2015年1月8日、米国特許庁(USPTO=U.S. Patent and Trdemark Office)が、庁としては初のトレードシークレット(営業秘密)を対象とするシンポジウムを開催します。

トレードシークレットについては、裁判所はいうまでもなく、連邦議会においても複数の法案審議が行われている米国ですが(現在の焦点は、トレードシークレット不正流用や窃取に対する連邦民事訴訟を可能とする法案)、これにより行政府による取り組みも本格化することになりました(多分)。

今回は元ネタとして、連邦官報(Federal Register)に掲載されたUSPTO告示を使います。

Notice of Public Meeting on Trade Secret TopicsA Notice by the Patent and Trademark Office on 12/15/2014 (79 FR 240)

まずは冒頭の概要部分:
The protection of U.S. trade secrets from misappropriation is an Administration priority. As noted in the Administration Strategy on Mitigating the Theft of U.S. Trade Secrets (February 2013), “trade secret theft threatens American businesses, undermines national security, and places the security of the U.S. economy in jeopardy.” In pursuit of the goals of the Administration Strategy through information sharing and discussion, the United States Patent and Trademark Office will hold a public symposium on issues relevant to the protection of trade secrets. Topics to be discussed include ...
米国のトレードシークレットを不正流用(misappropriation)から守ることは、政府(連邦行政府)の優先事項だ。『米国トレードシークレット窃取を減らすための政府戦略』(2013年2月発表)でも指摘した通り...。

要するに今回決定したシンポジウムは、2年近く前に政府が発表していた対応策の一環として行われるもののようです。シンポジウムでの具体的トピックは、
  • トレードシークレット窃取によって失われるもの
  • トレードシークレット保護における課題
  • 特許とトレードシークレット保護の関係(接点)
  • 民事訴訟で生ずるトレードシークレット問題
  • 米国外でのトレードシークレット保護
  • 米国におけるトレードシークレット窃取の脅威への対策案 etc.
当日は(2015.1.8  9:00 am - 3:00 pm)、政府、学会、産業界、法曹界から専門家が招かれ、かなり実戦的な議論が展開されそうです。

トレードシークレットというものは、その重要性が叫ばれているものの、どのように使えば、どれだけ効果的に保護を得られるのか、実際のところどうなのか...... といった不明確な部分がまだまだ多いのではないでしょうか。

たとえば、特許と違って、特許庁への出願・審査・登録手続きなど不要なため、一見安価な保護手段に思えますが、実際は秘密情報としての管理(その前に、営業秘密・財産的情報としての特定、カテゴリー分けも重要)などに相当の費用と作業を必要とし、「そのように秘密を維持する覚悟と金がないならば特許保護を選択すべき」という指摘もあるくらいです(「特許かトレードシークレットか」は必ずしも二者択一でなく、むしろ補完的要素が大きいでしょうけど)。

トレードシークレット保護の基本となるNDA(秘密保持契約)についても、どれだけ有効なのか、いろいろ議論があります(c.f. 『第6話・続き ものを言うNDA、ものを言わなかった(?)NDA』)。

「本当のところ、どうなのか。どう利用すべきか、すべきでないのか...」この視点が重要だと思います、トレードシークレットという知的財産の扱いにおいては。そんな事例、トピックを今後も拾っていこうと思います。

12/30/2014 ヨシロー