実戦海外知財法務ノート

トロール/PAE、営業秘密、バイオシミラー、FRANDライセンス、反トラスト法 ...いま、グローバルな知財法務の現場で起こっていることをウォッチします

旧タイトルは『グローバルビジネスに活かす英語 - 海外法務・知財編』。 新タイトルの下、さらに実戦面に焦点を当て、グローバル知財法務の最新動向を追っていきます。

知財法務一般

第130話:「ノー・ディール」に備えよ --- 合意なき離脱(no deal Brexit)となった場合、特許の扱いはどうなる。商標・意匠は、権利消尽は...

2019年3月29日まであと半年と迫るEU離脱(Brexit)に向けた、英国とEUの交渉が難航しています。打開策が見いだせないまま「合意なき離脱(ノー・ディール)」となる可能性を指摘する報道も多くなりました。合意できない場合、2020年末までの移行期間もなく、いきなり離脱することになります。まさに「無秩序」状態での離脱が現実味を帯びてきたといわれています。

このような状況の中、英国政府は、「ノー・ディールの可能性は高くないと考えているが、...責任ある政府としてあらゆる可能性に備える義務がある」として、8月下旬以降、企業や市民向けに「ノー・ディールの場合に備える」ガイダンスを公表し始めました。輸出入、農業、ラベリングなどに関するガイダンスに続き、9月24日には特許、商標・意匠、権利消尽に関するガイダンスが公表されました。


それぞれ、2019年3月29日を境とした制度/体制の「ビフォーアフター」、「意味合い・影響」、「企業や他のステークホルダーがとるべき行動」が記されています。ざっくり紹介しておきます。基本的に「英国法に基づき現行EU法体系に基づく権利保護を維持する姿勢」で一貫しているようです。


特許について -- 「ノー・ディール」の場合、3/29以降はどうなる

基本的に現行権利の保護、権利取得に変わりなし。

SPC(Supplementary Protection Certificates)、強制実施、バイオ発明保護などについては、英国法に基づきEU法体系と同様の保護を維持する。
 
UPC/UP(欧州統一特許裁判所/単一効特許)  -- 二つのシナリオあり
  1. UPC協定が発効しない場合 -- 何らの変更もなし   
  2. UPC協定は発効したが英国がUPC離脱の場合 -- 英国発明保護のためにUPC/UP利用することは不可。既に認可されているUPに対しては、別途英国対応の保護を提供。
3/29/2019前にUPC協定が発効した場合、すでに認められているUPについては自動的に英国でも保護。離脱時点でUPC係争中の案件取扱いに対する法規の策定要。

*UPCについては、とにかくシナリオ1)が最も現実的とみられており、シナリオ2)については、政府のガイダンスもはっきりしていないようです(はっきりしようがない)。書いていて自分でもよくわからず、自信ありません(原文も参照ください)。

シナリオ1)の原因は、いうまでもなくドイツでUPC協定批准直前に提起された違憲訴訟です。
今年(2018年)の夏には、「年内に違憲訴訟却下(門前払い)の判決が出る」という噂が出て、離脱前にUPC協定発効か、との期待も一部で高まりましたが、どうみても難しそうです。


EU商標、登録共同体意匠について -- 「ノー・ディール」の場合、3/29以降はどうなる

3/29時点で登録済みの場合
  • 英国で再登録 *最小限のadministrative burden要
  • 再登録の事実が権利者に通知される。英国再登録を望まない場合「オプトアウト」申請可

3/29時点で出願係属中の場合
  • 離脱後9ヵ月以内に英国再出願できる(EU出願日の優先権主張可)。*手続き・費用は通常の英国出願と同じ
  • 出願人への通知はなし。再出願の決定は自らすること。


未登録共同体意匠について -- 「ノー・ディール」の場合、3/29以降はどうなる

自動的に継続保護
-- 3/29後に英国内で最初に公開された意匠は、英国の"supplementary unregistered design"として保護 
*これについては、「英国とEU双方の未登録意匠保護を受けるために、離脱後は英国・EU同時の初公開(simultaneous first disclosure)をすべき」との専門家アドバイスあり


権利消尽について -- 「ノー・ディール」の場合、3/29以降はどうなる

EEA(欧州経済領域)消尽スキームを維持する。EEAから英国への並行輸入については従来と扱い変わらず。ただし、英国からEEAへの並行輸入の場合、国によっては制限がかかるかもしれない。輸出先のEU権利をチェックし、事前承認を得る必要があるか確認しておくとよい。



ノー・ディールへの対応が本当に必要となるかどうか。2018年10月までとされていた交渉期限は、11月半ばに引き延ばされたとの報道が最近ありました。どちらにしても、残された時間はもうわずか。注視してゆきたいと思います。


9/30/2018   ヨシロー  




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第125話:米IPR関連出来事アップデート (1) CAFC判決 - インディアン部族の主権免除 (2) IPRにおけるクレーム解釈基準改正案に350超のコメント (3) 下院法案 - PTABとAIAは廃止

