2015年からスタートした米連邦第114議会の特許改革/トロール対策立法活動に拍車がかかってきた。2月に提出された下院法案「イノベーション法」、3月に提出された上院法案「ストロング特許法」に続き、4月には「トロール法」(下院法案)、「パテント法」(上院法案)が提出され、小委員会、委員会での審議が進んでいる。

このブログでも3月初めに提出された上院法案「ストロング特許法」について取り上げましたが(『第31話: 新法案の提出でにわかに熱気を帯びてきた米特許改革論争... 「2015年ストロング特許法」とは』 3/16/2015)、4月に入り新法案も相次いで提出され、動きが活発になってきたようです。


[主な特許改革/トロール対策法案]

現段階での主要な法案を確認しておこうと思うのですが、まず目を引かれたのは(「イノベーション法」を除く)それぞれの法案のネーミングの巧みさ/凝りかたです。略称とスペルアウトした名称(これも"short title"です)を見てみましょう。
  • Innovation Act (H.R.9) 下院法案  2/5/2015提出
  • STRONG Patents Act of 2015 = Support Technology and Research for Our Nation's Growth Patents Act of 2015 (S.632) 3/3/2015提出
  • TROL Act = Targeting Rogue and Opaque Letters Act (H.R.  ) 4/2015提出
  • PATENT Act = Protecting American Talent and Entrepreneurship Act of 2015 (S.  ) 4/29/2015提出
どうですか。最後のPATENT Actなど、ほとんどネーミングのみを目的としたタイトルじゃないかといいたくなりますが、内容は真面目です。 これらを紹介した専門サイト・ブログをいくつかあげておきます。
Patent Reform Advances on Capitol Hill(ipwatchdog 4/30/2015 Gene Quinn); Patent Reform Revived in Bipartisan PATENT Act (Corporate Counsel 4/30/2015 Lisa Shuchman); New Senate bill pushes patent reform a step closer to consensus, but there is a long way to go(iam-magazine 4/30/2015 Richard Lloyd); The PATENT Act of 2015(Patently-O 4/29/2015 Dennis Crouch)


[各法案の関係、現状と今後の展望]

・下院法案Innovation Act = 上院法案PATENT Act
 トロール対策法案として本命視されていたInnovation Act法案ですが、トロール対策条項(敗訴当事者による勝訴当事者の弁護士費用負担について規定するFee-shiftingや侵害品の顧客に対する訴訟を停止し、メーカーに対する訴訟を先行させるCustomer Stay条項など)に対する反論が多く、難航が予想されています。Innovation Act法案の上院対応法案もといえるPATENT Actは、同様のトロール対策法案を含むものの、Innovation Actより緩い規定になっており、反対派との妥協を引き出すものと期待されていますが、どうなるか...。

・論点を絞り一歩リードしている下院法案TROL Act
 これは文字通り、悪意のある曖昧な侵害警告・要求書の濫用を制限しようとするもので、4月29日に下院商業エネルギー委員会を30対22の多数決で通過し、下院本会議へ送られることになりました。この種の法案では委員会を通過した初めてのものということです。


[医薬業界の矛先は完全に一点集中]

特許改革法案審議において常に強力な影響力を及ぼしてきた医薬業界の現在のターゲットはひとつ、ヘッジファンド・マネージャー達です(『第36話:続報 - 著名ヘッジファンド・マネージャーの医薬特許攻撃、真の狙いは』 4/7/2015 ご参照)。

医薬メーカーの特許を攻撃して株価を下落させることにより利益を得ようとする彼らの行為を可能にするような現行特許制度、とりわけ特許認可後の特許庁による有効性レビュー制度(IPRなど)の修正を求めています。上院のPATENT Act法案に対しても、「これらの問題に対処する条項が含まれていない」点を指摘し、法案への追加を求めてゆく姿勢をPhRMA(Pharmaceutical Research and Manufacturers of America)のロバート・ザーケルバッハ上席副会長が表明しています。


いずれにせよ、第114議会(2015年~2016年)の展開はどうなるか。まだ第一会期が始まったばかりだとはいえ、2016年は大統領選の年であり、実質審議時間はかなり短くなるはずです。その意味で、2015年の動きは目を離すことができないものとなりそうですね。

5/3/2015  ヨシロー
 

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