前回取り上げた中国のスマホ特許/独禁法事件に続き、今回はインドのスマホ特許訴訟です。

中国スマホ新興メーカー「小米科技(シャオミ)」に対するインド・デリー高等法院(Delhi High Court)の暫定差し止め命令が、今週末以降(12/12/2014~)日本でも広く報道されました。報道の対象となったのは12/8/2014にデリー高裁が下した命令で、特許侵害訴訟を提起していた原告エリクソンによる暫定差し止め請求を認めてたものです。

ちなみにその後の最新情報では、差止め命令を不服として上訴した(デリー高等法院の単独裁判官が下した暫定差止め命令の取り消しを同法院判事の合議体に求めた)シャオミが、上訴手続き中は差止め命令の執行を停止するよう求め、これが12月16日に認められたということです。

これでシャオミによるスマホの輸入・販売は、まずは2015年2月3日まで特定の条件下で許されることになりました。この条件の一つが、エリクソンのライセンシーであるクアルコムのチップセットを使用したものであることとされています。... 前回取り上げた中国におけるクアルコムのスマホ特許・独禁法事件に出てきた「リバース・パテントライセンス」を思い出してしまいます(『中国独禁当局、クアルコムの調査終了 - スマホ特許訴訟が激化?』)。また、この条件については、「権利消尽」(exhaustion of patent rights/ first sale doctrine)の問題を指摘する声もあります。.....混乱するので、ここでは書きません。

話を元に戻します。報道の多くは、「急成長しつつも、まだまだ保有特許が少ない(特許武装が不十分な)シャオミにとって、パテントウォーが渦巻くスマホの世界にはかなり厳しい試練が待っているだろう」という論調だったと思います。

一方で、今回の訴訟には移動通信などの標準技術を対象とした「標準必須特許(Standard Essential Patents)」が対象となっており、このSEPという性質の特許について、インドの裁判所が即決で暫定差し止め命令(ex parte injunction)を認めた、という側面があります。

ここは、「情報武装をするための英語ブログ」ですので、これらのキーワードに上手いヒネリを加えて紹介しているネタを紹介します。これです。

FRAND-ly Injunctions from India: Has Ex Parte Become the "Standard"?  (SpicyIP 12/9/2014 Shamnad Basheer)


元来、「公正、合理的かつ非差別的な」"FRAND(Fair, Reasonable and Non Discriminatory)"ライセンスが条件とされている標準必須特許について、一方当事者の主張だけに基づく(片面的手続き = ex parte)差し止めをインドの裁判所が簡単に認めすぎる。SEP権利者に対し「フレンドリー」過ぎるのではないか、暫定差し止めを認めることがインドの「スタンダード(標準)」になってしまったのか、と揶揄しているのです。ぜひ本文を読んでください。(今回はタイトルだけ)

SpicyIPというのは、インドの知財法専門家、アナリストのグループが運営しているサイトで、ブログはほぼ毎日更新され、最新情報を鋭い視点で提供してくれます。かなり優秀で、かつ実戦志向も強い人々が精力的に運営しているのだろうなと感心してしまいます。

12/18/2014 ヨシロー