4月のOil States最高裁判決以降、IPR(Inter Partes Review)をめぐる出来事が続きます。6月末から7月20日までに起こった標題の3つのうち、今回は最も新しい7月20日のCAFC判決についてとりあげます。


CAFC判決 -- IPRには部族の主権免除の適用不可

医薬メーカーによるIPR回避策*1)として2017年秋に注目された、インディアン部族による主権免除の主張に対するCAFC判決が下されました(St. Regis Mohawk Tribe v. Mylan Pharmaceuticals, Teva Pharmaceuticals USA et al, Fed. Cir. 7/20/2018)。

事案の概要

ドライアイ用目薬に関する特許6件を保有するAllerganの特許侵害訴訟に対し、被告ジェネリック薬メーカー(Mylan, Teva他)は裁判で特許無効を主張する一方、特許庁PTABにIPRを申請しました*2)。これに対し、Allerganは6件の特許をニューヨーク北部のインディアン部族(St.Regis Mohawk Tribe: SRMT)に譲渡。自らは専用実施権を保持し侵害訴訟を継続する一方、特許権者となった部族は、「主権免除(sovereign immunity)」を主張し、IPRの却下をPTABに申し立てました。

-- 背景についての詳細はこちらを参照(『第113話:IPRから特許を守る新テクニック? 特許権を譲渡されたインディアン部族が主権免除を理由にIPRの却下を申し立て』(9/24/2017))。
*1) ことの発端をみれば医薬メーカーの策というより「インディアン部族による経済的自立策」というのが正しいかもしれません。
*2) ブランド薬(先発特許薬)メーカー Allerganとジェネリック薬メーカーMylanらの訴訟は、ハッチ・ワクスマン法に基づく「ANDA訴訟」です。ジェネリック薬メーカー側がANDA訴訟に基づき特許有効性を攻撃しつつ、IPRも利用して特許攻撃している正にこの状況を「我々が作り上げたバランスを歪めている」として、是正を図ったのがハッチ議員による先の法改正案です(『第124話:ハッチ議員によるIPR回避立法(?) -- FDA関連法アプローチにより、テクノロジーカンパニーへの影響も回避』(6/27/2018))

2018.2.23 PTAB決定 - SRMTの申立て却下「IPR手続きにおいてSRMTの主権免除適用は不可」

2018.7.20 CAFC判決 - PTAB決定確認(affirm)


判決要旨

≪「国内の従属国家(domestic dependent nations)」として、インディアン部族には「固有の主権免除(inherent sovereign immunity)」が認められおり、「当該部族がかかる特権を明確に放棄しているか、議会が廃止した場合」を除き、通常は彼らに対して訴訟を提起することはできない。

この免除特権はコモンーに由来しており、連邦政府によって提起される手続きには及ばない。
一般に、政府機関を通じて連邦政府が調査手続き(investigative action)を行う場合や、政府機関による裁定手続き(adjudicatory agency action)を行う場合、主権免除は適用されない。Pauma v. NLRB, 888 F.3d 1066(9th Cir. 2018)参照...。しかしながら、連邦政府機関の手続きにおいて主権免除は一切適用なしという包括ルールがあるわけではない。Fed. Maritime Comm'n v. S.C. State Ports Auth., 535 U.S. 743, 754-56 (2002) ("FMC") ≫


原則不適用、ただしケースバイケースの余地あり

このようにCAFCは、まず原則として連邦政府機関による調査手続きや裁定手続きには主権免除は適用されないとしつつも、ケースバイケースで認められる余地があることを示しました。
そして、ケースバイケースの判断基準としてFMC判決を拠り所としました。

FMC事件では、「州営の港湾当局が1984年出荷法に違反したと主張する私人の訴えを連邦海事委員会が裁定すること」が、州政府の主権免除特権によって阻止されるか否かが検討されました。最高裁は、海事委員会による裁定に、連邦裁判所による民事訴訟との「圧倒的」類似性(“overwhelming” similarities)を認め、港湾当局が主張する州政府免除を認めたのです。

IPRは「ハイブリッド型」、ただし行政機関による「法執行手続き」の側面強し

≪IPRは、私人によって提起された司法手続きと明確にいうことはできず、一方、連邦政府によって提起された法執行手続きとも明確にはいえない。IPRは、裁判に似た「裁定手続きの性質(adjudicatory characteristics)」をもつが、ある面においては司法手続きというよりも「専門行政機関手続き(specialized agency proceeding)」の性質が強いという、「混合型手続き(hybrid proceeding)」といえる≫

このように少し迷いつつも、最終的に「IPRは、私人に提起された民事訴訟というより、行政機関による法執行手続き面が強い」と判断し、インディアン部族による主権免除を否定しました。
判断根拠としてはいくつかの要素を指摘しています。

