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お客様も来てくださったり、大学に練習をしに行ったりして、俺は技術は着々と身に付いていた。



だが、永田さんの言った通り、俺はカットの粘りが出来ていない。


やっているつもりではあったが、まだまだ足りない。




しかしいつも通りの練習ではカットの粘りを習得するのは難しい。



俺のカットをドライブできる部員が龍田さんしかいないからだ。




強くなりたい。結果を出して、両親を安心させたい。



両親を安心させたいと言うところでは違っていたかもしれないが、久保田さんも強くなりたいと思っているのは感じた。




龍田さんもそう思っていただろうが、俺はそれに負けないつもりでいた。




大浦さんもちょくちょく顔を出してくれたり、永田さんや熊谷さん(全員北海OB)も北海に来てくれた。




それを利用しない訳がない。




この人たちのお陰でカットの粘りも少しずつ出来るようになっていった。



と言うか、甘い球が殆どないので、攻撃が出来ない。


まぁ、それでもするんだけど、性格的に。





強くなっているという実感は感じる事が難しい。



数値で表せられるわけではない、目に見えないため、実感は無かった。




それでも、練習サボるよりかは前に進んでいるだろうと思うしかなかった。






そして俺は決めたことがある。









部活後だった、久保田さんと居残り練習をしている時









「久保田さん、僕、ダブルスの件考えたんですけど・・・」




「おっ、俺と組むか?」




「いえ、やっぱりクボタツのままでいてください。パートナーの足引っ張るのは嫌なんです。」




「足なんか引っ張んないって。」




「攻撃ばかり出来る訳でもありませんし、攻撃とカットマンが組むって久保田さんが思っている以上に難しいんですよ。それに、学年的に龍田さんと組むのが自然ですし。」





「じゃあ真鍋のまま行くのか?」





「いえ、違います。」





「じゃあ誰と?」





「高井です。」





「高井!?なんでだ!?」





「カットマンとショートマンが組む方がまだ自然じゃないですか。」




「だけど、高井と一平じゃ実力差が・・・」




「実力のない奴と組んで結果を残した方が格好良いじゃないですか(笑)」






「お前なぁ、分かってると思うが、高井は村岡と同じくらいのレベルだぞ?そんな奴と組んで勝てる訳ないべ?」





「僕が、高井の良さを引き出します。」




「良さってどこ?」





「僕と同じ、ドライブを打たれる戦型というところです。」





「そりゃ、ショートマンだからな。だけど、高井だぞ?想像もできない。」




「やります。こうする事によって、高井の意識も変わるかもしれません。」




「それは俺の仕事なんだけど・・・本当に良いんだな?」




「はい、久保田さんには申し訳ないのですが、決めました。」




「勿体ないなぁ。うちにもう一人カットマンがいればなぁ・・・」




「いないという現実です。高井と組みます。」




「俺じゃ駄目なのか?」




「はい、『駄目』です。」





「お前が判断したんだから、そうしてみるか、今度北里さんが来た時に報告するよ。」



















夜の練習の日になった、北里さんが来る日だ。





久保田さんは休憩中に北里さんと何やら話していた。






多分俺のダブルスパートナーの件だろう。





部室にいた俺は久保田さんに呼び出された。






「北里さんが話があるって。」






思い返してみれば、北里さんと話すのはこれが初めてかもしれない。




急いで北里さんのもとへ向かった。






「一平。高井とダブルスを組みたいと今久保田から聞いた。」




「はい、その通りです。」




「駄目だ。」




「何故ですか?」




「もっと強いショートマンとなら納得したかもしれんが、高井は駄目だ。」




「それは、高井が弱いからですか?」




「そうだ。引き続き真鍋と組め。」




「嫌です、真鍋と組んでも伸びしろを感じないからです。」




「じゃあ何か?高井の方が伸びしろがあるとでも言いたいのか?」




北里さんは大きく煙草を吸いこみ、消した。




「分かりません。でも、高井が足りない分、僕が補います。」





「お前はどんだけ自分を強い選手だと思ってるんだ?思いあがるな。」





「少なくとも、高井よりは強いですし、松浦さんに3-0で勝ったと言う実績はあります。」




「シングルスとダブルスを一緒にするな。だったら、久保田と組む方がよっぽど現実的だ。」








久保田さん、余計な事言ったなと思った。








「久保田さんには龍田さんがいます。それに、僕と組むことによって高井の意識が変わるかもしれません。」





「お前は実力だけでなく、主将だとでも思いあがってるのか?」






「そんな事ありません、一個人、一部員です。」






「とにかく駄目だ。お前は真鍋だ。」





「ではこうしてみてはいかかでしょう?高井とダブルス組んで、秋季でベスト8入らなかったら高井の話は無しです。真鍋と組みます。一度機会をください。」






「・・・無駄だ。」






