6月22日、米連邦最高裁は、50年前に下したBrulotte v. Thys Co.事件判決(379 U.S. 29 (1964))を覆すことなく、特許の権利期間が満了した後になされた使用に対しロイヤルティ支払いを課すことはできない、とする判決を下した。

最高裁は、先例拘束力(stare decisis)の法理によりBrulotte判決を踏襲する必要があり、この判決を変更するのであれば、それは裁判所ではなく議会の仕事である、と述べた。(Kimble et al v. Marvel Entertainment, LLC, US Sup.Ct. 6/22/2015)

50年以上前に下され、維持されてきた最高裁のBrulotte判決の見直しを行っていたKimble v. Marvel事件の判決がついに下されました。本事件の概要については、このブログでも簡単に紹介してありますのでご参照ください(
15話: 特許期間満了後のロイヤルティ支払い要求は違法? 米連邦最高裁がBrulotte判決の見直しへ 1/2/2015)。

今回の最高裁判決について知ったのは今朝、日本時間の6月23日早朝ですから、日本ではほぼ一番早く知ったと思っているのですが、昨日22日(米時間の6月21日、判決の一日前)からこの記事(第15話)を読みに来る方が急に増えたました。偶然でしょうか...。

ともかく
、多くの経済学者、法学者が、「契約の現実を無視し、経済合理性に欠ける」として、覆されることを望み、本件の控訴裁判所(第9巡回区)にまで「嫌々ながら従う」と言わしめたBrulotte判決は、生き残ったのです。「覆すなら、それは議会の仕事」(it would be up to Congress to change the Brulotte rule if a change is to be made.)ということです。

今回の速報は、以下の記事を参考にさせてもらいました。コンパクトに、内容をわかりやすく伝えてくれています。 "Supreme Court still prohibits patent royalties for activity occurring after patent expires (Kimble v. Marvel)" (Essential Patent Blog  6/22/1015 
David Long, Posted in Antitrust, Court Orders, Litigation)


もう一節、このブログ記事の文章を紹介させてもらいます。

さらに最高裁は、シャーマン法に基づく競争の論点 - 新しい経済理論に基づいて先の判例が覆される可能性がより高い - と、(財産法としての)特許および契約法 - 当事者は確立された先例に依拠する - の違いを示しつつ、特許事件における先例拘束力の強さを説明し、このような特許事件の先例を覆すのは、議会の方が適切とした。

Further, in explaining the strength that stare decisis plays in patent cases, the Court gave insight into distinctions between competition issues under the Sherman Act–where courts are more expected to overrule prior decisions based on newer economic theories–and patent (as property law) and contract law where parties rely on settled decisions and Congress is the more appropriate body to overrule prior case rulings.


判決は6対3の多数決で、多数派判決をKagan判事が執筆。反対意見をAlito判事が提出し、これにロバーツ裁判長とトーマス判事が参加。(Justice Kagan authored the opinion; Justices Alito authored a dissent joined by Chief Justice Roberts and Justice Thomas.)

今回の最高裁判決はstare decisis原則を第一として不評なBrulotte判決を維持したものの、「あくまで法で認められた独占期間が満了した後の行為について実施料を求めることが違法とされるのであり、20年という権利期間中の行為を対象とした対価の支払い期間を40年にすることは可能...」など、「契約の現実と経済合理性」に対応する柔軟性についても可能な限り示唆しようとしています。
多数意見は全18頁、反対意見8頁。控訴審判決のときも書きましたが、勉強会に使うにはほどよい長さかと。

6/23/2015 ヨシロー

   

 ↓ よろしければ一押しお願いします。            


                                                     
ビジネス英語 ブログランキングへ

 
                           にほんブログ村 英語ブログ ビジネス英語へ                         
にほんブログ村

                    

にほんブログ村 経済ブログ 世界経済へ                
にほんブログ村