January 2010
January 14, 2010
Stephane Ginsburgh / erik satie 42 vexations
Erik Satie: 42 Vexations
Stephane Ginsburgh
Vexation(部分)のみを収録。輸入盤。紙ジャケット
ヴェクサシオンはサティ・ファンにはお馴染みの世界一長い曲。「840回繰り返す」指示があり、完奏に18〜24時間程度を要する。
当CDにはその42回分を約70分かけて1トラックに収録。
単音のバスパート→Aパート→単音のバスパート→Bパート→単音のバスパート→Aパート→…という構造。Aパート, Bパートともに「単音のバスパート」を内声として含む。
当録音は、各パートの最後の拍を若干短めにすることにより、不安定さや緊張感を生み出している。また、各音の響きは控えめで、無機的・機械的な印象。
これらの特徴は、同じくヴェクサシオンのみを収録したアラン・マークスによるCDとは対極的である。
(過去記事参照 http://blog.livedoor.jp/inubuyo/archives/85243.html)
どちらが良いとは一元的には言えないので、好みで選ばれたい。
このような趣向は、往々にして単純に奇をてらっただけと受けとられがちである。しかし、一般的なCDに収録されているような数分間程度この曲を聴くだけで、本当に「ヴェクサシオンを愉しんだ」と言えるだろうか。「これがヴェクサシオンという世界一長い曲か。○○な曲だな。」と感じて終わりではなかろうか(○○は人による)。勿論、曲に関する新たな知識を広げていくことも音楽の楽しみ方のひとつではある。ただやはり、この曲ならではの魅力は、長時間聴き続けることから得られる独特なフィーリングを愉しむことであると言え、そのためにはこのようなCDも必要なのである。(短時間収録のCDのリピート再生では、リピート時の空白の時間に違和感が生じる。)