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久保田さんはあれから、吹っ切れたように練習に励んだ。



「フォア前にサーブだすから、フリックしてくれ、ドライブするからそれから俺のフォアコース、ミドルも含めて、とにかく動かすようにブロックしてくれ。」



「分かりました。時々、反撃してもいいですか?」



「いいな、そっからオールだ。」



「オッケーです。」




練習の声出しも誰よりも出してた。



全国と言う目標と、主将と言う立場がそうさせたのだろうか。




久保田さんが主将になってから大きく変わったことがある。




それは、練習に緊張感が出た。



遊んでいた、村岡や高井は注意されることが多くなり、「そんなに遊びたかったら俺と練習しろ」と久保田さんの相手させられたり、俺や龍田さんにもその役割が来たりした。



三年と佐藤さんと村石さんがいなくなった部活は、広く感じた。実際人が減ったから、広々と使えているのだが。






変わらずに嫌なところもあった。



それは、北海は週に一回、夜に練習することがある。北里さんが見に来る日に合わせて。



その時北里さんは何をするかと言うと、何もしない。体育館だと言うのに、煙草を吸いながら俺達を見ているだけだった。




それが俺はどうしても嫌だった。



頑張って練習しているところを煙草吸いながら見ると言う行為は、頑張っている俺達を見下している様に感じるからだ。



それで、練習の最後に一言言うだけ。




逆にそんなんで、週に一回よく来ようと思うよな。










練習に緊張感が出る事によって、士気が高まった。



だからと言って、チャック塗らなくなった輩が塗るようになったかと言うとそうではないのだが・・・




でも、少なくとも、前より雰囲気は部活らしくなった。





俺も、数ある課題を一つ一つ出来るようになっていった。




そして、久保田さんと時々、北海学園大学に練習に参加させてもらっていた。




大学のレギュラーの方々には、俺も久保田さんも歯が立たなかった。



少し、お門違いかもしれないが、悔しいと思った。



これだけ頑張っても、勝てないのか。



北海学園大学にはカットマンはいないと言うのに、皆カット打ちが上手い。



パワーもあるので、俺のぶつ切りカットも平気でドライブされる。



攻撃しても、平然とブロックされて反撃される。



対応しきれない。何をどうしても、自分の得点源が無い。




「アドバイスお願いします。」




と言うと、丁寧にアドバイスしてくれる。




「攻撃するってみえみえなんだよね。コースも分かるから、別に困らない。カットも威力は確かにあるけど、だったら打たなければいいし、つっつきには威力がないから、それを狙われてしまう。ただ、前陣の攻撃は良いね。なかなかいないから、良いと思う。」





「ありがとうございます。攻撃するのが見え見えって、どうしたらいいでしょうか。」




「あからさまに前に出すぎ・・・なんだけど、前陣だから仕方ないとして、ラケットをつっつきするような構えで待っていたら、少し誤魔化せる。あとコースは、バックスイングの大きさでストレートかクロスか分かる。あっ、それか、急に前に出て、前陣すれば良いかもね。」







むじぃよ!





かなり的確なアドバイスかもしれんが、難しい事を平気で言ってくれる。





これも課題か・・・





「ありがとうございます。本当に勉強になります。」




「次、永田と試合してみ?そろそろ交代だから。あいつの方がいいアドバイスくれるよ。」





いやいやいや、あなた様で十分ひれ伏しますよ。





永田さんは、俺は中二から北海高校に練習に来ていたので、何度もお世話になっていた。




全っ然敵わなかったが、今はどうだろうか・・・?






「永田さん、次僕とゲームしてもらえませんか?」




「おう、一平。いいぞ。活躍してるらしいじゃん。」




「いえいえ、まだまだです。」




「どうやって、攻めたらいい?」




もう、実力差が大きくあるので、ゲームでも手加減ではないが、身になる方法で相手してくれるのだ。




「僕が最も点数の取れない攻め方でお願いします。」




「分かった。聞くけど、お前が最も得点出来るのは何だ?」




「えー・・・んー・・・」




色々悩んだ。やっぱりカットをミスさせる事か?つっつかれたら攻撃する事か?前陣での攻撃か?意表を突く事か?






「それがすぐに言えないことが駄目だ。」






目から鱗。かなりへこんだ。





「すみません・・・」




「いや、それを今気付けて良かったよ。自分の一番の強味を決めておけ、それが駄目だったら第二候補、それも駄目だったら第三候補。それが馬目だったら、考え直す。」




「はい、すみません・・・」




「いや、謝る事ないって(笑)俺もそう思ったのは高二からだし、高一で気付けたお前はラッキーだな。」





いや、ラッキーじゃねぇよ、あなた様のお陰ですよ。





「分かりました、今決めました。ただ、それは言いません、それで相手してください。」




「分かった、ただ、今この場で決めるのは、早すぎるから、一旦それだと仮定して、やってみ。やってみてから変えてもいいから、試行錯誤だ。」






えー、人間四つも歳が違うとこんなに大人になれるの?


俺、四年後、こんな事言えるかな?






