こんばんは。
キャラを病ませてしまういぬもにです。

同じテーマで、白黒の2バージョンを書きまして。
悪い知らせを先に聞きたいタイプなので、
今回は黒ver.を載せますね。


奏「久美子先輩の卒業式」黒ver.


卒業式。

今日は大好きな久美子先輩が卒業する。

一番の後輩としては、お別れのご挨拶をしなくては。
べ、別に、スカーフが欲しい訳ではないです。
後輩として、キチンとご挨拶をしたいだけで。

久美子先輩の背中が見えたので、挨拶に行こうと
歩きだしたら、背中越しにあの子が見えた。

同じユーフォニアムの1年の子。

北中出身の初心者で、部長である久美子先輩が
つきっきりで教えてあげていたあの子。

まあ、今ぐらいは久美子先輩を貸しましょうか。
そう思って、ふたりの様子を眺めていた。

「久美子先輩、あの曲を聴かせてください」

「あの曲が好きなんだね」

「はい。どこか寂しいのに暖かいあの曲が
大好きなんです」

「ふふっ、2年前の私と同じことを言ってる。
いいよ。吹くから、こっちにおいで」


あの曲とは、久美子先輩が中学で演奏した曲
でしょうか。

気になったので、二人の後をこっそりつけて
しまった。自分も聴きたいと飛び出すのは、
プライドが許せなかった。


「ここでいい?」

「はい」


久美子先輩があの子を連れて来たのは、裏庭。
そして、簡単なチューニングをして吹いた曲は、
私が聴いたこともない曲だった。

吹奏楽マニアの私が知らない曲があるなんて。
しかも、ユーフォニアムがメインメロディを
奏でる曲なんて。


「有難うございます」

久美子先輩が吹き終わった後に、あの子が
泣きながら感想を伝える。

「もっと、先輩の「響け!ユーフォニアム」
を聴きたいです」

「今度はあなたが後輩に聴かせる番だよ。
私は暗譜したから、このノートをあげる」

「だ、ダメです!これは先輩が大事な人から
もらったノートですよ!」


知らない。

そんな大事なノートの存在も。
「響け!ユーフォニアム」という曲も。

私は全く知らない。

なのに、あの子は何度も聴いてたの?

そして、この曲を吹きこなせるのは私の方
なのに、久美子先輩は初心者に託す…?


「大事な人からもらったノートだから、
あなたに託すの。最初は、練習と思って
吹いてみて。この曲はユーフォニアムの
大事な物が全て入っているから」

「は、はい!」


見なければよかった。

聴かなければよかった。

聞かなければよかった。


久美子先輩が後継者として見ていたのは、
私じゃなくてあの子。

ずっと、久美子先輩の側にいたのに、あの子を
大切に思っていたんだ。

部活で演奏しない曲を何度も聴かせて、大事な
ノートを渡すほどに。

私は久美子先輩の大事な後輩になれなかった。
後継者になれなかった。

そっと、裏庭を後にした。もう、久美子先輩の
スカーフを貰う気にはなれなかった。

だって、そんな資格ないのだから。

<End.>

では、ここまで読んで下さり有難うございました。
感謝のぺっこりん!