小説『エロス、夢世界で戯れる』宇宙シリーズ【外伝】

2014年07月06日

――アイシャ、あたしは嬉しいよ。あんたが期待どおりのことをしてくれたんだからね。少しばかり、悪戯がすぎたような気はするけど、悔いはないのさ。あたしがあんたに目をつけたという選択眼が間違ってなかったことも証明された。そう思うさね。
 あんたは強情なくらい「あたくしはアイシャなのです」と言っていたが、あんたはヘラでもありアイシャでもあったのさ。あのアプロディーテーが、美と愛の女神であり、魔女でもあったようにね。そう、人というものは、時と場合によって神にもなれば、悪魔にもなるのさ。そうしたことを頭で考えると混乱しちまう。だから、トネリコの杖だとかヘーゼルの杖だとかいった、目に見えるものにして、昔ばなしという神話を作っちまったのが人間てものなのさ。べつにあの二本の杖がただの棒でも、何の問題もなかったのさ。ヘーゼルであるからこういう力を持ち、トネリコであるからこういう力を持つ。そんな考え方こそが、狂った連中の戯言ってわけさね。
 そこには人間がいた。そいつらはこんなことを考えて、こんなめにった。良いこともあったし、悪いこともあっただろう。――なにかこれを上手く伝える方法はないものだろうか? きっとそう考えたのさ。そこででき上がってきたのが神話ってわけさね。だけども、馬鹿な連中ってのは、どこの世界にもいるんだよ。そいつらは、本当に神がいたと思い込んじまったのさ。そうして、昔ばなしの良い部分だけを持ち出して、そいつをはやしたて、崇拝し、拝み倒すようになっちまったのさね。とぼけた連中だよ。いってみれば、アグリオスという男は、そういう罠にずっぽりはまっちまった可哀そうな男だったのさ。ちょっとしたあたしの悪戯でいい思いができて、あいつも楽しかったんじゃないかい。あたしはそう思うよ。生れてこのかた、どきどきするとか、ときめくことひとつ知らなかったんだからね、あの男は。可哀そうな奴でもあったのさ。まあいい、逝っちまった奴のことを悪しざまに言うほどあたしも邪険じゃあないからね。
 ともかく、馬鹿な連中はいたのさ。それもたくさんだ。終いにそいつらは、もともとあたしらの中にあった神っていう名の善意を自分の外に作り出しやがった。そうだねえ、十字架にはりつけにされたキリストとか。十字架そのものとか、神が説教をしてくれている絵画なんかを指して、「これこそが神だ!」とか言いだしやがったのさ。けれどもアイシャ、あんたは一歩たりとも自分から抜け出そうとすることはなかった。いささか強情にすら思えたけどね。あの、「あたくしはアイシャです」という言いぐさはね。けどそれでいいんだよ。あんたはあんたさ。アイシャ以外の何者でもないさ。誰かがそうじゃないっていってみろ。あたしがそいつを懲らしめてやるさね。本当さ。そう、あんたは全能の神ゼウスの妻になるような立派な女神ヘラだったのであり、アイシャでもあったのさ。あんたが言った、「わたくしでないもの」もあんただったってわけだ。口や体が勝手に動いてしまうことにはなんの不思議もないのさ。智慧ってやつさね。たしかに、経験したことのない奴らからしたら、ただただ戸惑うばかりなんだろうけど、一度その感覚を味わったことのある者なら、「あたしは正しいことをしている」っていう、どこからともなくやってくる、いいや違うね、自分の中から湧き上がってくる「あたしは正しいことをしている」って声が聞こえてくるのさ。聞えてくるんじゃあないな。全身そういう感覚に包まれるってのが、一番ぴったりくる感覚かな。目にしている風景も、そこにいる人も動物も草花も、いやそれだけじゃあない、土や砂、汚れて錆ついた鉄の壁ですら輝いて見えるんだよ、その瞬間には。アグリオスに言わせれば、きっとこういうだろうさね。――マレイカを押し倒したくなったときに感じた恍惚? そんなものじゃあないんだよ、君! って具合さ。そうそう、あんたが宇宙で喜びに満たされたときに感じたものがそれさ。良いこと悪いこと、好きなこと嫌いなこと、嬉しいこと悲しいことが、よりあわさったもので満たされるのさね。