「無駄でも、秋季は全道や全国がありません。別に結果が出なくても構わないでしょう?」





「秋季の結果も、後々シードに絡んでくる。お前はそんな事も分からないのか?」






「そうなったら、真鍋と組んで、シードを打ち負かせばいいです。そして僕は馬鹿なのでそんな事も分かりません。」







「・・・高井を呼んで来い。」






「はい。」





部室にいる高井のもとへと向かった。







「高井、北里さんから話がある。ちょっと来い。」






「俺?なんで?」





「お前以外に高井がいたらそいつを呼んでる。とにかく来い。」







高井は怒られるとでも思ったのか、不安そうな顔をしていた。






多分高井も北里さんと話すのは初めてだろう。











「はい。呼ばれて来ました。」






阿保か、なんだその嫌味を含んだ言い方は。




大人しく、はい、とだけ言っとけ。









「高井、勝ちたいか?」





「勝ちたいです。」





「嘘をつくな、久保田から普段の練習態度聞いている。」






「すんません。」





馬鹿か、「すんません」じゃなくて「すみません」だ。






「ダブルスで勝ちたいか?」






「はい。」





「村岡と組んでて勝てると思うか?」






「いえ。」







「じゃあなんで村岡と組んでると思う?」





「分かりません。」










分かれよ。









「実力的にお前は村岡が相応しいからだ。」






「・・・はい。」






「もし、一平と組んだとしたら、どうなると思う?」






「えっ!?」






「一平はお前と組みたいそうだ。」







「マジで!?一平!?」






「まぁ、今この時にやっぱり止めようとも思ったが、概ねそうだ。」







「一平と組めば勝てます!」







うわぁ、何その無駄な自信。俺は勝てるとは言ってないけどな。






「一平とお前、実力差があることは分かっているな?」





「でも、同じ一年です!」









やっぱ止めようかな・・・







「真鍋も一年だ。」






北里さんは煙草に火を付けた。






「そうですけど、勝ちたいです!」





「それはお前の欲求だ。負けたいと思う奴なんていない。一平は馬鹿だが、お前はもっと馬鹿だ。」






あっ、生まれて初めて人から馬鹿呼ばわりされた。







「一平、どうする?真鍋か、久保田か、高井か。」






「・・・高井にします。」





「よっしゃぁ!!!」





自ら言ったのに貧乏くじ引いた気分だ。







「一平から条件を出された。秋季でお前と組んでベスト8入らなかったら、お前はまた村岡だ。」






「入ります!絶対に!」








だからその自信どっから湧き出てるんだよ。









「一平がカバーしてくれてか?」





「違います、一平と力を合わせてです。」





「もう一回言うが、一平とお前の実力差は分かっているな?」





北里さんは煙を大きく吐き出した。









「分かってます。」




「そんな二人をカットマンとショートマンと言うだけで組ませるだけだからな。しかも条件付きだ。一平に感謝しろ。久保田、そう言う事だ。」





「分かりました。」




「僕も分かりました。北里さん、ありがとうございます。」




「よっしゃあ!!」





嗚呼こいつ真性の馬鹿なんだな、と思った。











話を終えて部室に戻った。







「一平、お前、俺と組みたかったのか!?」





「そんな訳あるか。物凄く大雑把な消去法で考えただけだ。」




「またまたぁ、素直になれよぁ。」




「はいはい、組みたかったです。」




「よし!これで俺にもチャンスがある!」




やっぱ他力本願じゃねぇか。




「高井、お前がサボればサボるほど、遊べば遊ぶほど勝てなくなるんだからな?」




「お前こそサボるなよ?」






うーん、やっぱ今からでも止めようかな。






「分かった、サボらん。秋季ベスト8目指して頑張るぞ。」



「おー!」




「まず、ブロックとプッシュを磨け、話が進まないから。」




「大丈夫、出来るって!」






はい、俺深呼吸ぅ。






「足りない。もっとだ。今までみたいに適当に練習相手を選ぶんじゃなくて、しっかり課題を持って練習相手を選べ。」



小さな声で言った。




「分かった分かったって。そのうち俺がお前を引っ張っていくようになるから。」




あー、話の通じない奴は疲れる。




「あぁ、期待しているよ。」








「休憩時間終わりだ、練習するぞ!」



久保田さんが声を皆にかけた。




「はい!」




高井の声だけが大きかった。



これでやる気になるのなら、御の字だ。






さぁ、課題がまた増えた。




ショートマンとのダブルス・・・どういう展開になるんだべか・・・




自力もつけないとな。






課題だらけの毎日だった。






酒飲みてぇと思った日だった。





































ただ通り過ぎただけ、君が回るため。
どこ吹いた風でした。くるり、かざぐるま。