花宴の台所便り

北米在住20年、世界の家庭料理を取り混ぜながらのうちの食卓です。 現在はカナダのトロント在住。

2019年05月

アフタヌーン・ティーの主役のスコーン、お菓子としては特に際立ったお味でもなく、見掛けも地味なものですが、お茶とお出しすると皆さん、不思議と喜ばれます。 ベーキング・パウダーを使うお菓子はセオリーも様々であれこれ試してみたのですが、最近になって”このくらいが作り方も安定していて美味しいかな?”というのが作れましたので!
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安定して作れるのはやはりフードプロセッサーです。 私の使っているのは$30くらいのミニサイズですが、6個くらいならこれでも十分。 薄力粉150g、ベーキング・パウダー小さじ1、バター40g(適当に切っておく)、塩ひとつまみ、グラニュー糖小さじ1。 材料を全てフードプロセッサーに入れて、全体がさらさらになるまで鋭い方の歯で回します。 ここのところ、バターを小豆大まで(パイのような層)かさらさらまで回すかに分かれるのですが、お茶用のスコーンの場合、さらさらまで回した方が安定した出来上がりになります。 さらっとしたところへ牛乳40g、ヨーグルト40g、卵半分を混ぜたものを加えて、今度はザクっと全体に水分が回る程度まで回します。 これはざっくりと。 これをラップに包んで30分くらい冷蔵庫で寝かせます。 生地が落ち着いたらラップの上から軽く伸ばして一度二つ折りにします。 もう一度伸ばして3センチくらいに伸ばして型抜き。
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スコーンの生地が厚いので、型には小麦粉をたっぷり目に叩いて使います。 ここまで作っておいて冷蔵庫に入れて、頂き際に焼くと焼きたてのホカホカが頂けます。
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190℃のオーブンで18分から20分。 
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スコーンにはやはりクロテッド・クリームとジャム!
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今日は季節のリュバーブ! 
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焼きたてのスコーンを割るとふわーと湯気が立って、焼き菓子の香り! 中々幸せな瞬間です♩
   

この日曜日、トロントの気温は25℃くらいですが日差しは夏、ダウンタウンのレストランやバーのオープン・エアのスペースは人で溢れています! 数日前まで皮のジャケットでも寒いかと思っていたら、今日は半袖にサンダルでも充分な暖かさ、やれやれ、春がない北国です。

このくらい暖かくなるとちょっとお弁当を持ってピクニックに行きたくなりますが、冷めても美味しくて、お菜も余り必要ないのがお赤飯です。 小豆を煮る、餅米の浸水、蒸す、と準備に2日掛かりますが、段取りさえ整えれば簡単に出来ます。 お祝いの席にはもちろんですね!
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小豆はカップ半量くらいでしょうか? 豆が崩れない程度の硬さまで煮て、豆と茹で汁を分けておきます。 この茹で汁に洗った餅米を浸して一晩置きます。 
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翌日は蒸し器の準備。 これはリゾット用の大きめの鍋で、私は3人以上の揚げ物にもこの鍋を使っています。 中に落としてあるのは製菓用のステンレスの足付きの網で鍋とは別に買ったもの。 
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ここに丁度良いサイズだったのがMUJI製の足付きの金属籠。 ここに布巾を敷いて水気を切ったお米を入れて蒸し器へ入れます。
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最初は強火で10分、一旦火から下ろしてお米の上下を返して更に10分蒸します。
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火から下ろして、今度は塩小さじ半分を溶いた半カップの水をお米に打ってさっくりと混ぜ合わせます。 
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茹でた小豆を加えて混ぜ合わせ、強火の蒸し器で10分、上下を練らないように返して更に10分。 
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合計40分で蒸し上がりです。 
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頂き際に黒胡麻と好みで塩を振って出来上がり♩ むっちりした餅米はお弁当に向きますし、小豆の栄養価も上々、伝統食は中々賢いものです。  
 