 けれどもアイシャ、今夜見た夢は忘れちまいな。いつかまた湧き上がってきて、口と体が勝手に動き出すときはくるから。そのときは、その気持ちを素直に受け入れればいいのさ。あんたは、あんたが訴え続けたように、あたくしはアイシャという名前以外なにものも持たないということが、あんたの全てなんだよ。それだけを胸に抱いて信じればいい。そうしてくれたら、あたしはいつまでもあんたを愛し続けるし、大事にするよ。もちろん、からかったりはするけど、たくさんたくさん褒めてあげるさね。
 だけど、この世界のしくみってのは悲しいものでね、あんたが見た宇宙やあんたが見た世界は、なにひとつ欠けることなくアイシャ、あんたのものなんだよ。あたしのものでもないし、ましてやマレイカのものでもない。わかるかい? あんたはあんたの宇宙の中であんた一人で生きているのさ。そしてあたしはあたしの宇宙の中で生きているのさ。けれどもあたしたちは同じものを見て、似たようにものを感じるときがあるよね。でもそれはあんただけが感じられるあんたの宇宙なんだよ。それと同じように、あんたと同じものを見ても、あたしはあたしにしか感じられない宇宙を見ているってわけさ。それでも似たような気持ちになる。そのわけはねアイシャ、あたしとあんたの宇宙が重なりあうことができるってわけさ。ただし、ぴったり重なりあうことってのは不可能らしいんだけどね。偉そうに話してるけど、なあに、こんなことはあの白衣の男アグリオスに教えてもらったことなのさ。長いこと信じられなかったんだけど、いまは信じてることさ。この永遠のような眠りについたとき、あたしはアグリオスとも、マレイカとも、もちろんアイシャ、あんたとも紙一枚ずれることなく重なりあえることを知ったからさね。いつまでもこうしてずっと一緒にいられるし、あたしたちが思ったことがこれっぽっちもずれるなんてことはないんだからね。だから今もあたしの思念がそのままあんたに届くというわけさ。
 アイシャ、あんたはこのままずっと眠っていたいのかい? それともいつか目覚めてあたしやマレイカとともに、誰かのために尽くしてくれるのかい? そいつにどんな意味があるのかは、言わなくてもわかるよね? いいさ、答えなくていいのさ。あんたがなんて答えるかはもう知ってるからねえ。ただ黙って肯くのさ、あんたは。だけど、そのときがいつくるのかはあたしにもわからないんだ。いいや、知っているといえば知っているんだがね。しょせんあたしもあんたと同じ身の上なのさ。エロスはエロスでしかないのさ。聞こえたかい? アイシャ。
 とはいえ、そいつを本当の意味で実感するには、こんな風な思念ではできやしないことはあんたも知っているはずさ。だからそろそろ眠るよ。実はだね、本当のところ、あたしとあんた、いやそれだけじゃあない、マレイカやあの男とぴったり重なりあえるのは眠っているあいだだけなのさ。わかるよね、アイシャ。――なんだかあたしは嫌な女を演じてるみたいじゃないかい。意地悪な女みたいじゃないかい。まあいいさ、あたしは女でもないし男でもないんだからね。新星人ってのはけったいで気に入らない名前だけど、どうやらそういうものらしいよ。どこだったかな。そう、まだあたしも見たこともない星だけど、地球って星のとある国では、あたしのような奴を「目覚めた人」と呼ぶらしいんだがね。けれどもけったいな話じゃないかい。眠ってるあいだだけ「目覚めた人」になれるってのは。まあいい。全部忘れちまいな、アイシャ。どっちにしろあんたはなにもかも知ってるんだし、思い出すこともできるんだからね。
 そうさねえ、今度はあんたに夢の戯れの仕掛け人をさせてやってもいいさ。マレイカにやらせてやったっていいさね。あの男アグリオスにやらせてやってもいいのさ。まあいい。そのときがくるまで、あたしも眠ることにするよ。
 そうだ、忘れていたよアイシャ。あんたが信じる先に見つけ出そうとしたこと。それはね、あんたとあたしが離れていても、まるで一緒にいるみたいに感じるようなあたたかい気持ちになろうとすることさね。それじゃね、おやすみ、いい夢を見るんだよ、アイシャ。

