2018年05月13日

小松左京『継ぐのは誰か?』を読んだ

本日、3つめの記事。
もう集中力が切れているので、前に下書きしたものに加筆してアップしちゃいますけどね。

本当は、この作品こそ、事細かに語りたいものを多く秘めているのだが、疲れたので、テケトーに。

そも、本作は「人間は完全たりえるか?」という問いからはじまって、それをずっと考えさせながら、謎解きをしていくという小説。
いやはや、素晴らしいにもほどがあると言いたい作品なのだが、その魅力をわたしごときが伝えきるのはちょっと無理なのだろう。


われわれの文明は、地球上の一切を破壊するだけの潜在能力をもった、核エネルギーを、まがりなりにもコースにのせた。次には、人類集団に――否、生物そのもののあり方の中にふくまれている、自己破壊の成分のコントロールを、目指すべきである。

ところが、愚かな人類は自分自身に対しての自己破壊が何であるのかさえ気づこうとせず、いまだ多くの人が自己破壊をしつづけているわけだ。
自己卑下、自己嫌悪、他者批判、他者支配などなど……。
すべてが自分の主観であることさえわからないから、こういうことを繰り返している。
もしも人類がこのまま変わらなければ、いずれ人類は地球やあらゆる種を巻き込んで自滅するしかないわけだ。
自己破壊をしない生き方とは、すべてを受け入れるということなのだが……。


犬は、人間より、はるかに下の、、、卑しむべき存在でしょうか?(中略)
犬は人間と、そして人間は犬と、平等の存在、、、、、です。(中略)

人間が犬より強い、、ということは、人間が無条件的に、、、、、犬よりすぐれている、犬より上の、、存在だということにはならんのです。犬は、犬として、存在する権利をもっている。そして、人間には、犬を勝手に人間より下とか上とかにランクづける権利はありません。――犬は死んでもやむを得ないが、人間は殺すわけにはいかない、などという権利はないのです。
犬を卑しみ、さげすみ、犬をぶち、犬を殺す人間は、ついには、人間をも、格づけ、さげすみ、殺すようになります。(中略)

犬は人間よりすぐれているから尊敬されるのではなく、犬は、あるがままにおいて、、、、、、、、、尊敬されるべき存在だから、尊重すべきなのです。


何をかいわんや、である。
犬と人間においてもこうであるのだから、人間と人間においても、双方があるがままにおいてその人を尊重すべきなことは言うまでもない。
だが、多くの人はそれができない。必ずといっていいほど、身勝手に評価・分析して「お前はこれこれこうだ!」とか言ってるわけだ。
間違った宗教を信仰しているから、あいつは卑しいだとか、仕事をしていないからあいつはクズだとか、あの民族は愚鈍な連中だとか言っているわけだ。

最近のコメントもそうでしょ。文より絵がどうたら、読書のための読書だとかさ、身勝手にわたしを評価・分析して、さも自分はものが見えてわかってるみたいに偉ぶり、悦にいってるわけだ。わたしの心の中で起ってることなんて絶対に知りえないのにね。微塵も知れないのにね。
下手であろうが、どんな悪であろうが、いかに卑しかろうが、それもそれで「あるがまま」だということがわからない。
というか、悪で卑しいだとか見てるのは見ている側の主観なのであって、見られているわたしそのものじゃあないんだけど、それがわからないんだなぁ。百万遍いっても千万遍いってもわからないらしいんだなぁ。実に可哀想なんだけどね。マジで。

ともあれ、悪で卑しくて不潔で嫌だな……そう見えるなら、離れればいいのに、いつまでも粘着して身勝手な評価・分析をしてくる。どうかしてるとしか言いようがない。


その結果どうなるか? 小松が述べているように、相手を蔑むことは最後には相手の抹殺へと向かうというわけだ。で、その抹殺した相手と自分に境目なんかないのだから、結果相手を殺す事は自殺でもあるのだが、多くの人は、どうやらそれがわからないらしい。