東京辺りと較べると3ヶ月遅れな感じですが、トロントにも植物の季節がやって来ました! 今年は少々遅めでしたが、街中のホーム・センターや八百屋さんには仮設のガーデニング・コーナーが登場し、良い感じで育っている苗がずらりと並ぶと心はそわそわ。 マンション住まいの限られたスペースですのにあれもこれもと植物妄想が浮かんで来るちょっと危険な(笑)ガーデン・コーナーです。
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可愛らしい花に高貴な香りの鈴蘭、トロントですとやっと今ぐらいから咲き始めます。 手前の苗木は今年買ったものですが、奥の2本は実は去年買ったもの。 土のまま置いておいたら、春になって土の中からニョキニョキと緑の茎が生え始めました。 2月には氷点下20℃まで下がりましたし、鉢植えで土の量も限られていますのに、良くぞ越冬したものです。 日本では北海道が有名ですがやはり北に自生する植物なんですね。 
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もう一つの越冬組で、これはブルーベリー! 去年の夏、青紫の美味しそうな実が沢山生っているのに惹かれて持ち帰ったもの。 特に越冬対策もしなかったのですが、4月頃から新芽が伸び始めました。 あの冬の寒さに耐えられる北国の植物、本当に大したものです。 
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これは驚いたのですが、ベランダのコンクリートの隙間の土から何か雑草が出て来てるな?と思ったら菫の花が咲きました。 去年、鉢植えで育てていたものの種でも落ちていたのでしょうか? 植物の力、凄い! 
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シブースト、これも去年のものが再生! お素麺など何かと便利な食材です。
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これはクリスマス用に買っていた飾り用の小さなポインセチア、小鉢3つが枯れずに頑張っていたので一緒に鉢植えに。 
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さて、今年の植え付けです! 去年、プランター栽培としては頑張ったレタスを多めに植えました。 手前はルコラとイタリアン・パセリ。
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2台目のプランター。 奥にマジョラム、ローズマリー、イタリアン・パセリ。 手前の空きにバジル、手に入れば大葉を植えたいなあ。
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ミントはプランターで寄せ植えにすると他のハーブ類より元気過ぎましたので、今年は単品で鉢植えに。
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2種類のラベンダー、香りの良いイングリッシュ種と花の可愛いフランス種。
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今年の薔薇。 上手く育ってくれると良いのですが。
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パンジーの鉢植え。 
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これは蝶々のような花が可愛いので買ってしまった鉢。
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寄せ植え。 やはり花の咲く植物は綺麗です!
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冬の間、室内で観葉植物になっていたオレンジも外へ出しました。 去年の収穫は7つくらい、こんな鉢植えでも白い可愛い花が咲いて小さいオレンジを収穫! 今年も伸びて、花が咲いてくれると良いなと思っています。 


  

これは辰巳芳子さんのレシピー、特別に難しいものではありませんが、目にも麗しくしみじみと美味しい小丼です。 いよいよ地物が出て来たファーマーズ・マーケットにトウの立ったラピーニがありましたので、それを使って。 菜の花とかスーパーのラピーニ(イタリア種の菜の花)でも美味しいです。
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ラピーニはぐんぐん茎が伸びて花が咲いてしまっています、ここまで育ってしまと頂くにはちょっと手が掛かりますが、春らしい。 アスパラガス、行者ニンニク、法蓮草も元気です!
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トロントのファーマーズ・マーケットはお値段が少々強気過ぎるのですが、やはり日持ちはスーパーのものと全然違います。
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水に浸けてシャキッとさせてから蕾と茎を分けて下準備。
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蕾から5センチくらいまでは茎が柔らかいので美味しく頂けます。 贅沢ですが、ここだけを摘んで丼用に。
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茎ですが、スーパーのものと違ってここまでトウが立ってしまったものは芯が硬く、茹でただけでは頂きにくいので、これは茹でて刻んでからお豆腐と白和えに。
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水気を切ったお豆腐、茹でてざっと刻んだ茎、白味噌、薄口醤油を足してバーミックスで滑らかに。
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薄緑色の和え衣。
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茹でたアスパラに添えて和え物。
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蕾はオリーブオイルをまぶしてから中火でさっと炒めてお酒とお醤油で味をつけます。 これをこんもりと温かいご飯に盛って出来上がり。
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やはり春に頂くと美味しい♩
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鮭を添えましたが、大人だけでしたら丼、おみおつけ、白和えだけのお精進にしても十分かと思います。 