  • 特許庁長官がIPRを開始するか否かを決定する裁量権を有する。FMC事件においては、私人によって提出された訴状(申立書)に対する裁定を拒否する裁量権を、連邦海事委員会はもたなかった。
  • ひとたびIPRが開始されると、申請人が参加を選択しない場合でも、PTABは手続き継続を選択できる。FMC事件と異なり、IPRにおける特許庁手続きは、連邦民事訴訟規則に沿ったものではない。類似点もあるが大きく異なる部分もある。等々

最後にCAFCは、今回の判決の対象はあくまでIPRに対するインディアン部族の主権免除について判断したものであり、州主権免除の扱いについては別の機会にする、と締めくくっています。

特許侵害訴訟をよく提起する州立大学が、IPRで対抗された場合に "state sovereign immunity"を主張するケースも少なくないだけに、これについても今後どう判断されるかは注目ですね。 

次回は、IPR等におけるPTABのクレーム解釈基準改正案へのコメントと、「アメリカのイノベーションのためにPTABとAIAを消し去れ」という法案についてとりあげたいと思います。


7/23/2018  ヨシロー



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特許たたきやっている場合ではないでしょう

第123話:Oil States判決後も続く「IPRと憲法」論争 ... 修正第5条違反を主張するクラスアクション ...IPR決定の争点排除効に三権分立への懸念

IPR(当事者系レビュー)の合憲性を争ったOil States事件以降、IPRと合衆国憲法をめぐる論争が続いています。

Oil States事件では、合衆国憲法第3条および同修正第7条に違反せずとの最高裁判断が示されましたが、同判決自体が「本判決は範囲の狭いもの」と強調していることもあり、他の規定をめぐる憲法論議が次々と出てきます。
...とはいえ、実際に知っているのは以下の3つくらいなのですが。せっかくなのですべてとり上げておきます。

 


IPR
と憲法問題 

  • 2018.4.24  Oil States最高裁判決 -- 合衆国憲法第3条および修正第7条の違反なし (Oil States Energy Services v. Greene's Energy Group, No.16-712, 4/24/2018)*1)

  • 2018.5.9   「IPR被害者」によるクラスアクション提起される -- 修正第5(デュープロセス、収用条項)違反(Christy Inc. v. USA, Ct. Fed.Clms., filed 5/9/2018) *2) 

  • 2018.5.23  XY, LLC v. Trans Ova CAFC判決 - ニューマン判事による三権分立への懸念表明 (XY, LLC v. Trans Ova Generics, L.C. , Fed. Cir. 5/23/2018)

  1. *参照『第120話:Oil States事件の連邦最高裁判決下される --- I.P.R.の合憲性について、最高裁が判断したこと、しなかったこと』(5/6/2018)
  2. *参照『第121話:Oil States最高裁判決の余波(?) ...「特許財産の収用」に対する「正当な補償」を求め特許権者がクラスアクション提起』(5/14/2018)


今回とり上げるのは上記3番目、5月23日に下されたCAFC判決およびニューマン判事が反対意見(dissenting opinion)で示したIPRと憲法問題への懸念についてです。


XY, LLC v. Trans Ova Generics, L.C. (Fed. Cir. 2018)


事案の概要

原告(被控訴人)XY社は、X-, Y-
染色体を有する精子細胞の選別に関する米国特許を保有している。

被告(控訴人)Trans Ovaは畜牛用に胚移植および体外受精サービスを提供している。

 

Trans Ovaは、Inguran LLC(XY特許のライセンシー)から選別精子を購入していたが、次第にInguran製品の品質に不満を持つようになり、自らXY特許のライセンスを受け、独自の選別精子をつくるようになった。

 

20044月 Trans OvaとXY社は5年期間のライセンス契約を締結(契約は1年ごとに自動延長)。

200711月 InguranXY社を買収。同時期にXY社Trans Ova に対し契約解除の通知(契約違反を理由とする)。Trans Ovaは違反を否定し、ロイヤルティ支払い継続。

20094月 契約解除

 

20123月 XY v. Trans Ova XY社は特許侵害を主張し、Trans Ovaをテキサス西部地区連邦地裁へ提訴 
 -- Trans Ovaは訴えの却下または他地裁への移送を申し立て


2013
328日 コロラド地区連邦地裁へ移送
 -- XYは修正訴状提出。特許侵害の他に、契約違反、不当利得主張
 -- Trans Ovaは、特許無効、シャーマン法(反トラスト法)違反、契約違反の反訴

 

陪審評決

 -- 両当事者ともに契約違反あり
 -- XYの特許は無効でない。Trans Ovaにより故意に侵害された

 

Trans Ova は、特許有効の陪審評決について、地裁に新たな審理を求めるが退けられる。

 「Trans Ovaの主張は、XY側専門家承証人の意見を批判するに過ぎず、陪審審理で提示された主張の繰り返し以上のものでない」

 