〜完〜


もくじへ あとがきへ

―#8―



岩崎宏美/聖母たちのララバイ


にほんブログ村 哲学・思想ブログ 創価学会へにほんブログ村 小説ブログ 現代小説へ


ipsilon at 04:36コメント(0)トラックバック(0) 

2014年07月05日

 美と愛の女神アプロディーテーのおこした小さな騒動は、アイシャの智慧によって治められた。彼女は自分自身知りもしない力を行使して、岩壁の部屋でおこった記憶の一部を二人から消し去り、やがてアプロディーテーをともなって、ウルジュワーン根拠地を後にしたのだった。
「この宇宙は退屈なのです。あなたはそう言いましたが、本当にそうでしたか?」
「そうとも言い切れません、ヘラ様。一か所だけとても興味を惹かれた場所があったのです。青くて丸っこいものなのですが、ところどころに白い模様があって、その隙間から、あの丘にあった緑が萌えだしていた塊りがあったのです。あれは美しいものでした」
「それは地球のことでしょう。あなたがさっきいた星で見た人間というものたちがたくさん暮らしている惑星です」
「ほし、ちきゅう、わくせい、にんげん……男と女ですね!」
 アイシャは優しく微笑んでいた。
「そうです、男と女です。大人もいれば子供もいるのです。年寄りもいます。そうした人たちを人間というのです。惑星と呼ばれる地球です。――アプロディーテー、あなたはそこへいって学びなさい。きっと楽しいものがたくさん見つけられることでしょう。そう、たくさんです」
「よろしいのですか? 実はわたくし、またあの退屈な丘に戻るのがすこし嫌だったのです」
「あなたの気持ちはよくわかります。ですから、地球へいきなさい。あたくしはあの丘、トネリコの木のある丘へ帰りますので」
「ありがとうございます、ヘラ様。あたくし何だか少しわかってきましたよ。そわそわとは違う感覚がどんなものかを。わくわく。――わくわくというのですね。それではヘラ様ご機嫌よう! わたくしは参ります」
 アプロディーテーは、純白の羽衣を宇宙風に揺らし、紫と桃色の鱗粉をまき散らしながら、地球へと向かいはじめた。
「せっかちな女神、美と愛の女神よ、きっとあなたはさきほど口にした嫌というものにも出会うことでしょう。そして悲しみにも出会うことでしょう。胸をえぐるような深い悲しみに。しかし、恐れてはなりません。決して恐れてはならないのです。それを忘れないことです。聞こえましたか? アプロディーテー」
「大丈夫です! わたくしは恐れませんから!」
 ずっと遠くに離れてしまい、星に紛れてしまったような彼方から、美と愛の女神の思念が響いてきた。
 ――わたくしはあなたを信じます。わたくしにできることはそれだけですから。
 思念に耳を澄ますために目を閉じていたアイシャは、ゆっくりと瞼をあげると、みどり濃きトネリコの丘へむけての飛翔へと旅立ったのだった。
 ――あの場所は遠いのです。すこし眠りましょう。そしてわたくしはあの方の夢を見るのです。
「おやすみなさいませ、エロス様。しばらくのお別れですが、アイシャはいつもあなた様とともにあるのです」
 するとどうだろう、それまで輝きを失っていたトネリコの杖が強い光を放ち、宇宙に青緑色の流星が流れたかと思うと、もうそこには何も見いだせなくなっていたのだった。彼女は自分自身の眠りの中に帰っていったのだった。