 

パン作りは奥の深いもの、シンブルなパンほど発酵種の種類や状態が膨らみや味に影響しますので、良い材料を揃えてもプロフェッショナルの真似事は難しいですが、牛乳や卵など味のしっかりした材料を加えた菓子パン類ですと市販のドライイーストでもそこそこ美味しいのが出来ます。 生地は中力粉300g、牛乳200g、溶き卵半分、砂糖大さじ1、塩小さじ半分、バター25g、ドライ・イースト小さじ山盛り1。 
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一次発酵を終わらせた生地の半分を伸ばして表面に柔らかくしたバターを塗り、 グラニュー糖とシナモン・パウダーをふってくるくる巻きます。
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こちらはバターを塗ってからジャムを塗って同じように巻きます。
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成型したら第2次発酵を30分程、卵の残りを表面に塗ってテリをつけます。 シナモン・ロールの方にはあられ糖をたっぷりと!
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 シナモンとパンの焼ける香りはウキウキしてくるものです!
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果物と菓子パン、美味しく入れたコーヒーは朝ご飯にもおやつにも! 

大福は何の飾り気も季節感もない餅菓子ですが、目につけば何となく手が出る普段着の気楽さ、ぽってりした姿も何となく可愛いかったり。 作るのも簡単です。
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餡は基本は漉し餡ですが、粒餡でも中々美味しいのが出来ます。 これは自家製の餡ですが、市販の物でしたら水気を足して柔らかめに。 一つ18gの餡玉に準備します。
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お餅は羽二重。 白玉粉50gにグラニュー糖30g、水100g、水飴大さじ1。 ボールでしっかり溶かしてからラップをして電子レンジで1分、一度出して全体をかき混ぜてから30秒。 鍋で火にかけても出来ます。 レンジの場合は機種の機能で時間にかなりの差が出ますので注意を。
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水飴を少量加えるのは浸透圧対策です。 お菓子用語ですとトレハース。 作って直ぐに頂く場合は必要ありません。 入れないで作ると時間を置いている間に羽二重が餡の水分を吸ってしまう、和菓子の化学。
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片栗粉を均したパットに熱いお餅を広げて6つに分けて餡を包みます。 羽二重は柔らかいですから、手で引っ張れば案外綺麗にまとまります。
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自家製の大福は柔らかくしっとり! これは羽二重が柔らかい配合で私は柔らかい方が好きですが、形を綺麗に作る場合は水の分量を減らすと形を整えやすく出来ます。 