これを不服として、Trans OvaはCAFCに控訴。

CAFC判断 *実際に控訴対象となった争点は、反トラスト法違反、契約違反など複数ありますが、以下、特許有効性争点のみとりあげます。


≪第一に、当裁判所は本件特許に対するTrans Ovaの無効主張について検討する必要がなくなった。なぜなら、当裁判所は本日、本件特許を対象とする別の控訴案件*において、本件と同じクレームを無効としたPTAB判断を確認(affirm)しており、その結果、XYはその他いかなる手続きにおいても同じ特許クレームについて権利主張することが、(争点排除効の適用により)禁じられることになったからである (…collaterally estops XY from asserting the patent in any further proceedings)  *別の控訴案件 XY, LLC v. ABS Blob.,Inc.Appeal No.16-2228)

 

≪当裁判所が確認したことにより、本件特許の無効判断は、最終的なものとなり、本件特許に関わるいかなる係属案件、並行係属案件に対しても争点排除効をもつこととなった。...かつて同種の並行手続き事案においても、当裁判所は、特許権者が(原審の)無効判断に対する控訴という救済を使い、法廷での弁論機会(day in court)を得ていることを理由に、争点排除効を認めている…。

 

これは、本件反対意見(Newman判事の反対意見)が主張するように『行政機関の対立する判断によって、地裁の判断が覆された』ということではない。行政機関であれ、地裁であれ、これらの無効判断を当裁判所が確認した事実により、その無効判断は争点排除効を有するのである≫

 

≪また当裁判所は、最近、最高裁のB&B Hardware, Inc. v. Hargis Industries, Inc.判決(135 S.Ct. 1293, 1303(2015)を適用し、審判部決定に争点排除効を認めている。MaxLinear, Inc. v. CF CRESPE LLC, 880 F.3d 1373(Fed.Cir.2018)参照≫ *1)

≪反対意見はまた、当事者からの要請も議論もなしに、当裁判所が自発的に(sua sponte)争点排除効を認めたことに対し懸念を示しているが、これも先例と本件当事者の立場に基づくものであり、誤りはない。両当事者ともに、PTABの決定が当裁判所に確認されれば排除効が生ずるものと仮定しており、そのうえで排除効の結果自体について争っているのである。…当事者のいずれかが排除効は適用されないと思っていることを示すものは何もない。したがって、本件のように明らかに排除効が生ずる争点については、原審に差し戻すことによる「司法資源の浪費」を回避するためにも、自発的に争点排除効を認めるのである≫

*1)
ここで引用されているB&B Hardware, Inc. v. Hargis Industries, Inc.判決は、当ブログでもとり上げました。商標事件で、特許庁TTAB(商標審判部)の決定に争点排除効を認めた事例です。

『第35話:米連邦最高裁が商標事件で重要判決 - 誤認混同争点に関するTTAB決定は侵害裁判所を拘束する』 (3/31/2015)  ≪商標登録手続きにおいて、商標審判部が誤認混同のおそれについて下した判断は、後の侵害訴訟において同一の争点を判断する裁判所を拘束しうる。この「争点排除効」は、裁判所で争われている当該商標の使用態様が、TTABが判断した使用態様と実質的に同一であるかぎり生じうる≫)


多数意見判決がこれほど気にするニューマン判事の反対意見とは、...ここまで長くなってしまったので手短に。

ニューマン判事の反対意見

争点排除効に関する本件多数意見において、とりわけ懸念されるのは、別の当事者(non-mutual parties)に対して下された行政機関の判断が、司法権に対して排除効を有するという点である。これは合衆国憲法が採用する三権分立に対する懸念を生じさせる。また、両当事者への通知なしに、互いの見解を提示する機会を与えることなく、裁判所が自発的に排除効をつくり出すという行為は、法の適正手続き(デュープロセス)をないがしろにしたものともいえる

 

後段の、当事者の意思/要請にかかわりなく裁判所が自発的に争点排除効を認めた行為について、ニューマン判事は”appellate surprise"ということばを使って批判しています。「当事者のいずれかが排除効は適用されないと思っていることを示すものは何もない」という多数意見(「排除効が適用されるものと思っていたはずだ」という論法)に対しては、古い最高裁判例の一文を引用しています。

"The fallacy of the argument consists in assuming the very ground in controversy." Trs. of Dartmouth Coll. v. Woodward, 17 U.S. 518, 697(1819)(Story, J., concurring)

(...軽々しく和文にすることは控えさせていただきます。自信ないので) 

 


本判決の多数意見とニューマン判事の反対意見については、以下のブログ記事がよくまとめてくれています。判決原文へのリンクも張られています。
XY, LLC v. Trans Ova Generics, L.C. (Fed. Cir. 2018), By Kevin E. Noonan, Patent Docs 5/29/2018 




