2010124日(日)、ロシア国立ペルミバレエ学校日本校の公開卒業試験に招待いただきました。吉祥寺からバスで10分、杏林大学病院のすぐそばにバレエ学校はあります。スタジオ内はグランドピアノの前に40席ほどの椅子が整然と並べられています。公開卒業試験に先立ち、理事長の内田氏よりロシア国立ペルミバレエ学校について説明がありました。


第二次大戦中、レニングラードのキーロフ(現・マリインスキー)バレエ団とワガノワバレエ学校が疎開した
のがモスクワ東部に位置するペルミで、教師の中にはワガノワ・メソッドの創始者アグリッピナ・ワガノワもおり、ペルミでバレエを指導したそうです。ペルミバレエ学校がワガノワ派の直系と言われているのはそのためなのですね。戦後バレエ団と学校はレニングラードに戻りますが、一部の教師たちがペルミに残り設立したのがペルミバレエ学校す。ロシア国立ペルミバレエ学校日本校世界的に名高いワガノワメソッドを日本で直接伝承するバレエ学校です。


日本には民間のバレエ教室は沢山あるのですが、正式な教師養成システムはほとんどないそうです。バレエ教育には一般のスポーツとは違う知識が必要ですが、正しい教育を受けていない教師による間違った指導のせいで子供たちが無用な怪我をするケースも多々あるそうです。こうした現状を受けて設立されたのが、ペルミバレエ学校日本校教師養成課程(通信制)で、本日はその公開卒業試験日です。内田氏に続いて在日ロシア連邦大使館一等書記官のA・G・ フェシュン氏よりたいへん流暢な日本語でお祝の言葉が述べられ、いよいよ卒業試験が始まります。

 

今回試験を受けるのはダンサーを目指す生徒ではなく、ほとんどが本物のワガノワメソッドの習得に向けて勉強を続けてきた現役のバレエの教師たち13名です。彼女たちはペルミバレエ学校日本校のため日本語に翻訳された膨大な量のワガノワメソッドの教則本を用いて3年間の通信教育に加えて年3回のスクーリング(1回9日間で、年27日間)のスクーリングで模範的なアンシェヌマンの組み方、示し方、指導の仕方を徹底的に訓練されてきました。傍らでは、スクーリングを指導してきた本国ロシアペルミ本校の芸術監督とクラシックバレエ・キャラクター担当の教授が本日の卒業試験を見守ります。バーIMG_2059


最初はバーレッスン。13名の生徒さんがバーに並び、ピアノ演奏に合わせて一斉に踊り始めます。つま先、指先、膝、顔の向き、視線…隅々まで神経を配りつつ、動きは止まることなく続きます。バレエの基本はアンデオール(足の付け根、股関節から外旋させる動き)と言われますが、そのための内転筋を意識させる動きが大変多く取り入れられています。同時に、腕の動きの美しさ。ポールドブラの美しさで定評のあるワガノワメソッドならではの教えですね。


センターIMG_2125続いてフロア全体を使ったセンターレッスンです。シェネ、ピケターンなどの高速回転技やジャンプ、ステップなどワガノワメソッドのカリキュラムに定められた課題習得のため綿密に練られたアンシェヌマン(ステップの組み合わせ)が続きます。バーレッスンから相当な運動量のはずですが生徒さんたちは皆笑顔!素晴らしいスタミナです。



休む間もなくキャラクターレッスンです。
日本では正しいキャラクターダンスを指導するバレエ教室はほとんどないそうですが、ここペルミバレエ学校日本校では本家ロシアのキャラクター教師が来日し、テクニックを直接指導します。本物の指導を受けた生徒さんたちの表現力の豊かさに圧倒されます。キャラIMG_8727-2

 休憩をはさみ、今度は「ドン・キホーテ」や「コッペリア」、「白鳥の湖」などから有名なヴァリエーションが登場します。古典作品のヴァリエーションをロシアペルミバレエ学校の現役教授陣に学ぶことのできる機会はたいへん貴重です。直接指導を受けた生徒さんたちの踊りは、その作品をどのように表現したいのか、踊り手の気持ちが見ている私たちにもストレートに伝わる熱演で、演技終了後は観客からも教授陣からも大きな拍手が沸き起こりました。ドンキIMG_8667-2


 
卒業試験は本日の実技試験のほか、ロシア本校教授陣による口頭試験があり、かなりの難関ということです。ロシアの宝ともいうべきワガノワメソッドを正確に伝承させることに対するペルミバレエ学校本校教授陣の使命感をが伝わります。

今回の生徒さんの年齢層は20代から50代後半まで様々ですが、共通しているのは本物のワガノワメソッドを子供たちに伝えたいという強い思いです。ここで生徒さんたちが3年間学んだ本物のワガノワメソッドは、それぞれのバレエ教室で子供たちへ、未来のバレエダンサーたちへと正しく伝承されていくことでしょう。


尚、ペルミ日本校は<教師養成>の学校ですが、 10代、20代前半のダンサーを目指す人のためにも授業はダンサーになる人が受けるべき課程を理論的に理解し、実際に動いて学ぶものもあり、教師養成のためだけでなく、ダンサーになるためにも大いに役立つものとのことです。 実際に10代の方々の多くはペルミ日本校本学に入学し、 教師免許も取得しロシアのバレエ学校に留学して、プロの ダンサーを目指しているそうです。更に日本校の推薦のみで ロシアの国立バレエ学校に留学できるとの事です。

バレエが大好きな私は日本のバレエのレベルがどんどん上昇して行くことを想像し、今からワクワクしています。

インターハイスクールはこうしたバレエの先端を行くみなさまの学習との両立サポートを積極的に行っています。

学習コーチ杉野絵里子

 

 

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