羽二重に抹茶を混ぜるとお茶の香りと綺麗な緑に仕上がりますし、日本的ではありませんが、ジャムなど混ぜると綺麗な色にも。  
  

深川は地下鉄の駅ですと門前仲町辺りでしょうか? 中々足が向かないところですが、駅を出ると情緒のある素敵な街で門前には深川飯屋さんがちらほら。 私が東京にいた頃は深川飯は生姜の効いたアサリの炊き込みご飯でしたが、これは大工風だそうで、漁師風はアサリがたっぷり入った味噌仕立てのお汁をご飯にかけた、いわゆるぶっかけ飯、たっぷり捕れたアサリを漁師が簡易に美味しく、ささっと食べられたご飯とか。
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日本は初夏・・・になってしまっていますが、春のアサリは身がたっぷりで美味しい! 貝類は眼に良い、と言いますので、PC、スマホを見続ける現代生活には助かる食材かと思います。 貝と貝をこすりながら丁寧に洗います。 トロントの方はマニラ・クラムとかパスタ・クラムと表示されているのがアサリです。
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ネギは東京ネギを。 トロントですと青ネギになりますので、根に近い白い部分と青味を分けてぶつ切りにして準備。 
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貝はお酒たっぷり目に水を加えて強火にかけ、口が開いたものから取り出します。 全部開くまで火にかけていますと、貝が固くなりので。 全部の貝が口を開けましたら、身が煮汁に浸かる状態に。 この間にご飯やら、他のお菜の準備を。 
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ここまで沢山準備しておいて使い回しても。
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お味噌は田舎味噌に八丁味噌ちょっとを混ぜたもの。 これは米麹から作った自家製の大豆味噌。
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このお料理は味噌の香りが結構大事ですので、市販のお味噌でもちょっと擦って合わせると香りが立って美味しくなります。
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さて仕上げ! 最初に貝の出汁と水か昆布出汁を鍋に加えて塩気の塩梅をみます。 お味噌が入りますので、ここで加減を。 沸騰したら湯引きした油揚げとネギの白身を加えてなじみましたらネギの青味、アサリの身、お味噌を加えて出来上がりです。
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出来上がりに海苔を少々、普段のアサリのおみおつけよりも実だくさんにたっぷりと盛ります。 深川飯は本来は丼物もの、大ぶりのお椀にご飯を盛り付けて、上からこのお汁をドンとかけた汁かけご飯。 汁かけご飯はお夕飯には少々荒っぽいので、私は汁だけを椀物として作りますが、忙しいお昼とかお酒の後の締めのご飯、ガッツリと食べたい場合には漁師風にぶっかけで。 ご飯がお味噌汁でむっくりと伸びて、それはそれで美味しいのです。  
 

日本からは早くも”熱中症注意”なんて話が聞こえて来ますのに、今年のトロントはまだまだ肌寒い日が続いています。 一瞬の暖かさに釣られて薄着になった若い人は今更冬ファッションには戻れず、寒さに衿を立てていますが、私など薄手のダウンコートが手放せず・・・昨日はやっとぽかぽかと春らしい日になりましたが、まだ油断も出来ない5月、このまま春を飛ばして夏になるのが北国です。
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それでも少しずつローカルの野菜がマーケットに出て来ました。 春一番最初に出て来るのがこちら。
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行者ニンニクです。 英語だと複数の呼び名があって、ニューヨークのファーマーズ・マーケットではRampsと呼ばれていました。 トロントですとWild Leekが通り名になっています。 お味は邦名の通りのニンニクですが、ひねたニンニクよりもお味が柔らかく美味しい山菜です。

一番美味しいのはお醤油漬け。 綺麗に洗って根を取り除いたら、プラスティック・バックで十分ですので下漬け無しでそのままお醤油に漬けます。 お酒を少々足しても。 冷蔵庫で2日くらいで頂けます。
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これと炊きたてのご飯、というのは他にお菜のいらない美味しさです。 刻んで炒飯にも良いですし、ハンバーガーに挟むと良いお味のアクセントになります。 

生のままでしたら少々油が跳ねますが、天ぷらも美味しい。 こちらでは炒めてパスタと和えたりします。 

行者ニンニクはその名の通りのニンニクですので、翌日でも匂いは口に残りますのでそのつもりで。 山菜は一般に性の強いものですので、一度に頂く量は少量で。 食べ過ぎは良くありません。 これは北国のもので日本ですと北海道、東北の山間部では馴染みのある山菜のようですが、昨今はグルメ流行りの延長でどこのレストランでも扱うようになったようです。 行者ニンニクは鈴蘭と姿が似ていますが、鈴蘭は食べると猛毒です。 仕入れ先の信用出来る店やレストランを心掛けてください。 トロントでしたらファーマーズ・マーケットにForageさんのブースが出ていますが、ここは山菜のスペシャリストです。 