6/17/2018  ヨシロー


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第121話:Oil States最高裁判決の余波(?) ...「特許財産の収用」に対する「正当な補償」を求め特許権者がクラスアクション提起

≪これは、合衆国政府が一度認可した特許財産権を取り上げたことに対し、正当な補償を求める集団訴訟(クラスアクション)である。合衆国政府(実行者は米国特許商標庁PTAB)がアメリカ発明法(AIA)の付与後手続きによって原告および本件クラスの特許クレームを無効にする行為は、合衆国憲法修正第5条に違反する「正当な補償なき収用(a taking without just compensation)」に該当する≫
(Christy Inc. v. USA, Ct. Fed.Clms., filed 5/9/2018)


前回Oil States最高裁判決についてとり上げた際 (『第120話:Oil States事件の連邦最高裁判決下される --- I.P.R.の合憲性について、最高裁が判断したこと、しなかったこと』(5/6/2018))、このように締めくくりました。

最高裁は、今回の判決がかなり狭い範囲に限定されたものであることを明記しています。

≪本判決は範囲の狭いものであることを強調しておく。ここで扱うのはIPRの合憲性のみであり、たとえば、特許侵害事件といった他の特許問題が憲法第3条裁判所以外の機関(non-Article Ⅲ forum)で審理されうるか否かについて扱うものではない。... ... 憲法の「デュープロセス条項」や「収用条項(Takings Clause)」の文脈においても特許権は私有財産ではないことを本判決が示唆している、というような誤った解釈をすべきではない≫
ただでさえアンチIPRの業界や投資家が多いなか、多数意見自体がこのようなことばをつかっている以上、IPR論争はまだまだ尽きることはなさそうです。

まさに、この最高裁判決を紹介した3日後に、冒頭の訴訟が提起されました。原告はIPRによって一度認可された特許を無効にされた特許権者であり、最高裁が判決対象外とする憲法条項(修正第5条)の違反を主張して、連邦請求裁判所に対しクラスアクションを提起したのです。

合衆国憲法修正第5条
「... 何人も、法の適正な過程(デュープロセス)によらずに、生命、自由または財産を奪われることはない。何人も、正当な補償なしに、私有財産を公共の用のために収用されることはない(…nor shall private property be taken for public use, without just compensation.)」


原告Christy Inc.は、米特許商標庁(USPTO)による修正第5条違反(「正当な補償のない収用」)とともに、USPTOによる「契約違反」を主張して損害賠償を請求しています。ここでいう契約とは、特許を有効なものとして認可する特許庁と、対価として特許発行料(issue fee)と維持料金(maintenance fee)を支払う出願人/特許権者との間で交わされた取決めをいいます。

より詳細はこちらで。訴状原文にもリンクが張られています。


実際のところ、IPRを憲法違反とするのと同じくらい、IPRによる特許無効化に対し政府に補償させることは難しいと思います。しかし、このような特許付与をめぐる憲法論議に伴い(その前からではありますが)、特許制度への信頼性回復を求める声がかなり強くなってきているようです。


批判の元、PTABにおけるBRI基準を改正へ

今回のクラスアクションと同じ5月9日、Andrei Ianqu新長官が率いるUSPTOは、PTAB手続き(IPR, PGR, CBM)における特許クレーム解釈で用いられているBRI(Broadest Reasonable Interpretation)基準を変更し、連邦地裁やITC(国際貿易委員会)で用いられる基準(Phillips判決基準)を採用するルール改正案を発表しました(連邦官報告示 ”Changes to the Claim Construction Standard for Interpreting Claims in Trial Proceedings Before the Patent Trial and Appeal Board" (83 FR 21221) May 9, 2018)。

発明者、特許権者、そして投資家が信頼できる特許制度の再構築を目指す、と公言するIancu新長官の本気度を示す第一歩か...。


5/14/2018   ヨシロー


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第120話:Oil States事件の連邦最高裁判決下される --- I.P.R.の合憲性について、最高裁が判断したこと、しなかったこと

≪アメリカ発明法(America Invents Act: AIA)により設置された「当事者系レビュー(inter partes review: IPR)」は、合衆国憲法第3条、同修正第7条いずれにも違反しない。特許付与は公的権利に関するもの、より具体的には「公的な特権/営業許可(パブリック・フランチャイズ)」の付与である。IPRは、かかる特権付与について見直す行為にすぎず、特許庁がこれを実施することは合衆国憲法第3条に違反しない≫
(Oil States Energy Services v. Greene's Energy Group, No.16-712, 4/24/2018)

特許権は「私有財産」であり、これを、合衆国憲法第3条で定める裁判所によらず、また同修正第7条に基づく陪審審理を受ける権利も与えずに、特許庁PTAB(審判部)という行政機関が審理し、無効にすることを可能にするIPRという制度は違憲である。
このような主張を受けて審理された注目の最高裁判決が4月24日に下されました。

