2018年05月09日

河合隼雄『大人の友情』を読んだ

友情に大切なこととして、エマーソンを引用して、「真実」と「やさしさ」をあげた後に、これは、友情の行くすえを照らす、二つの星だと述べている。つまり、友情について考え、方向を示すために必要なものではあるが、人間はそこに「到達する」ことなどないのである。

これが友情、ひいては人間が生きていくうえでの真理だろう。
到達しえないことを知りつつ生涯そこを目指す――無上道を歩む(限りなき道を行く)――ということであり、換言すれば、『大般涅槃経』にある「もろもろの事象は過ぎ去るものである。怠ることなく修行を完成なさい」ということであろう。
もちろん、過ぎ去るものであるから、完成はありえないと釈迦は言外に述べているわだが。


多様性を楽しむことができるようになるためには、それぞれのつきあいの距離を上手にとってゆく必要がある。それらのなかで、お互いの距離についての調節や操作にそれほど気をつかうことなく、相手と共にいる、あるいは、「あの人がいる」と想うだけで、ほっとできるような関係がひとつでもあれば、その他のつきあいは楽になるだろう。そして、そのような関係こそ友情と言えるものの根本ではなかろうか。


河合さんの思想は仏教そのものの原理を言っている場合がおおい。これもその一つだろう。
友人とは「〜であらねばならない」などというものではなく、ただそこに「ある」ことを尊重できる気持ちからはじまるのだ、そう言っているわけだ。
しかし、この境地に至るのは至極困難なのだ。
E・フロムの言う「Have(己の欲望を満たす視点で相手を見る)」か、はたまた「Be(ただそこに居ることそれだけで尊い)」と見るかの違いであるのだから。

河合さんの言う、「お互いの距離についての調節や操作にそれほど気をつかうことなく」とは、互いの欲望を満たしたり、妥協点を見つけるということだろう。だから、本当の友情にはそういうものすら必要ないわけだ。

梨木香歩さんも、エッセイの中でまったく同じことを物語っていた。
「あ、誰々さんだ!」と見かけたことを単純に喜ぶ。そういう距離は案外といいものなのかもしれない、といった言いまわしで。
ただまあ、赤の他人との一期一会の出会になると、そういうことがまったく出来なくなる人は多いようだ。
道ですれ違う見知らぬ人、駅で見かけた人、そういう人々を見て「変な奴!」とか「迷惑な野郎だ!」などと思ってしまうわけだ。
そしてそういう愚痴をツイッターとかで言語化してしまうといった具合に。


どんな立派な人、人格高潔な人も心のどこかには陰がある。ただ、それとどのような形で生きてゆくか、というところに難しい問題がある。陰があるのは残念だし、悪は許容し難い。しかし、それによって人を全面否定するのはおかしい。人生の、友情の味にはほろ苦さが混じっている。


多分、人間関係において一番乗り越えるのが難しい部分だろう。
殊に、宗教や迷信に嵌り、その教えや信念が絶対的に正しいと狂信してしまうような人たちには。
だが、人生を豊かにする思いが「寛容」であることは間違いないだろう。

寛大とは、思いやり優しくすることだが、寛容には、理解できなくとも受け容れるという器の大きさがあるのだ。
寛大とは相手に対しての行為だから、ほとんどの人はやろうと思えば出来る。
だが、寛容になるのは難しい。
なぜかなら、寛容であろうとするのは、自分との闘いであるからだ。
本当は嫌いだけど優しくすることは出来る(ふつうこういうのを偽善という)。だが、嫌いという感情は自らの強い意志で塗り替えるしかないからだ。

しかしあえて言いたい、寛容であれ! と。

相手を受け容れる寛容な姿を体現して見せることで、相手の心に寛容さを湧きあがらせることしか出来ないのが現実なのだから。




Human Nature――「人間性」あるいは「人間らしさ」。直訳すれば「人間にある自然性、本能」。

人はどうしても一人ではいられない。
このAppleなら、僕が齧ることを許してくれるだろう。
なぜ齧りたいかって?
人間はそういう風に創られてるからさ。

なぜ齧りたいかって? あんまり猫とか可愛いことしてると噛みつきたくなりません?
なぜって? そういうものでしょ、としか言えないですけどね。
動物たちもやってるでしょ、甘噛み。そういうものなんだよ。

もちろん、AppleはNYのことで、ようするに人種の坩堝であり、ありとあらゆる人々であり、生きとしいけるものの暗喩だ。

こうした、生きとしいけるものへの愛――Human Nature――こそ、友情の根底なのではないだろうか。

ipsilon at 10:30  
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