昭和40年代くらいでしょうか、ホイル焼きは流行りの家庭料理だったのか母も良く作っていたようです。 中身は鶏肉や白身の魚、熱々のホイルを開けて湯気が上がったところにお醤油とレモン汁を少々、和洋折衷の美味しさ! 簡単料理で、帰宅時間が違う家族にも合わせて作れるのが良いところです。
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ホイルは大きめに切って最初に刻みネギ。
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 塩を振って20分くらい置いた鱈の切り身、刻んだきのこ類をのせます。 きのこ類を加えると底味になってぐっと美味しさが上がります。
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バターを一片、日本酒を大さじ1。
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刻み葱を上にも乗せてライムの皮を少々。 柚子や酢橘なら更に良いですね。
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ホイルをきっちりと閉めて200℃のオーブンで20分くらい焼きます。
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頂き際にライムの絞り汁とお醤油を少々! 中華料理の酒蒸しのような、フランス料理のパピヨットのような。 洋食風な日本酒、バター、お醤油の味付けがご飯と良く合います。 
 
  

イギリスのお菓子というのは大陸のものと較べると全般に少々雑というか、コンセプトや仕上げがシンプルですが、その手作り感がチャーミング。 トライフルやサマープディングは、典型的なイギリスのデザートです。 季節の果物、カスタード・クリーム、ホイップ・クリーム、スポンジ・ケーキを大きなグラスに重ねていくのがクラシックですが、これは大人数向き。 少人数向きにはグラスを使っても! 
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苺は小さめにカットしてレモン汁とグラニュー糖をまぶして冷蔵庫へ。 苺のシロップがジュワッと出て来るまで待ちます。
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グラスの底に苺とシロップ。 その上から適当に切ったスポンジ・ケーキをのせます。 これは簡単にするのでしたら市販のカステラでも。 自作でしたらロールケーキの生地が向いています。
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上から柔らかく作ったカスタード・クリームを。 カスタードは卵の黄身2個に薄力粉大さじ1、牛乳を250g加えて火に掛けます。 仕上げにヴァニラとブランディーを少々。
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ポイップしたクリームを重ねて・・・
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 上からフレッシュな苺を飾ります。
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自然な苺のシロップが染みたスポンジ・ケーキ、カスタードと生クリーム、苺のお味が重なったクラシックな美味しさ♩  イギリスはお茶やウイスキー、ビールには情熱を注ぎますのに食事に関してはヨーロッパの中では無頓着、そんな中でトライフルは大陸ヨーロッパのお菓子ともちょっと違った家庭的な愛らしさがあると思うのです。 
 

アメリカには”マック&チーズ”なるお子様向けな食べ物がありまして、これはこちら風のマカロニ・グラタンですが、日本のグラタンに慣れた方にはギョッとする見掛けです。 具材は茹でたマカロニだけ、こちら風のオレンジ色に近いチェダーチーズでベタベタに和えたもので、私には食欲が湧きかねるアメリカンなお子様メニューの定番です。 最近はレストランなどがこれを改良、輸入物の美味しいチーズやトリュフ・オイルなどを使ってイメージ・チェンジを図っていますね(笑)。 原形は同じものでしょうが、V君でも”マック&チーズとマミーのマカロニ・グラタンは別物”と言います。

レシピーの通りに作っても何となくお味に纏まりがない家のグラタンですが、レストランはやはりソースに一手間掛けているようです。 今日は海老グラタン。
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私は多少ネギ類のお味が入った方が好きですので、今日は薄切りにしたポロ葱(玉ねぎでも)を弱火で蒸し炒めしたものにバターを加え、薄力粉を合わせてルー状なったら牛乳を加えてソースにします。 弱火で少し煮込んでとろみの調整を。 緩いくらいの方が私は好きです。 茹で上がったペンネを加えてソースと合わせておきます。 グラタンの場合、ペンネはアルデンテより柔らかく茹でた方が美味しいと思います。
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海老は出来れば殻付きで準備。
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身と殻を分けておきます。 身の方には薄切りのレモン一枚分くらいのレモン汁を加えて。
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海老は最初に身だけを軽く炒めて塩胡椒、炒めたパンに白ワインを振って鍋をデグラッセして汁気をホワイトソースの鍋に加えます。 この二つの作業で炒めた海老だけを加えるより、ソースの味に奥行きが出てきます。
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同じ鍋で今度は殻を炒めて白ワインを振り込んでデグラッセ、鍋に残った汁気と殻に残った旨味をホワイト・ソースに加えます。 これでソースと具材の海老に纏まりが出てきます。 炒めた海老を加えて味を整えてオーブン皿へ。
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グリュリエール・チーズをたっぷり乗せて、バターを散らしたらオーブンで30分くらい。
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グツグツと煮えるグラタンと焼けたチーズの匂い、子供も好きですし、大人は白ワインでも開けて楽しみたい感じです。 