連邦最高裁は、7対2の多数決で、IPRを合憲とする判断を下しました。これにより、違憲と判断された場合の大混乱はひとまず回避されたことになります。

本判決については、すでに国内で複数の専門家の方に紹介されていますが、当ブログでもIPRネタはいくつかとり上げてきましたので*、少しだけ書いておくことにします。
(*たとえば、『第113話:IPRから特許を守る新テクニック? 特許権を譲渡されたインディアン部族が主権免責を理由にIPRの却下を申し立て』 (9/24/2017), 『第60話(1):カイル・バス、フォルクスワーゲン、バイオシミラー、M&A ... (最近)これらに共通するものは?』(9/12/2015)など)


特許権は「公的権利」「公的フランチャイズ」

特許権は「私有財産」である以上、憲法第3条で定める裁判所でないと無効にできないというOil Statesの主張に対し、最高裁は「公的権利の法理」(public-rights doctrine)を持ち出して、その主張を退けました。少し長くなりますが、ここは原文をそのまま見たいと思います。

≪合衆国憲法第3条は合衆国の司法権を「ひとつの最高裁、および連邦議会が随時制定し、設立する下位裁判所」に与えている(第3条第1節)。したがって、連邦議会は政府の司法権を第3条裁判所以外の機関に授与することはできない。ある手続きが第3条に基づく司法権の行使に関するものであるか否かを判断する際に、当裁判所は「公的権利」と「私的権利」の区別をしてきた。すなわち、当裁判所の先例は、公的権利に関する裁定については第3条裁判所以外の機関に任ずる裁量権を連邦議会に認めた...。

この「公的権利の法理」は、「政府と政府以外の者の間に生じた事項であって、その性質上司法判断を必要としないが、その影響は受けうる」事項 (matters arising between the government and others, which from their nature do not require judicail determination and yet are susceptible of it) に適用される。IPRはまさにそのような事項、すなわち「公的な特権/営業許可(public franchise)」を与えた政府決定の見直しである。

特許付与の決定は公的権利に関するもの、より具体的には「公的な特権/営業許可」の付与であると当裁判所は認識しており、これについては両当事者間にも争いはない。IPRは、かかる特権付与の見直しにすぎず、議会が見直しの権限を特許庁に保持させたことは誤りではない。したがって、特許庁によるIPRの実施は合衆国憲法第3条に違反しないと判断する。


上記の通り、最高裁判決は、特許を「パブリック・フランチャイズ」と性質づけています(とりあえず「公的な特権/営業許可」という訳語を当てておきました)。これについては、ipwatchdogのGene Quinn氏が噛みついています。
"The Supreme Court is wrong, a patent is not a franchise"(Gene Quinn, ipwatchdog, 5/1/2018)

≪「フランチャイズ」とは、「政府または企業によって、個人または団体に認められた、特定の商業活動を実施することを可能にする権限」と定義される。しかし、特許とは他者が何かをすることを排除する以外に、何かをする権限を特許権者に付与するものではない。特許が「特定の商業活動を実施すための、政府によって付与された権限」などと、どうしていえるのか...≫


最高裁判決が判断しなかったこと
最高裁は、今回の判決がかなり狭い範囲に限定されたものであることを明記しています。

≪本判決は範囲の狭いものであることを強調しておく。ここで扱うのはIPRの合憲性のみであり、たとえば、特許侵害事件といった他の特許問題が憲法第3条裁判所以外の機関(non-Article Ⅲ forum)で審理されうるか否かについて扱うものではない。... また、上告請求人(Oil States)が提起しなかったIPRの遡及適用についても扱わない。...最後に、憲法の「デュープロセス条項」や「収用条項(Takings Clause)」の文脈においても特許権は私有財産ではないことを本判決が示唆している、というような誤った解釈をすべきではない≫


ただでさえアンチIPRの業界や投資家が多いなか、多数意見自体がこのようなことばをつかっている以上、IPR論争はまだまだ尽きることはなさそうです。(上で触れた「インディアン部族への特許譲渡によるIPR回避戦略についても、近々に現状アップデートするつもりです)


5/6/2018  ヨシロー




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第114話・続き:BREXITの話 (1)"BREXIT"商標が認められる (2)"BREXIT"後の知財権取り扱いポジションペーパー (3)"BREXIT"決定後のUPC状況

第114話 "BREXIT"商標の話に続き、BREXIT後の知財取り扱い、UPC(欧州統一特許裁判所)実現に向けた現状についてとり上げます。

(2)"BREXIT"後の知財権取り扱いポジションペーパー

2017年9月7日、欧州委員会は、英国によるEU離脱後の知的財産権の取り扱いに関するポジションペーパーを発表しました。(Position papertransmitted to EU27 on Intellectual Property rights (including geographical indications))