「はい、分かりました。お願いします。」




「本気で行くけど、へこむなよ?」





いや、既にへこんでるんですがね。




お手柔らかにと言いそうになったが





「へこみません。」




とだけ言った。










永田さんとのゲーム、俺はカットをネットミスさせることを一番として考えた。




二番は意表を突く。



三番は前陣速攻。









「お願いします。」








永田さんは俺のバックにロングサーブを全然出さなかった。



そりゃあ知ってるでしょうね、それが最も俺が得意としていることは。




とにかくフォア前、バック前。




永田さんサーブ上手すぎ、レシーブミスしないことがやっとだ。





フリックも何度か練習がてらやったが、意味がないと言うか、ドライブで返される。



それを前陣速攻するしかなかった。



つっついて、カットに持ち込んで切ってネットミスを誘うが、全然ネットミスしない。



そうですよね、永田さんの筋肉量は知ってます。あと何故か靴のサイズが人より少し小さい事も知ってます(笑)




ドライブも重い。とても。龍田さんより、もっと。




それをフォアカットは良い。でも、バックカットを切るのがとてもとても難しい。




これも課題か・・・



じゃあ、意表をついてみるか。





カットを切らない、ナックルにする。



それを後陣で軽く攻撃した後、素早く前に出て、速攻。



決まった。これ、いんでね?



と思ったが、意表はパターン化してしまえば意表ではなくなってしまう。



次、何ができる?



ストップして、バックフリックして、攻撃連打。




あかん、全然効いてへん。



なら、回り込んで・・・



と思ったところにフォアに打たれる。




全然バレてる・・・






じゃあ前陣で点数を取る。




これは嫌と言うほど練習している。




特にバックハンドは実は厚さが薄だからか、表のようにナックルで攻撃が出来る。



ナックルで攻撃が出来ると言うより、勝手にナックルになってしまう癖玉だった。




これがなかなか効いた。ネットミスしてくれた。






1-3で負けたが、0-3じゃなかったことに、情けないが、安堵した。






「一平、強くなったなぁ。あの頃(中二の頃かな?)とは全然違うよ。うん、高一でこれだけ強ければ北里さんが期待するのも当然だわ。」




北里さんは、学園大学でも監督をしていた。





「北里さんが期待?初耳ですね。」



「まぁ、表には出さないが、少し話はしている。」




「そうですか。それよりも、アドバイスお願いします。」





「まず、カットがキレてるのが分かるから、それを打たなければいいと思ってしまうな。」




俺の持ち味は、バックカットが切れているか切れていないか分かりにくいところが強みだったのに・・・





「ただ、フォアカットの威力には驚いた。つっつきしても、ラバーがすべる。これは良いな。見た事ない。攻撃は、んー、言いにくいんだが、所詮カットマンの攻撃力じゃ、ドライブマンのようにはいかないんだよな。対応出来る。でも、前陣って言うのは良い。打点がかなり速いな。付いていくのがやっとだったわ。あと何でバックハンドナックルなんだ?」




「僕も分からないんですが、薄だからか、ナックルになるんですよね。謎です。」




「それは使える。実際、何度も俺ネットミスしたしな。と言うか、所詮とは言ったが、ここまで攻撃出来るようになるのに、かなり練習したんじゃないか?下手な前陣速攻よりよっぽど速い。」




「後陣は、何て言うんでしょうか、好きじゃないんですよね。反射神経が良い方なので、前陣で攻撃するのが楽しいんです。あと・・・カット打ちが嫌だから、練習したくないと言われて、攻撃するので相手してくださいと言って、攻撃の練習が自然と重点的になったりしたと言うのもあります。」




「そんなこと言う奴がいるのか、お前も大変だな。だからか、攻撃が良い分、カットマンとしての本領が足りないな。」




「つまり、カットが効いてないと言う事でしょうか?」



「そう、粘りも足りないし、威力も分かるし、コースも甘い。」




へこむな俺。




「はい。それはあると思います。」




「特に高くカットしてくるときは誘ってるなと見え見え。まぁ、高校生ならそれに手を出すかもしれないが、俺はその誘いには乗らない。もう少し、自然に。あとナックルも増やせ、分かりにくく。攻撃してくる時も見え見え。もっと分かりにくく。」







むじぃよ!!






「分かりました。」




「なんで俺が1セット取られたか分かるか?」




「カットと攻撃を混ぜたからでしょうか?」




「おっ、分かってるじゃん。そう、単調なやり方じゃなくなったからだ。俺の想定外の事をしてきたし、バックハンドのナックルが嫌だった。更にはカット打ちした後の攻撃への対応って、やっぱり難しいんだよ。テンポが違うから。それを活かしていけばいい。」




「本っ当に勉強になります。ありがとうございます。」




「まぁ、辛辣な事も言ったかもしれないけど、お前は十分強いよ。本当だぞ?お世辞じゃなくて。俺もそっちに練習しに行ってお前の様子見るようにするわ。」







あなたは神ですか?





「ありがとうございます!」




「言いたいことはこれくらいかな。あとは自分で考えろ。」





「はい!ありがとうございました!」




深々と礼をした。


















「久保田さーん・・・」




「ん?なした?」




「もう、毎日練習ボイコットして、ここで練習しません?」




「分かるわぁ。それが出来たらしてるわぁ・・・」



「ですよねぇ・・・」






大学での練習は刺激的で、本当に楽しかった。



へこむけど。































追いかけて、追いかけても、掴めないものばかりさ。
愛して、愛しても、近付く程見えない。