「だらしのないエロス様、いくらお疲れだからといって、ベッドにもあがらずにお眠りになってしまうなんて」
 アイシャの目は、ベッドに腰をかけたまま居眠りをしている主人あるじにそそがれていた。
「こんなに体が冷えていらっしゃる」
 囁くような声にふと誰かの存在を感じたのか、エロスは低く小さな声をあげたが、目を覚ますことはなかった。
「さあこれを……」
 外套のように着重ねていたトーガを引きはがすと、アイシャはそれでエロスを包み、その身をベッドに横たえさせた。
「マレイカ……マレイカか……」
「まあ、いじわるなエロス様。ここにいるのはアイシャでございます。なんだか少し淋しい気持ちがいたします」
 そう言うと彼女は、大きなベッドで眠る主人の傍らに身を横たえてしまった。
「おしおきです。もっともこんなことをしたならば、おしおきを受けるのはわたくしのほうなのでしょうが。それでも構いません。いくらでもお受けいたします。ですから、側にいさせてください」
 アイシャは、エロスの長く伸びた薄紫の髪をなでながら、色白な顔をじっと見つめつづけていた。時間がたつという感覚を失いそうになるのを感じたとき、彼女もまた眠りに落ちていったのだった。

もくじへ 次話へ

―#7―


にほんブログ村 哲学・思想ブログ 創価学会へにほんブログ村 小説ブログ 現代小説へ


ipsilon at 21:09コメント(0)トラックバック(0) 
「なんだかひと仕事終わらせた気がしますわ」
 そう言ってアプロディーテーは、部屋の入口近くに椅子を移動させて腰をかけた。
「いったい何年ぶりだろうか、こういう気持ちになったのは。生まれてはじめてだ。なんだろうこの恍惚感というものは」
 愛欲に目覚めてしまったアグリオスが、ベッドに横たえられたマレイカの服に手をかけようとしたとき、
「なにをされているのですか、おやめください!」
 という声がした。
「ヘラ様! どうしてここに!?」
 アプロディーテーの視線の先に立っていたのは、眩くように輝いているトーガを身に纏ったアイシャだった。
「なぜヘラ様がここにおられるのですか?」
「なにをおっしゃっているのですか、わたくしはアイシャであります」
「なにをって、どこをどう見てもわたくしの目にはヘラ様にしか見えないのですが……」
「わたくしはアイシャです。アイシャ以外の何者でもありません。アイシャという名のただの女です」
 彼女は毅然としてそう答えた。
「おいおい、どうなっている? どうでもいいが、邪魔はせんで欲しいなあ。どちらにしても俺様はこれからお楽しみなんだからな」
 白衣の男は振り向きもせずにそう言いながら、マレイカの服をはぎとろうとしていた。
「おやめなされ、そこの男。その娘はわたくしの可愛い弟子であります。いかがわしく見えるあなたのような方に汚させるわけにはいかないのです! さてはアプロディーテー、あなたがあの男をあんな風にしたのですね。許されざることです」
 輝くトーガから青と緑の鱗光りんこうをちらつかせながら、ゆっくりと老婆のほうへ足を運びはじめたアイシャは戸惑っていた。
 ――あたくし、何を言っているのでしょうか。なぜだかわかりませんが、口と体が勝手に動いてしまうのです。
「その手にもっている杖。あなたはそれにどんな力が秘められているのか知っているのですか」
「ああ、これはその辺に落ちていた棒なのですヘラ様、ただそれだけのことなのです。それになんだかわからないのですが、妙に胸がそわそわして、この男を杖で打ってしまっただけなのです」
 アプロディーテーの傍らにやってきたアイシャは言った。威厳のある声で。
「そわそわですか。きっとあなたにはまだそれがわからないことでしょう。不安、恐怖、悪意、悪戯心、そんな言葉で説明されるものです。別の言い方をすれば、なんとなく不幸になってしまえばいい。そしてそれを見て楽しんでしまいたい。そういう気持ちをそわそわというのです。わかりましたか?」
「そうですか。――不思議な気持ちですね、そわそわとは」
「さあ、そのはしばみの杖をお貸しなさい、それは危険なものなのです。人をそわそわさせることが出来るのです。ついうっかりしたことに、旅の間にわたくしが失くしてしまったものなのです。ただのぼうではないのです。榛の木から作られた杖なのです。とても間違いやすいのです。榛などと呼ばず、ヘーゼルと呼べば混乱は避けられるのです。これからはそう呼ぶことにいたしましょう」
 アイシャはアプロディーテーを優しく抱きかかえながら話し続けた。