これは、2019年3月末に予定されている英国のEU離脱後に影響が生ずる知財権の取り扱いについてEUの考えをまとめたものであり、全5頁という比較的短いもの。英国以外のEU加盟27カ国で協議された後、英国に提示される予定です。ペーパー骨は以下の通り。


EU離脱により不確実性が生ずる3項目
  1. 特定の知的財産権の英国における保護範囲
  2. 特定の権利における出願の取り扱い
  3. 権利の消尽

英国とEUとの間で締結される離脱協定(Withdrawal Agreement)においては、この不確実性により生じうる双方の不利益を最小限にすべく、以下の取扱いを確保すべきである。

  • 欧州単一効をもつ知財権(intellectual property rights having unitary character, 以下「単一効知財」)の英国またはEU加盟27カ国の保有者が、英国の離脱日前にEU法に基づき英国で享受している保護は、離脱によって弱められることがないようにする。* 離脱日以降、これらの知財権は英国において、追加の費用負担なしに自動的に確認されるものとする。
  • 離脱日時点でEU内で係属中の単一効知財権における、手続き関連の権利(優先権など)については、対応する英国知財権の英国出願に際し、失われることがないようにする。
  • 離脱日前に英国で係属中の補足保護証明書(SPC)またはその期間延長の申請は、EU法で定められた条件に基づき遂行されるようにする。
  • 離脱日前に英国およびEU加盟27カ国において保護されているデータベースは、離脱後も保護を享受できるようにする。
  • 離脱日前にEU域内で消尽した知財権は、離脱によって影響を受けることはないものとする(離脱日以後も消尽したまま)。権利消尽の条件は、EU法で定義されたものに基づく。
 
定義「欧州単一効をもつ知財権」とは以下を含む。
  • 欧州連合商標
  • 登録共同体意匠
  • 未登録共同体意匠
  • 共同体植物新品種権
  • 地理的表示保護/原産地表示保護

以上の通り、内容自体は特に想定外のものもないようですが、欧州連合商標などEU全域に効力の及ぶものとして認められた知財権については、英国の費用負担と努力により維持されるべきことを要求しています。英国政府としてはどのように応ずるのか、英国側ポジションペーパーはまだ公表されていません。


(3)"BREXIT"決定後のUPC状況

UPCの進捗については、いろいろなところで紹介されているので手短に。

BREXIT投票後の英国政府によるUPC批准意向を受けて、2017年初めにはUPC準備委員会も、2017年12月1日のUPC開始、オプトアウト申請の先行受付(sunrise period)を2017年9月1日からとする暫定スケジュールを発表していました。

当初予定の2017年12月1日UPC運営開始は消滅。2018年へずれ込む

しかしその後、英国では総選挙などにより批准が遅れ(2017.12.1 開始のためには3月には批准される必要があった)、さらに必須批准国のドイツで遅延要素が発生しました。2017年に入り、UPC協定の批准を憲法違反とする訴訟がドイツ連邦憲法裁判所に提起され、独大統領による批准承認の署名直前で待ったがかかってしまったのです。

これを受け、2017年6月27日、UPC長官も12月1日の運営開始は不可能になったことを表明しました


ドイツ違憲訴訟がポイントに

その後、英国でもUPCでも、それぞれ批准、運営開始に向けた手続きや作業が進められていますが、2018年中に開始できるか否かは、ドイツの違憲訴訟の進展如何によりそうです。

 この違憲訴訟を提起したのはドイツ人弁護士。以前からUPCの反対論者として知られていた人物だったらしいです。憲法裁判所は、訴えを受理するか否かの判断に先立ち、ドイツ司法省、ドイツ弁護士連合会、欧州特許弁護士協会などに意見書の提出を要請しているということです。(参照:Complainant against UPC ratification in Germany confirmed as Ingve Stjerna (Mark Schweizer IPKAT 9/7/2017)) 

訴えが受理されれば、ドイツによる批准がさらに先延ばしにされることになり、「結局UPCの運用開始は、英国がEUを離脱する2019年3月29日以降になるだろう」という根強い声の通りになりかねません。

予断を許さない、という状況だと思います。今後もタイミングを見てとり上げるつもりです。


10/8/2017  ヨシロー




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第114話:BREXITの話 (1)"BREXIT"商標が認められる (2)"BREXIT"後の知財権取り扱いポジションペーパー (3)"BREXIT"決定後のUPC状況

久々に"BREXIT"の話をとり上げます。当ブログでとり上げたのは、"BREXIT"を決定したイギリス国民投票の直前でした。『第87話: "Brexit"か"Bremain"か...イギリスのEU離脱/残留決定が欧州統一特許制度に及ぼす影響』(6/13/2016) そして、まさかの離脱決定。それから約1年3ヵ月経過後の出来事をいくつかとり上げます。

(1) "BREXIT"商標が認められる
2017年6月28日 欧州連合知的財産庁(EUIPO)審判部は、英法人Brexit  Drinks Ltd.(BDL)による"BREXIT"商標登録を不適格とする根拠はないとして、出願を拒絶した同庁審査官の決定を取り消しました。
(Decision of the Second Board of Appeal of 28 June 2017  In Case R 2244/2016-2) 

