February 06, 2010
本田 聖嗣 / 涼宮ハルヒの消失 オリジナルサウンドトラック

涼宮ハルヒの消失 オリジナルサウンドトラック
本田 聖嗣
同名の映画のサウンドトラック。2枚組。2枚目に収録されているのは全てサティのピアノ曲(ジムノペディ第1〜3番,グノシエンヌ第1〜3番,ジュ・ト・ヴ)。1枚目にはジムノペディ第2番のオーケストラ編曲版を収録。
「涼宮ハルヒ」シリーズはライトノベルからアニメ化し、大ヒットした作品とのことである。本作品はその映画版で、本日(2010年2月6日)公開。
本サイトの趣旨から外れるため(また、シリーズについて不勉強であるどころか、そもそも映画を鑑賞していないため)、作品と音楽と適正についての記述は遠慮させていただく。ただ、ストーリーを調べた限り「サティの音楽が採用されるのも尤もであると感じた」と、一言触れておきたい。
演奏は、テンポの揺れや強弱の変化は控えめで、淡々とした趣き。そんな中で、響きの芳醇さにより色彩感を創出している。恐らくはペダルによる表現のみではなく、録音時の調整によるものも大きい。グノシエンヌ第2番はタイでつながっている音を弾きなおしている箇所があり、独特。
オーケストラ版ジムノペディ第2番は、浜口史郎氏による編曲。ジムノペディのオーケストラ版というとドビュッシーによるものが著名だが、ドビュッシーは第2番は編曲していないため、非常に面白い試みといえる。アルペジオを多用し、ドビュッシー版1番3番が強く意識されている。この様な良質の演奏が、サティファンをターゲットにしたわけではないCDから発掘されるのは痛快である。
サティの楽曲はCMや電話の保留音、ドラマのBGMに使われることは多いが、映画でここまで重点的に(=2枚組のサントラの1枚が全てサティの曲)扱われることも珍しいのではなかろうか。敬意を表し、ライナーの記述を以下に引用紹介させていただこうと思う。なお、「劇中で使用しないであろうサティの楽曲」とはジュ・トゥ・ヴのようである。
*2010/12/18追記:ジムノペディ第3番とグノシエンヌ第1番も劇中で使用されていないことを確認。「うぬぼれ少女百貨店」サティ的コラムに詳細を記載した。http://unubore.michikusa.jp/column05.html
〈以下、ライナーノーツより引用〉
【斉藤滋氏による記述】
「サントラという枠を超えて、サティの楽曲を感じて頂く機会になればという想いから、劇中で使用しないであろうサティの楽曲も、本CDには収録しています。涼宮ハルヒの消失という作品に対しての、サティの楽曲。その意図は、敢えてここには書かず、皆さんの想像にお任せしたいと思います。」
【神前暁氏による記述】
「(略)このCDにはエリック・サティ作曲のジムノペディ1〜3、グノシエンヌ1〜3が収録されている。これらの楽曲は勿論映画内で使用されている。これは「消失」の音楽打ち合わせにあたってアニメーション製作サイドから提案頂いたアイデアを発端として実現した試みである。これらの曲がどのように使われるのか、演出的な意図は何なのか、ここでは敢えて書かないでおきたい。それは是非とも皆さん自身の目と耳で、劇場で確認して頂きたい。」
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1. 映画『涼宮ハルヒの消失』のライナーノーツに斉藤滋氏がコメント [ [Mi]みたいなもの ottabot版 ] February 13, 2010 14:49
OTTAVA frescoのプレゼンター・本田聖嗣さんがサティを弾いている、現在上映中の映画『涼宮ハルヒの消失』。 この険については、以前もblogで紹介させていただきました(「本田さんが映画『涼宮ハルヒの消失』でサティを 演奏」)。 この映画のサウンドトラックにあるライナー...
この記事へのコメント
1. Posted by あおおに February 15, 2010 20:32
2/15 本日分ottva frescoジムノペディ一番とグノシェンヌ三番がかかり宣伝してました。僕の印象ではバルビエの解釈に近いものでした。僕にはちょっと旧い解釈な気はしますがハルヒの作者の要望通りなのだと思います。あまりデ・レーウのようにシリアスに演奏すると映像が主でなくなってしまうかもしれないし、これでよいかとも。
2. Posted by мιge February 16, 2010 20:21
コメントありがとうございます。
某所でお話しましたとおり、私はこんなブログを運営しておきながら、解釈どうこうはわかりません;。
でもサティに造詣が深いあおおにさんがそうおっしゃるのなら、そうだと思います。
そういえばバルビエはまだひとつもレビューしていませんでした。サティ全集の代表的ピアニストなのに;;。
某所でお話しましたとおり、私はこんなブログを運営しておきながら、解釈どうこうはわかりません;。
でもサティに造詣が深いあおおにさんがそうおっしゃるのなら、そうだと思います。
そういえばバルビエはまだひとつもレビューしていませんでした。サティ全集の代表的ピアニストなのに;;。