仕事をしている頃、同僚だったフランス人のG氏、南仏出身で日本へ出張中でも週末には私費で京都の俵屋なんかに泊まりに行ってしまうお坊っちゃまですが、その彼とクライアントと食事をした事がありました。 その時私が頼んだのがパスタ・カルボナーラで、その店(ロックフェラーセンターのチプリアーニ)のは表面をオーブンで”グラタン”にするスタイル、美味しそうな焦げたバターとチースの香りに彼は瞬時に反応し、”XX、それちょっと味見させて!!”と本気なお願い(笑)、フランス人にとってのグラタンの匂いは日本人で言えばお醤油の焦げる匂いというところでしょうか? 

あの時のレストラン仕様なカルボナーラはちょっと忘れられないお味で、近いものが再現出来ないかと思うのですが・・・バター、チーズ、クリーム(使っていました)、卵の黄身、グアンチャーレ、食べるのに覚悟のいる組合せではあります(汗)。 



 

昨今の健康志向もあってか、ピュレしたひよこ豆に胡麻ペーストのソース、フムスはパーティーの前菜の人気者、ベーシックなフムスの他にもスパイシーな味やトマト味などフレーバーも種類が並ぶようになりました。 タンパク質源になりますし、ピタ(アラビア風パン)の他に根菜のディップソースにも合うフムス、気楽な集まりの前菜にも良いですし、軽く何か食べたいな〜という時などにも便利です。 
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ひよこ豆、ガルバンゾーは簡単にするのでしたら、水煮缶が便利。 商品によって煮汁に癖がありますので、一度湯通しすると缶臭が抜けると思います。 時間のある方でしたら乾燥豆から煮ると癖のない煮豆になります。 お味は異なりますが、ひよこ豆の潰したものに米麹を混ぜればお味噌も出来ます。 どうせ時間が掛かりますのでまとめて沢山の煮て、煮汁に漬けた状態で冷凍保存を。 3回煮溢してから弱火でゆっくりと炊きます。
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柔らかいひよこ豆、レモン汁、ニンニク、タヒニ、オリーブオイル、塩胡椒をフードプロセッサーかバーミックスで滑らかなペーストにして出来上がり。 出来上がったフムスは表面が乾きやすいのでオリーブオイルで覆います。 タヒニは少々粗い練り胡麻、日本の練り胡麻の方がむしろ上品で美味しく出来ますが、北米の方でしたら輸入品の練り胡麻よりタヒニの方がずっと安上がりでたっぷり使えます。 
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フムスに入れるニンニクは本来は生ですが、少々味が強くなりますので匂いを抑えたい場合は牛乳で煮たニンニクを使うと味はしっかりと、匂いは抑えたフムスが作れます。
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仕上げに赤唐辛子を少々。 右側のは中東風の青唐辛子、パクチーとヨーグルトを混ぜた日お味のソース、手前のは牛乳で煮たニンニクに塩を加えてオリーブオイルをタラタラと垂らしながら撹拌したマヨネーズ風ソース。 この3つ位を揃えると中東風のサンドイッチが美味しく出来ます。 
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具はひよこ豆のコロッケ、焼いたラムや鶏肉、肉団子でも美味しいです。 野菜をこの程度添えると美味しいピタパンのサンドイッチに!
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大豆圏の日本はお豆腐やお味噌、お醤油など豆の発展したお料理や調味料がありますが、煮豆の料理となるとお砂糖と結びつきがちです。 煮豆をピュレにして頂くフムスは日本料理にはない調理法、面白い新発想かと思います。 
  

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