「さあもうこの仮面も外してしまいましょう。これは魔女ウイッチの仮面なのですから。魔女は、人を貶める存在なのです。今ここにはありませんが、死人の手を切り取って杖にしたものはとても邪悪なものなのです。いつかあなたにも見せてさしあげましょう。それと比べれば、ヘーゼルの杖はたわいのないものです。見えないものを見せたり、本来心にもないものを植え付けるぐらいの力しかもっていないのですから」
「ヘラ様、あたくしはまだよくわからないのです。あの丘にあったような楽しみに出会いたかっただけなのです。そうしてここまでやって来ました。二人の声が気になったのです。なぜだかわかりませんが、彼らのしていることを止めなければならない、ただそう思っただけなのです」
「アプロディーテーよ、あなたの気持はわかります。まだあなたは勉強不足なのです。あなたのしたことに間違いなどないのです。しかし、憶えておきなさい。わたくしたちは彼ら人間に干渉してはならぬのです。そう、学んできちんと対処できるようになるまでは。わたくしの言っていることがわかりますか? アプロディーテー」
「はい、わかります。ヘーゼルの杖は、つまりその、わたくしが正しい美と愛を知ってから使うべきものだった。そういうことなのですね」
「そうです、そのとおりです。自ら不幸になるような人間を救うためにあるのが、この杖なのです。むやみに人と人を愛し合わせるために使ってはならないのです。美と愛は自然のなりゆきのなかから生まれるものなのですよ。さあ、もうその仮面をおはずしなさい。魔女は悪意に満ちた存在なのですから。好きでもない相手を好きにさせたり、そんな気持ちもないのに、愛するがあまり、その人を殺してしまいたくなるような心を与える存在なのですから。素顔をおみせなさい、アプロディーテー」
「はい、ヘラ様」
 こくりと肯いた老婆は、くすんだみどり色の手をのばして仮面をはずした。すると、そこには純白の羽衣に身を包んだ女神の姿があった。
「なんだかわからんが、いい雰囲気じゃないか。それにこの香り、これは薔薇だな。いよいよやる気になってきたじゃないか!」
「やめてください! でないと本当に承知しませんよ!」
 怒気の込もったアイシャの声が部屋を振動させた。
「ヘラ様!」
「あたくしはヘラではありません、アイシャです。なんど言えばわかってくれるのですか?」
「でも、ヘラ様はヘラ様ですよ」
「あなたがわたくしをなんと呼ぼうがかまいません。ヘラと呼ぼうが、女と呼ぼうが、子娘と呼ぼうが、侍従と呼ぼうが、侍女と呼ぼうが、召使いと呼ぼうが、ヒトと呼ぼうが、人間と呼ぼうが、はたまた女神と呼ぼうがかまいません。しかし、わたくしにはアイシャという名前しかないのです。それ以外のものになれはしないのです。アイシャはアイシャでしかないのです。それ以外に説明のしようがないのです。――そうですね、わたくしの知る限り、トネリコの杖を振るう者は妖精学者フェアリー・ドクターと呼ばれることもあります。そう呼んでもらっても構いません。ですが、しつこいようですが、あたくしにはアイシャという名前以外、なにも持たない存在なのです」
「うるさいんだよ、女! 少し黙ってろ!」
「やめなさい! やめないというならば、実力行使も辞しません」
「やってみろよ!」
 アグリオスは構わず、マレイカの上着の留め具を外しはじめた。
「しかたのない人ですね」
 つかつかとベッドのほうへ歩みよっていったアイシャの手には二本の杖が握られていた。左手にヘーゼルの杖が、右手にトネリコの杖が。
「もう怒りましたよ、承知しません」
 ――あれでもこれ、どちらの杖がどちらだったかしら?
「ふへへへへへ」
 男が全ての留め具を外し終えて、自らも白衣を脱ごうとした刹那、
「ラミパスラミパスルルルルル〜!」という美しい音声おんじょうとともに、アイシャの手が振り下ろされた。
 ――あってたかしら? 確か右で良かったはずだけど……。
 するとどうだろう、アグリオスの体が、ぴくりと痙攣して忙しそうに瞬きをしたあと、
「私はなにをしていたんだ? それに、あんたたちは誰だい? 女神?」と言いだしたのだった。
「さすがヘラ様! それで、その杖はなんの木でできているのですか?」
「これはトネリコの木でできた杖です。そのうち教えてさしあげましょう、その意味を」
 そういってアイシャはにっこりとほほ笑んで見せた。その瞳は澄みわたった青空のような色を湛えていた。
「妖精学者……。わたくしもそうなりたいものです。魔女はもう懲り懲りです」
 アプロディーテーはうっとりとした表情でアイシャを見つめていたのだった。