だから、人類(自分)が、優れているとか(自分が)強いとかそんなもので相手を評価しつづける先にあるのは、人類(自他)そのものの破壊であり、自滅(自殺)なのだ。


人類がほろびようがさかえようが、そんなことは一向にかまわない。もし、その価値や善悪をいい出すなら、――人類は、自分で自分に価値をあたえるしかないのだから、そんな価値は科学的証明、、、、、の対象にはならんのだし、きびしく道徳的な立場をとるなら人類は、すでに同胞や他生物に対して、さばかれ、抹殺されてもいいほどのおそろしい罪過をかさねているのだから、こんなものを救うにあたいしないし、、、、、、、、、、――それに、どうせいずれ、、、、人類は滅びるだろうしね。しか、そういったことを、骨の髄まで悟った上で、なおかつそういった立場を、総体的、、、に、のりこえる、、、、、方法はないものかね?(中略)
人類みずからが、自己の滅亡を前提とした上で、本当に、宇宙史に対して、自己を肯定し得るような立場が……。


さぁ〜 みんなで考えよう〜! そういう立場があるかどうか。
ちなみに、ここで言われているのは「知性」の立場だ。
そして、「知性」とは相反する立場とは、「自分で自分に価値を与える」という「政治」的行為による立場だということだ。


現実の世界には、知性と権力の二つの原理しかないのでしょうか?

さぁ〜 みんなで考えよう〜! 二つ以外の立場があるかどうか。
小松さんは、それこそが「(博)愛」であり「徳(中庸)」だと言ってますがね。

ともあれ、心に刺さる部分を抜書しようとすると、2、3ページをそのまま丸写しするしかないので、この程度でしか本作の凄さを伝えられないのだが……。

M・ウェーバーの理論にのっとれば、例えわずかな出来事であれ、現在のような国家や政治のある社会から逃れられない人々というのは、物を買うとか物を貸すといったなんの気ない行為であっても、それは政治的行為だと言えるわけだ。これらを法律的に言えば、売買契約というし、貸借契約というわけですからね。
したがって、いかなる些細な行為であっても、何かをすればそれはすでに政治的行為になる。

そんな世界は嫌だというなら、学者かジャーナリストになるしかない。
だがそういう立場というのは、事実を科学的に伝えるだけであって、それ以上の行為――事実にもとづいた意見であるとか――をしたなら、それは即政治的行為に当たるので、それをしてはいけないわけだ。したがって、戦場にあって、目の前で凄まじい虐殺を見ても、学者やジャーナリストはただその事実を記録し、提示するのが彼らの立場であり職務なわけだ。
それができないなら、辞めちまえというのがウェーバーの論理。
よく感情に流されて、ジャーナリストが写した映像を見て、「撮影なんてしてないで助けてやれ、クズ」なんていわれているが、それをやってしまったらジャーナリスト失格なんですよ、ウェーバーの論理ではね。
それをやったら、即政治的行為(どちらかの味方になる)ということだからだ。
中立性が担保できていない報道に事実や真実があるか、考えてみればいい。

したがって、学者的立場をとるなら、人類がいずれ滅亡するとか地球が滅びるかもしれないという事実がわかったとしても、「ああ、そうですか」と、坦々とそれを肯定するしかないわけだ。
翻って、政治の立場というのは、最終的には暴力という支配の力(行為)によって、すべてを解決しようという立場になる。だから政治的立場というのは、敵味方という構図――とそこから生じる争い――を必ず作りだすから、早く滅亡したいなら、政治に夢中になり、政治に関わっていけばいいわけだ。

知性(学問)にしろ、権力(政治)にしろ、所詮はこういう立場だというのが、ウェーバーの論理だ。
そして小松はそういう論理を踏まえたうえで、他に方法はないか? と問うているわけだ。
考えてみたらどうですか?


ipsilon at 16:42  
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