小学五年生の夏休み。

用を足した後、もしやと思って離れて暮らすお母さんに電話をした。お父さんが仕事帰りにスーパーの惣菜の赤飯を買ってきて恥ずかしかった。流れていくトイレットペーパーを見ながら、お母さんに電話しながら、赤飯を食べながら、女になっていく絶望に触れていた。

いつか自分にもおちんちんが生えてくるんやと思ってたし、お父さんもそう言ってた。せやのに体は女になっていく。

女子は女になると群れをなす。本能的に、動物的に、そうなってしまうんやと今ではなんとなくわかるけれど、あの時の自分はそんな女たちに嫌悪感しかなかった。それに比べて男の子たちは女たちみたいに嫌なことを考えてなさそうやったから、一緒に遊んだり話したりするのが楽しかったし、居心地がよかった。

放課後の公園や誰かの家で、女一人でも気にせんかったし、周りの男の子たちも差別するわけでも区別するわけでもなく、ただの遊び相手として見てくれてた。何より男の子たちはいつも笑ってた。

大きくなるにつれて女の人とも話せるようになったし、中学でも高校でも女友だちがたくさんできた。
恋愛対象は男で心も女やけど、それでもやっぱり、女であることの劣等感は拭いきれず、「自分が男なら」と考えてばかりの日々。
「男ならこんなバンドがやりたい」
「男ならこんな服を着たい」
「男ならこんなことをしたい」

「男に負けたくない」と思ってた。歌うようになってからも。
女やからって馬鹿にされたくなかったし、女やからって許されるのもいややった。
そのうち「自分が女であること」を受け入れ始めて、女やからこそ歌える歌を作りたいなと思うようになった。
歌ってるときだけは「かっこいい女」でいるんや。自分は逃げても隠れても「女」やからどうせなら「男に負けへんかっこいい女」でいるんや。と思ってた。

だけど、昨日のバイト中、疲れ果てた頭でしんごさんの言葉を思い出した。「いおかの歌は突き刺さる歌じゃない、優しさが必要や」
うちはいつも憧れてる。力強くて美しくてかっこい彼やあの人やあのバンドに。だけど例えば、大きい声を出してみてもギターをかき鳴らしてみても、あの人たちみたいにはなられへん。
こう見られたい、とか、こう思われたい、とか、思ってたこと自体がおこがましかったんや。

歌う度に見つけて拾って集めて抱えて、ようやく自分が自分に近づいてきた気がしてる。

憧れのおちんちんは一生生えてこぉへんし、うちはきっと強い女にもなられへん。

おちんちん、ありがとうさん。



ライブしたいな。うたいたいな。
もう随分ライブしてへんなあと思ってたけど、たった一週間と二日だけでした。

その間壊れたギターを修理し、バイトを13連勤し、泣いたり笑ったりライブを観に行ったり本を読んだり洗濯したりお母さんとスーパー銭湯に行ったり、なんとなく充実してたけど、やっぱりライブがないと、部屋にギターがないと落ち着かんのです。

けど気づいたことがありました。

うちはずっと人に求めすぎていたということです。ずっとそばにいてくれる人を探していました、そういう人が多ければ多いほど自分は幸せやと思っていました。とても恥ずかしいし馬鹿らしい話。
いずれどんな理由であれおらんくなってしまう人たちが、今そばにいてくれるだけでどれだけありがたいかをわかっていなかった気がします。だからいつも寂しかった。

自分が色んなことを上手にできへんことはわかってるけど、譲れへんところは譲れへん。曲げたくないところは曲げたくない。
何もかもに媚を売らずに生きていたいです。

7月2日。
今日は名古屋でライブ。海の近くのお店、夜空と月のピアスにて。

夏の予定もライブばかりで、心底幸せです。

2017年5月21日、とても晴れた昼下がり。
心斎橋酔夏男でコノハコトノハといおかゆうみのツーマンライブがありました。

2012年1月27日、初めて酔夏男に出演した。

初めての酔夏男はこわくてライブもすごく緊張していつの間にか出番もおわっていた、その時のうちはいつもひとりぼっちのような気がして、だからこそ色んなところにうたいに行きたいと思っていた時期やった。ライブが終わってからも誰とも話したくなくて逃げてしまいたい気持ちでいたけど、話しかけてくれた女の子が一人。「とってもよかったです。私も歌ってます。」って。その女の子こそがコノハコトノハちゃんやった。
ご飯を食べに行く約束をしたはいいものの人見知りのうちは何で全然知らん人と約束してしまったんやろうかと待ち合わせの時間までずっと緊張してた。どこに行っていいかわからずにアメ村のびっくりドンキーに行った。もしかしたら勧誘されたりするんちゃうか、と少し疑ってたうちはあほやったな。そういう年頃やったんか、ふたりとも心のヒリヒリしてる部分がすごく似てた気がする。彼女もうちも繊細で脆い女の子やった。

彼女のマンスリーイベントにも何度か呼んでもらった。うちが企画する時やワンマンライブをする時、彼女はいつも観に来てくれていた。ブログに「いつかゆうみちゃんとツーマンライブをしたい。」って書いてくれたことがとってもとっても嬉しかった。
どんどん会う機会も少なくなっていって、だけどいつも気にはしてたよ。
元気かなー。どんな歌うたってんのやろうなー。って。

そして、とても久しぶりに二人で話してようやく二つの気持ちがようやく一つになった気がした。
ツーマンの前に共演したとき、彼女の歌を聴いてとってもびっくした。
脆くて今にも倒れてしまいそうな女の子はどこにもおらんくて、凛として美しい女性になってた。化粧や髪形は何も変わらん。衣装は変わったけど、そういうことじゃない。もっと体の奥の奥から出てくる空気。あー、すごいなー。と純粋に思った。

ほんまにこのタイミングでコノハコトノハちゃんとツーマンライブができてよかったな、と思う
仲良くなったあの時でもなく、今であることが大事やったんやなって心の底から思った。
観にきてくださった方々にもうちらの心が伝わってたんやろうな、終始穏やかで柔らかい空気が会場を包んでたからありがたさばかり。
ライブ中にコノハコトノハちゃんが「ゆうみちゃんのことが全部うらやましい」って言ってたけど、うちは彼女のそういう素直なところが羨ましいなと思うのです。純粋で素直でだけど芯が通ってる人なんてなかなかおらん。
今や目まぐるしく旅をする彼女に負けんように、だけど自分なりに自分のペースで歌い続けたいなと思いました。また三年後ぐらいにツーマンライブします。

素敵な人と音楽で繋がれて嬉しい限り。


うちの友だち、素敵やろってみんなに自慢したような日でした。

ありがとうございました。

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