戦闘を有利に進めつつ、インターネットを使った熱心なリクルート活動を行なっていることを挙げている。とくに外国人戦闘員の増加が目を引くところであり、その多くは、宗教的・イデオロギー的な動機によってメンバーに加わっているのではなく、給料や生活費の支給など、金銭的な動機に基づいていると見られている。

アメリカのバラク・オバマ(Barack H. Obama)大統領は、10日に行なった演説の中で、「我々の目的ははっきりしている。包括的かつ持続的な対テロリズム戦略を通じて、ISISの勢力を弱め、最終的に壊滅することだ」とし、これまでイラクに限定していた空爆をシリアにも拡大する一方、イラク政府を軍事的にサポートするために、475人のアメリカ兵を追加派遣するという方針を発表した。

今回の情報評価は、その準備のために作成されたものだが、ISISの兵力が底上げされているにもかかわらず、オバマ大統領は、シリアへの大規模な地上部隊の派遣を拒否し、空爆によって、ISISの侵攻を食い止める戦略にこだわっている。確かに、8月以降、イラク軍やクルド人の民兵組織と連携し、ISISが占拠していたイラク北部の拠点を奪回することに成功しているので、今後もそのやり方を続けていくつもりなのかもしれない。

ただ、シリアの場合、アメリカ軍の空爆と連携して、地上部隊を展開してくれそうな存在は見当たらない。以前から退陣を求めてきた、シリアのバシャール・アル=アサド(Bashar al-Assad)政権と今さら手を組むわけにもいかないだろう。空爆に頼るにしても、標的に誘導するための情報が必要になってくるが、そのための情報網がシリアに構築されているとも思えない。つまり、ISISを抑え込む上で有利な条件があまり揃っていないのである。

ここから先は、判断が難しいところだ。アメリカ人ジャーナリストが殺害されたことで、国内世論としては、ISIS壊滅を目的としたシリアへの空爆に賛同する声が広がっている。消極的な姿勢を見せ続ければ、オバマ大統領のリーダーシップが疑われることになるだろう。だが、そうかといって、シリアに踏み込むことは、現実的に考えると必ずしも得策とは言えない。アメリカによる地上部隊の派遣もオプションとしてあり得るかもしれないが、そうなると泥沼化する可能性が高く、軍事的にも政治的にもリスクが大きすぎる。オバマ大統領としては、悩みどころである。

【関連資料】
President Obama: "We Will Degrade and Ultimately Destory ISIL"
White House, September 10, 2014.

【関連記事】
"Islamic State could gather up to 31,500 fighters"
UPI, September 11, 2014.

"CIA raises estimate of Islamic State fighters"
USA Today, September 11, 2014.


Ys-K