主要な自動運転技術 LiDARをめぐる注目のウェイモ対ウーバー知財訴訟は、サンフランシスコの連邦地裁(カリフォルニア北部地区連邦地裁)がウェイモ側の暫定救済申立てを認め、ウーバーに対する仮差し止め命令を下しました(Waymo LLC v. Uber Technologies, Inc. et al., NDCA, 5/15/2017)。すでに日本でも報道されていますね。

前回、この知財訴訟については一応の予習しておいたので(『第106話:自動運転技術をめぐるウェイモ vs. ウーバーの知財訴訟...どんな訴訟、現状は?』(5/7/2017))、今回の地裁命令も少し詳しく見ることにしました。

5月3日に行われたヒアリング後、地裁は5月11日に命令を下したのですが、これを非公開にし、公開版に向けた修正機会を両当事者に与えたとのことです。したがって、5月15日付で公表された命令文(26頁)にはところどころ黒塗り部分があります。(黒塗り箇所は、全体からみればごく一部です)

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とにかく、まずは冒頭の要約部分を抽出します。


Waymo LLC v. Uber Technologies, Inc. et al.

カリフォルニア北部地区連邦地裁
2017年5月15日 
命令 - 原告による暫定救済申立てを一部認容、一部却下

要約
原告ウェイモは、同社の元スターエンジニアであったアンソニー・レバンドウスキーが、同社を去る直前に14,000もの同社秘密ファイルをダウンロードしたことを示す有力な証拠を提出した。また、これらの証拠によれば、レバンドウスキーがウェイモを去る前後に、レバンドウスキーと被告ウーバーは、レバンドウスキーが設立する新会社Ottomotto LLC および Otto Trucking LLC(ともに本件被告)をウーバーが買収し、ウーバーの自動走行車開発部門トップとしてレバンドウスキーを雇用することを計画していた。さらに、被告とレバンドウスキーは、レバンドウスキーのウーバー移籍に関連して発生するであろう訴訟を予期し、防衛のためのステップをとっていたことも明らかにされた。

より重要なことに、Otto買収の際、ウーバーは、レバンドウスキーがウェイモの秘密ファイルを持ち去り、所持していたことをおそらく知っていた、または少なくとも知りうべきであったことが証拠によって明らかになった。ウェイモはさらに、持ち去られた14,000強のファイル中に、少なくともいくつかの営業秘密が含まれている可能性があり、最終判決が出るまでの間、何らかの暫定的救済が必要とされることを示す(少なくとも本件申立て手続きの目的上は十分といえる)証拠を提出した。

しかしながら、現段階で認められる救済は、いくつかの相殺要因により、限定されたものとならざるを得ない。たとえば、ウェイモは121件の営業秘密が窃取されたと主張するが、そのすべてが「営業秘密」としての資格を認められるものではなく、本件対象技術に関連するものも多くはない。

ゆえに、この裁判所命令は、重要ではあるが、両当事者の競合する必要性のバランスを公平にとるべく、狭く絞り込んだ暫定救済を認めるものとなった。

以下に詳細を述べる。


最初はこのブログ記事の標題を「第1ラウンドはウェイモ側の勝利!」としたかったのですが、上記の通り、あまり一方的なものではなさそうです。

かなりレバンドウスキー氏の行為があからさまといえるこの事件でも、やはり営業秘密で訴えることのむずかしさもあるのだと思います。(たとえば『第28話:重要性高まる営業秘密保護 ... ただし、訴訟には固有の難しさ、悩ましさも 』(2/22/2015) 参照)

命令文ではこの後、背景事実説明(判決文の "findings of facts"に相当する内容)、分析(ANALYSIS)の部へ進み、この中で仮差し止めが認められるための4要件(本案勝訴の蓋然性、回復不能の損害、公益、困難さの比較考量)が論じられています。

これについては、次回『第107話・続き』で。
(追記:結局『第107話・続き』は書かず、『第118話』へと飛びます)


5/21/2017   ヨシロー


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