もくじへ 次話へ

―#6―


にほんブログ村 哲学・思想ブログ 創価学会へにほんブログ村 小説ブログ 現代小説へ


ipsilon at 19:05コメント(0)トラックバック(0) 
 黄褐色をした岩壁いわかべに周囲をとりかこまれた部屋は、電子ノイズに満たされていた。天井まで届きそうな箱型の情報記憶処理装置データリンク・サーバは、様々な色の表示灯を明滅させ、飾り気ひとつない遺跡のような内部をほのかに照らし出していた。そこから這いでた何本かのケーブルは電子計算機コンピューターに繋がれ、またそこからのびたケーブルが電鍵端末キーボードへと繋がれていた。端末の傍らには、色鮮やかな図表を映しだしている大きな画面モニターが置かれている。ほかにはたいしたものは見当たらず、小さめのベッドが一台、部屋の隅にぽつりと場所を占め、デスクとセットになった椅子が一組みあるだけだった。
「あたくしは女でございます。なぜエロス様がマレイカをアグリオス様の侍従になさったのか、おわかりになりませんか!?」
「女であろうと、男であろうと、そんな事は関係ない! 君はただの召使いじゃないか。それがどうしたというのだ!」
「落ちついてください、アグリオス様。もう大きな声を出すのはおやめください。お願いですから!」
 白衣の男が問うた声も、侍従の女が懇願した声も、しおれて嗄声させいになっていた。
「よろしいですかアグリオス様、もういちど申します。あたくしは女でございます。その意味がおわかりになりませんか?」
「だから男であろうと女であろうと……」
 言い争いと格闘に疲れ果てた二人のあいだに、しばし沈黙が横たわった。
 ――どうしておわかりになってくださらないのかしら? あたくしがこんなに恥ずかしいことばを口にしているというのに……。
 マレイカは耳たぶから首筋を真っ赤に染めながらも、白衣の男から視線を逸らさなかった。
 ――意味といわれてもなあ。その意味がわからないから困っているというのに。この娘はいったい何がいいたいのだ? 女だから? 女だからなんだというんだ? 俺は男だ、男である。それは間違いはない。そしてこの目の前にいるマレイカは女だ。それも確実な科学的事実だ。男と女。だからなんだというのだ!? おとことおんな、マン・アンド・ウーマン 、呼び方などいくつでもある。少し変わったものであれば、メイル、フィメイル、そうだ科学的に言えば雄と雌とも呼ばれる。それがどうしたというのだ? 意味がわからない!
「とにかくそこをどけ! いいからどくんだ!」
「わかってください、アグリオス様!」
「ちょっとお待ちなさいな、あなたがた!」
 しわがれた声に打たれて、二人が振り向いた視線の先には、黒いフードをかぶった老婆の姿があった。その手にははしばみの杖が握られていた。
「あなたは誰です! 誰に断わってここに入ってきたのですか!?」
 すぐに反応したのはマレイカだった。
 ――おいおい、こいつはまずいじゃないか。エロスとの関係が暴露してしまったなら、私はきっと大司教に殺されてしまうのだから……。それにしてもこの教団員は見慣れぬ姿をしている。なによりも老けすぎているのは奇妙だ……。
 突然緊張状態におかれたアグリオスは、黙って相手の反応をみるかのようだった。
「なんだかよくわかりませんが、とにかく、交互に大きな声を出して、そんな不機嫌な顔をしてはなりません。仲良くしてください」
「なにを言っているんだ君は。いったい何が言いたくてここに来たのだ!?」
 マレイカ以上に意味不明なことをいう老婆の言いぐさに、アグリオスは怒りを再燃させて叫んだ。
