こんばんは。いぬもにです。

2019年もよろしくお願いします。

お正月に食べるお雑煮は、地方によって
餅が四角かったり丸かったり。具材や
出汁も違って、特色が出ますよね。


関東出身の久美子はんは、家族で京都に
引っ越してきたので、関東風のお雑煮を
そのまま食べてたと思いますが。

もし、秀一さんと結婚を意識したら、
京都のお雑煮を作るんじゃないかと
思って書いたSSです。


秀久美好きという方は、お付き合い
頂けたら嬉しいです。では、どうぞ~
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画像は、私が2016年に作った京都のお雑煮です。


【響け!SS】久美子「塚本家のお雑煮」

秀一と付き合って数年。
今年は結婚前提の同棲を始めた。

初めて、一緒に過ごす元旦。

お雑煮ぐらいは作りたいなと思って、
京都のお雑煮レシピと格闘している。

「いっぱい、あり過ぎ…」

秀一に聞くのは簡単だけど、ビックリ
させたいから我慢。

とりあえず、一番人気のレシピを参考に
することに決めた。

「関西は丸餅なんだ。金時にんじんと
聖護院だいこん?売ってるの見たことないけど」

スーパーに通ってるけど、金時にんじんと
聖護院だいこんは見たことなかった。
丸餅は四角い餅と一緒に売ってるけど。


でも、スーパーに行ったら、2つともあった。
年末になったら、お雑煮用に出るらしい。

あと、白味噌。

普段のお味噌汁は合わせ味噌だから、白味噌も
買わなくちゃ。

残りは家にある材料で大丈夫。


帰宅したら、昆布出汁をとって、野菜を輪切りに
する。家では飾り切りにしてたから、簡単すぎて
拍子抜けした。

野菜を下茹でして、白味噌とみりんで味付け。


こんなに簡単でいいのかな。
不安になるけど、レシピ通りに作ったし、
一応美味しくできたから、大丈夫と自分に
言い聞かせた。


夜。
帰ってきた秀一が、お雑煮に気が付いた。

「美味しそうだな。今晩、食べようぜ」

「えー、元旦の朝に食べるもんじゃないの?」

「年が明けたら食べるもんだろ?まあ、食おう」

お雑煮に丸餅を入れて茹でてから、秀一に
出した。


「美味しいな、これ」

「良かった」

秀一はお世辞を言わないから、開口一番に
美味しいと言ってもらえてホッとした。

頑張った甲斐があったなあと思ってたら、
思いがけない言葉が続いた。

「それにしても、豪華なお雑煮だよなあ」

「はあ?」


どこが?

大根と人参とネギしか入ってないのに?

鶏肉もかまぼこもホウレン草もみつばも
入ってないんだよ?

それのどこが豪華?

「だって、俺の家の雑煮は餅以外はネギしか
入ってないぜ」

「へ?お雑煮だよね?」

「ああ、雑煮だぞ」

「信じられない」

ネギと餅しか入ってないお雑煮なんて。
そんな簡素なお雑煮ってある?

「あー、黄前家のお雑煮は豪華だったからな。
明日、実家にお雑煮を食べに行こうぜ」


呆然としてる私に、秀一は提案してきた。
塚本家に行くのは緊張するけど、ネギだけの
お雑煮は気になる。

二つ返事で行くことにした。


翌日。

「いらっしゃい、久美子ちゃん」

「こんにちは。今年もよろしくお願い
致します」

「俺には、挨拶なしかよ」

「あ、秀一もいたの?」

「ひでぇ」

恒例の挨拶を済ませて、塚本家に入った。


「久美子ちゃん、我が家のお雑煮に興味津々
なんだって?秀一から聞いたわよー」


相変わらず、噂好きの母子だ…

結婚後が心配になるけど。今だけは、お雑煮の
話を自分から切り出さずに済んで助かった。


「食べる前に、台所で一緒に作ってみる?」

「はい!」

お義母さんの後について、台所に行った。


「まずは、昆布出汁をとるのよ」

「はい」

滅多にないチャンスだから、聞き逃さないように
メモを取り始めた。

「ああ、メモなんていらないわよー。塚本家の
お雑煮は超簡単なんだから」

「え?」

「沸騰する寸前に、昆布を取り出して」

「ネギを投入。本当は白ネギだけど、小口ネギに
しちゃってるわ。切る手間省けるから」

「は、はあ…」

京都に来てから、便利な小口ネギ。

あらかじめ切ってあるのを使ってたら、
白ネギを買うのはすき焼きを食べる時だけ
になっていた。

「白味噌を溶いて。はい、おしまい」

「丸餅は茹でないんですか?」

「茹でると鍋にくっついて大変だから、食べる
直前に電子レンジで1分間チンするのよ」

「電子レンジですか?

「そう。茹でるのとそんなに変わらないわよ」


言われてみればそうだ。

茹でたお餅とチンしたお餅は鍋に入れたら、
そんなに変わらない。

だったら、簡単に出来る方がいい。


「はい。出来上がり。メモ要らないでしょ?」

「そう…ですね」

殆どお味噌汁だから、レシピ不要かも。
でも、年に1回だけのお雑煮だから、覚えて
いられるか不安だ。

「それに、来年からは一緒に作るんだから、
久美子ちゃんが忘れても、また教えるから」

「有難うございます」

「私もね。そうやって、塚本の義母から
習ったわ。同じ京都でも、こんなにシンプルな
お雑煮があるのかってビックリしたのよ」

「そうだったんですね」

「だから、今度は私が久美子ちゃんに教える番」

「有難うございます」

今度は、深々と頭を下げてお礼を言った。

お義母さんになる人が、この人で良かった。

心から、そう思った。


「おふくろぉ、久美子ぉ、お雑煮まだぁ」


居間から聞こえる秀一の間延びした声。

愛おしいこの声も来年も聞くんだろうな。
塚本家の台所で。

「俺も久美子ちゃんのお雑煮が食べたい~」

お義父さんの間延びした声も聞こえて、
吹き出しそうになる。

本当に親子そっくりで。


「久美子ちゃん、こんな息子だけど、宜しくね」

「はい!」


台所でお義母さんとなる人と交わした約束を
私は一生忘れない。


<Fin.>


ではでは、ここまで読んで下さり有難うございました。感謝のぺっこりん!