久々に「商標・ブランド」カテゴリーのトピックをとりあげます。先日、専門(家)サイトをチェックしていたところ、見慣れない"genericide"ということばが気になったからです。 これなんですか?

"Genericide:  a word that strikes terror in the hearts of any trademark owner or brand manager" Joel T. Beres, Stites & Harbison PLLC, mondaq.com 7/26/2016


商標殺し

読んでみたところ、商標実務、ブランド管理のご担当者にはお馴染みの、「商標の普通名称化」のことでした。当初は自他商品・サービスの識別標識として使われていた商標が、あまりに広く知られたがゆえに、徐々に当該商品・サービス自体を表す一般的名称/普通名称(generic term)として認識されてしまい、商標としての出所表示機能を失ってしまう(葬り去られてしまう)ということです。 商標世界での"homicide"(殺人)、それが "genericide"というわけです。

What exactly is genericide?  It's the trademark equivalent of homicide.  It is when a mark becomes so successful and  well known for a given product or service in that it no longer is source identifying.  Rather, the mark identifies the class of product or service and has become generic – thus killing the trademark. 

記事の全体内容は、普通名称になってしまった商標の代表例を挙げ(オーチスエレベータ社のエスカレーター、バイエル社のアスピリン、デュポン社のセロファンなど)、このような普通名称化を回避する方法について提言するもので、特に新たな動向などを指摘するものではありません。(ただし、≪普通名称化を防ぐための世間への教育法≫におけるゼロックス社の有名な広告例≪"You can't Xerox a Xerox on a Xerox. But we don't mind at all if you copy a copy on a Xerox® copier."≫(自社商標を、動詞としても、名詞としても使わせない。あくまで形容詞として使うよう教育)の紹介など、非常に面白い話が多いです。...もっとも、いまどき「コピーとって」の代わりに「ゼロックスとって」などという人はいないので、これを面白いというと齢がわかってしまいますね)

とにかく、この"genericide"ということば、私にとっては新しく、また一つ勉強になりました。...と思っていたのですが、間違い。忘れていただけでした。2年半ほど前から気になるトピックを拾い、とりあえず放り込んでいるEvernoteのすべてのノートを"genericide"で検索したところ、いくつか出てきました。


「商標によるいじめ」か正当な商標保護か...ブランド管理者のジレンマ 

最初の記事に出てくる"trademark bullying"ということばは、以前からよく見かけていました。有名ブランドをもつ大手企業などが、自社ブランドを保護するための正当な権利行使や取り締まり行為をしていても、大企業であるがゆえの「ダビデ vs. ゴリアテ」パターンをあてはめられ、「商標によるいじめ」として糾弾される例がよくあるようです。

なかには、本当にいじめ、いやがらせ的行為もあり、問題視されているようですが、上記記事の通り、なかなか「正当な権利行使か、いじめか」の線引きが難しい。最近では、正当なブランド保護のための取り締まり行為に対し、SNSを利用して対抗するケースも増えているようです。そこで、とりわけ消費者イメージを重視する大手ブランドメーカーのジレンマが生ずるのです。

自社商標の不正な使用の取り締まりを怠ると、普通名称化(genericide)や放棄扱いを引き起こし、商標保護を失うことになりかねない。商標所有者が商標権侵害者に対し、積極的に権利行使しなければ、権限なき者が当該商標を商取引において使用することを排除できる商標所有者の権利と、この無形財産の価値は、あっという間に浸食されてしまうのだ。(前出Roxana Sullivan & Luke Curran)


このように、"trademark bullying"と"genericide"という語は至極当然にセットで登場してくるわけですね。
それにしても"trademark bulling"、なかなか厄介な問題らしいです。"genericide"絡み以外で他に拾ってあるいくつかの記事を挙げておきます。



最後に、"genericide"の意味について、普段は一般的用語の辞書として利用している"英辞郎 on the WEB"で、念のため調べたところ、『〈俗〉一般名称化による商標権の消滅[制限]◆【語源】genericize + -cide』と、ほとんど完璧な説明が出ていました。まさか、「英辞郎」にあっさりと出ているとは思いもよらなんだ...失礼いたしました。


7/31/2016  ヨシロー



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