「だいたい君になにがわかるというのだ? 君はただのツァオベラーだ。しかもかなり老けたツァオベラーだ。そして私はこの宇宙では超一流の科学者だぞ。そのことがわかっているのか?」
「かがくしゃ? わたくしにはよくわかりませんが、とにかくそんなに大きな声を出してはなりません。神に背くような行いであると感じるのです」
「神だと? 君は、われらがアメミット神のご意向を知らないというのか!? なんてざまだ。いいから来たまえ」
 そう言ってアグリオスは、老婆の腕を掴んだ。きっとこの女は、怨念を強化する一種の洗脳、人格操作の箍グラッジ・コントロールがはずれかかっているのだろう。白衣の男はそう思ったのだ。
「ちょっと、いたいじゃありませんか、その手を放しなさい」
「いいから来い、来るんだ」
「いたいですよ。いたいのです。手を放しなさい。この汚らわしき存在め! そもそもわたくしに触れるなど罰あたりというものです」
 なんだかわからなかったが、不愉快でそわそわした気分に襲われたアプロディーテーは、知りもしない呪文を口にしながら、杖をふりあげて抵抗しはじめた。
「こら、暴れるんじゃない、なにをしているんだお前は。マレイカ手伝うんだ、こやつは完全にたががはずれてしまっているかもしれないぞ」
「いけませんアグリオス様、この方は一応は女性のようです。女に暴力などなすべきではありません。であるのならアグリオス様、このマレイカを押し倒してお好きにしてくださいまし!」
「はあ!?」
 白衣の男が呆気にとられて、力を緩めた瞬間、アプロディーテーは、
「テクマクマヤコン テクマクマヤコン 美しく愛しあえ〜」と、詠唱したかと思うと、榛の杖を振り上げて、アグリオスの頭をぽかりと打ったのだった。
「なにをするのだ、気は確かか!」
「あら、ききめがないようですね、――では、これはどうかしら。イーサナリナ ニウュジヤ トトット!」
「そのおまじないなら知っていますわ! 後ろから読むのです。つまり、とっとと やじゅうに なりなさーい! ですね」
 マレイカが楽しそうな顔をしてそう言った。
「これもだめですか……」
 ため息をつきながらも、アプロディーテーにあきらめるような素振りは見られず、
「それでは――、スキトキメキトキス スキトキメキトキス 」と詠唱したあと、ふたたび榛の杖を振るった。
「これなら後ろから読んでも問題はありません」
 老婆は勝ち誇ったように、ぽくぽくとアグリオスの頭をたたき続けていた。
 するとどうだろう、榛の杖から紫と桃色をした光の粒が零れだしはじめたのだ。
「スキトキメキトキス スキトキメキトキス スキトキメキトキス えいやー!」
 いっそう大きなぽこり、という音が岩壁の部屋に響いた。
「おい女! というよりも老婆。お前には興味はない。――あるとしたら、そうだ、この若くてぴちぴちしている俺様の侍従だ。ふん! 貴様はまだ生娘だな。こいつはいい、ではいただくとしようか」
 アグリオスに愛の狂気が宿ってしまったのだ。
「そうですか。それでは、わたくしはここで見学をさせて頂きます。お二人はどうぞご自由に美と愛をお楽しみください」
 と、アプロディーテー。
「まあ、なんという展開なのでしょう。マレイカは気が違ってしまったのでしょうか。もうなにがなんだかわからなくなりました……」
「おい大丈夫か!」
 失神して倒れそうになった侍女を抱きとめたアグリオスは、そのままマレイカを抱き上げてにやにやしていた。
「まあいい、手間がはぶけたというものだ。――おい女、そこにいることは許してやろう。だけど、見るなよ!」
 白衣の男はそれだけ言うと、マレイカを抱き上げたままベッドへと向かって歩きだしたのだった。

