2006年03月17日

「猫と煮込みとホッピーと」河本@木場

河本イトーヨーカドーにシネコン、洒落たレストランモールと、この数年で駆け足で様変わりした木場エリア。日々、風景は変わりゆくというのに、まるで時間が止まっているかのような佇まいの店がある。橋の袂にうずくまるようにして建つその外観は、一見でブラリ入るには少々勇気がいるかもしれない。

ガラガラっと引き戸を開けると、店内にはもう先客がちらほら。上から見ると”Ll”のようなカウンターの”L”の部分に腰を落ち着ける。
「いらっしゃぁい」とカウンター内を一人で切り盛りする、女将のますみさんが声を掛けてくれる。ホッピー(300円)と煮込み(200円)をお願いすると、冷蔵庫から冷えたホッピーの瓶とコーラ瓶を取り出す。コーラ瓶には焼酎(キンミヤ)が入れてあり、そいつをこれまた年季の入った計量用のコップにすりきりまで注ぎ、ひょいっとホッピー用のグラスに移し入れる。その手際のよさは、まさに手品でも見ているかのよう。確実に自分だったら半分はこぼしてることだろう。
冷えた焼酎に冷えたホッピーを勢いよく注ぐ。もちろん氷など入ってはいない。
グラスの際ギリギリで瓶一本分のホッピーと焼酎が合わさる。うーん正しいホッピーだ。
一口あおる。ああ、これだこれ。ビールじゃなくて、これが飲みたいんだよ。うん。
飲みかけホッピーと煮込み
目の前の大鍋からよそってくれる煮込みは、味噌味ではなく、昔ながらの醤油味。脂もたっぷり残してあるので、コクがあってモツ好きには堪えられない一品だ。
早い時間なら、煮込み少なめで煮玉子が付いた”ニコタマ(200円)”というのもある。

木場あたりの昔話なんかで常連さんを交えて盛り上がっていると、足元をさっと茶色い影が横切る。
「あら、もーそこにいたのぉ」とますみさんが笑う。
茶色い影は「にゃー」とお返事。
そうネコだ。
実はこの店、ネコだらけだったりする。普段は店の奥の厨房(台所?)あたりでご飯を食べたりするのだが、気が向けば店の中も我関せずといった感じで普通にうろうろしたり、寝たりしてる。背広姿のお父さん方もホッピー片手に「あいつはなんて名前?」なんてますみさんに聞いたりと楽しそうだ。
出入りも自由なもんだから、日によって客よりネコのほうが多い日があるのはご愛嬌。

レモンハイとおでんチクワブ・玉子・つみれ・ちくわ・さつま揚げ
おかわりにちょっと気分を変えてレモンハイ(300円)、それにおでん(300円)をお任せで頼む。
レモンハイももちろん氷なし。あらかじめ焼酎も炭酸も冷やしてあるからそれでいいのだ。
寒い時期限定のおでんは、おまかせで5種類くらい盛り合わせてくれる。もちろん、お好みのタネの指定もできる。
ここのおでんが、また旨い。
多分、難しいことは一切していないおでんなんだと思う。ただ、とにかくしみじみ旨い。まごうことなき”おでん”なのだ。
最近は屋台のおでんも汁からタネから、出来合いの業務用を使うところも多く、やれ「おでん専門」と暖簾を掲げている店では、昆布が高いのかなんだかしらないが、はんぺん一切れ300円などとしらっと言う始末。
その点、ここは300円でてんこ盛り。ちくわぶなんか、もう味が染みしみでまいってしまう。
写真には撮ってないが、ここでは是非ジャガイモを食べてもらいたい。なんと、皮付きなのである。豪快だけど、これがまた旨い。シンプルこそ正解ですな。

16時から20時までとなかなかタイトな営業時間ではあるが、この店に来るために定時で仕事を切り上げるお父さんもかなりいたり(けっこうえらい人も多かったり)。
木場に訪れる機会があったら、是非立ち寄っていただきたいくつろぎの酒場だ。

河本(かわもと)
東京都江東区木場1-3-3
03-3644-8738
16:00〜20:00(日祝・第2土休)

”Ll”型カウンターの”l”の部分は超常連の方々の席。忙しいお仕事の人も多いようなのだが、遭遇率9割くらいの方もちらほら。お酒の飲み方を知ったお客さんばかり。なにより女将のますみさんは本当に素晴らしい。千円で十分楽しめるのでお財布にも◎。
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この記事へのコメント
おはようございます。
この店はすごく気になります。良さそうな匂いがプンプンとしますね。こういう店と肌が合うと、即常連化してしまいそうです。
猫がいる飲食店を嫌う人は多いですが、この店が好きな人達にとっては一昨日来やがれってなもんでしょうね。
一度伺ってみたいです。
Posted by ponkoro at 2006年03月19日 10:09
>ponkoroさん
どもです〜。
なかなか良い店ですよ。常連さんは多いものの、最近の下町酒場ブームで
ネットの情報やガイドブックを見て訪れる人もちらほら。
50歳くらいのお父さんが同僚を連れて来て「いいみせでしょー」なんて
ニコニコしてるのをみると、こちらの頬も緩みます。
下町の酒場にはやたらと猫がいる店が多いので、猫が苦手な人は選択肢が
狭まっちゃいますよねぇ。ぜひブラリ寄ってみて下さいな。
Posted by 牡丹 at 2006年03月21日 18:07