2013年05月31日

一回性、即興性

先頃、武蔵野市民文化会館小ホールにおいて開催された国分桃代さんと御夫君グザヴィエ・デゥプレさんとのオルガン・デゥオ・リサイタルは、実に凄い演奏会であった。▼リサイタルの前半は、桃代さんによってバッハが、後半はグザヴィエさんによって、メンデルスゾーンのほかはわたしなどその名を知らない作曲家たちの曲が演奏された。いずれも、二短調の曲で構成されているプログラムであった。調の違いがどのような差異をもたらすのかわたしには分らない領域であるけれども、とにかくお二人はパイプオルガンが秘蔵する可能性のすべてを惜しみなく開示しその極限の響きをもって会場を満たしたのではなかっただろうか。▼風雅な響きに酔いしれてしばらくはほとんど夢心地で聴いていたのだが、やがてあたりの気配はどんどん変化し、あちらからこちらにかつて聞いたことのない複雑な音々が行き交い、時にゲリラ暴風のように吹き荒れる。一時それが途切れると、お二人の愛娘の百合香さんが楚々と現れ清澄な声で歌唱する。深山に清水を汲むがごとき静寂の一時が過ぎると、再び大編成のオーケストラを凌ぐ大音響の即興演奏が会場を満たし終局に至るのである。▼芸術は長く人生は短いと言われるが、その逆が真実ではないか。額に収まった絵画、楽譜に定着された音楽は、実はまだ半製品なのだ。それがどのように解凍され受容されるか、その時々の一回性、即興性においてこそ、ナマの、生きた芸術が出来事として立ち現われるのである。その一回性、即興性こそ、決定的に重要なのだ。▼だからこそ居合わすこと(当事者として参与すること)がこの上なく重要なのだ。次回はないのである。われわれも、この一回性、即興性に、心血の最後の一滴を注ぐのではないだろうか。 (2013/04/19)


4月の聖書会は 26日(金)10:30am. ヨハネ 8:12-30

聖書友の会(多摩ニュータウンみどりの教会)通信70

朝山正治 多摩市豊ケ丘6-3-2-308 Tel. 042-373-2710



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