BDLによる"BREXIT"商標出願の区分は、第5類、32類、34類で、食品サプリメント、エナジードリンク、ビール、タバコなどを指定商品としていました。

審査官の拒絶理由:欧州連合商標規則7条(1)(b)および(f)に基づく不登録事由に該当する
  • 規則7条(1)は不登録事由を列挙しており、(b)は「識別力に欠ける商標」、(f)は「公共政策や、一般的に受け入れられている道徳原則に反する商標」を登録不適格としている。 

≪"BREXIT"という語は、英国による欧州連合の離脱を意味しており、すべての欧州市民によく知られている。国民投票をめぐりネット上でも広く議論の対象になり、イギリス国民だけでなく欧州社会全体に大きな影響を及ぼした。

規則7条(1)(f)の適用において、出願対象のマーク自体が違法であったり侮辱的である必要はないが、そのマークを商標登録し、独占させることが違法あるいは侮辱的とみられる場合がある。

"BREXIT"という語が、作られた本来の意味ではなく、ダイエット用サプリやエナジードリンクなどの単なる「商品の表示」として欧州連合商標の登録を認められたならば、欧州連合の市民の感情が強く害される可能性がある。本件マークは、欧州の平均的な消費者、とりわけEU残留に投票した48%の英国民の感情を害しかねない...。

"BREXIT"という語は、様々なメディアを通じて集中的に使用されたことによって、英国によるEU離脱を意味する標語としてのみ認識され、本件指定商品の出所表示となりえない≫


審判部の決定: 以下の理由により、審査官の決定を取り消す

規則7条(1)(f)について

(f)項は、登録出願されたマーク自体に内在する性質によって評価されるべきであり、出願人の行為に対する平均的消費者の認識などといった外部状況によって評価されるべきではない。

(f)項でいう道徳原則とは、悪趣味、正しいマナー、あるいは個人的感情とは何ら関係がない。
"BREXIT"という語は、リスボン協定に従い、かつ英国憲法要件を満たした、主権国家による政治的決定を体現したものであり、道徳的意味合いは一切もたない。

欧州の平均的消費者、とりわけEU残留を支持した市民の感情を害しかねない、という審査官の認定には、証拠による裏付けがないことが明らかである。さらに、このような理由で商標登録を拒絶することは、EU基本権憲章(Charter of Fundamental Rights of the European Union)第11条で定める表現の自由に反する恐れもある...。

*審判部は、"BREXIT"という語から、より強く感情的影響を受けるであろう英国においてさえ、すでにいくつかの"BREXIT"商標が登録されている例を示している。
  • "BREXIT THE MUSICAL" (第41類)
  • "English Brexit Tea" (第4類, 30類)
  • "BREXIT BLUE" (第29類)
  • "BREXIT" (第9類,21類,25類,35類)

規則7条(1)(b)について

"BREXIT"は英国によるEU離脱を意味する標語としてのみ認識されいるため、当該商品の出所表示になりえないという審査官の判断は誤り。むしろ"BREXIT"商標は、先例によって確立されたすべての基準を満たしている。

1) このマークは「記憶しやすい(memorable)」というより、極めて記憶しやすい。"BREXIT"商標のついたエナジードリンクやタバコを買った人々は、将来同じ物の購入を避けたり、繰り返したりするうえで迷うことはないであろう。

2) このマークは「賞賛的な(laudatory)」ものではない。他者の競合製品と比べ品質において優位にある、といった意味合いを含むものではない。販促要素を含む"made in Britain"のようなことばとは区別されるべき。

3) "BREXIT"は、遊び心も備えた造語(coined word)であり、本件指定商品に関連づけて使用されると、要求されるレベル以上の識別力を有する。(注:ここはかなり意訳しています)

4) 商標の識別力判断に際しては、第一に指定商品に照らし合わせて評価し、次に関連消費者の認識に基づいて評価しなければならない。"BREXIT"という語は、当該指定商品やその品質について何らかの情報を伝えるものではなく、称賛的メッセージを記述するものでもない。

以上の理由により、本件商標は出願対象の商品について明らかに識別力を有していると判断できるため、審査官の決定を無効とする。



"BREXIT"商標審決の紹介はここまでとしておきます。次回、9月7日に欧州委員会が発表したBREXIT後の知財権扱いに関するポジションペーパーと、欧州統一裁判所(UPC)実現への動向について、少し触たいと思います。


10/1/2017  ヨシロー  ... 審決書を読んでいるうちに、私も"BREXIT"商標の登録申請をしたくなってきました。新橋辺りの店で『居酒屋 BREXIT』なんてどうでしょう。欧州店よりさらにdistinctivenessが増すこと請け合い!?




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