もくじへ 次話へ

―#5―


にほんブログ村 哲学・思想ブログ 創価学会へにほんブログ村 小説ブログ 現代小説へ


ipsilon at 16:44コメント(0)トラックバック(0) 
 闇に染められた無窮の宇宙を、青と緑をした光の鱗粉をたなびかせながら、アイシャは進んでいた。透明な翼をはためかせることもなく。
「わたくし、どこに向かっているのかしら? でもわたくしの心は知っているのです」
 彼女は、光よりもはやく宇宙を飛翔していた。アイシャが出発したのは、アプロディーテーが旅をはじめた場所と同じだったが、彼女は迷うことなく海王星を目指して飛んでいた。
 濡れた睫毛のある閉じられた瞼を透して、胸もとで組み合わされた両手で、アイシャはエロスの居所を感じとれると思った。そしてそれを疑うことはなかった。ふとした瞬間、何かに導かれて目を開けると、そこには心躍る星々の世界があった。
 まるで、肉球のように並んだ猫の手星雲は、燃えるような絵画だった。どこか愛らしい顔で見つめかえしてくる、ふくろう星雲は蒼く霞のように浮かんでいた。あの丘で咲いていた薔薇がローズピンクの星雲になって萌えていることもあった。水色に輝いた、かに星雲は、金やだいだい翡翠ひすい色の糸が絡まった芸術的作品のようだった。虹色の幻想的な星雲には、この世界にある色がすべてあるように思えた。言葉を失うような絶景は、鍾乳石のようでもあり、馬がいなないているようにも見えた。
 星々の世界は想像の枠を遥かに超えて、彼女の心をしだいに喜びで満たしていった。歓喜が心におさまりきらないと感じた瞬間、アイシャは溢れんばかりの思いを超新星のよう爆発させることしかできなかった。喜びという光と悲しみという光に自由を与えたのだ。
 ――素晴らしい、すべてが素晴らしい! なんと美しい世界なのでしょうか。はじめて見るものばかりなのに、なんだか懐かしい感覚がするのはなぜなのでしょうか? 不思議でしかたがありません。なにもかも知っているような気がするのです。なぜわたくしはあの先に天の川銀河があり、太陽系があり、冥王星があり、その先にある海王星へ向かっていることがわかるのでしょうか? 確かに、わたくしは海王星で生まれ育ちました。ですけれども、両親の顔さえ知らない孤児でした。そうです、海王星で生まれたのかすら本当は定かではないのです。いったいわたくしは、どこからきてどこへゆくのでしょうか? それでもなお、この胸は、あらゆるものを知っていると囁くのです。いったいわたくしはどうなってしまったのでしょうか? それでもわかるのです。わたくしにはわかるのです。そう、本当のところエロス様は海王星のエルジュワーン根拠地にはおりません。いま、エロス様は、そこから出発された宇宙船の中でお眠りになっているのです。<アンドレイア・フィーリア>号の冷凍睡眠カプセルの中で、ゆっくりとお休みになっているのです。楽しい夢をご覧になっておられるのです。そしてこの先、エロス様は……。いけません、それを考えてはならないのですアイシャなどが。わたくしが知るべきことではないのです。ええ、知ることはできます。いいえ違うのです、思い描くことができると言えばいいのでしょうか。そうです、わたくしは知っているのです、エロス様の未来の行く末を。知りたい、知ってしまいたい。けれどもそれが悲しい未来に繋がっているのだとしたら、何一つ知りとうないのです。でも、知りたいという気持ちを抑えることもまた難しいのです。そうすれば、このアイシャがなにかエロス様の役に立てるかもしれないのですから。そうです、いま未来を知ることは不幸なことなのです。思い描いてみるにしても、しょせんはいまのわたくしが知る世界の中でしか思い描けないということが、未来を不幸にしてしまうような気がするのです。かといって、知らない世界を知り尽くすためには、今のあたくしなどには力不足だと感じるのです。なにかが、なにかが足りないと感じるのです。信じること。それはわたくしにとってはたやすいことなのです。しかし、その先にはきっと何かがあるのです。そしてそれは、こうして言葉にすることで儚くも失われてしまうと感じるのです。言葉にすることは、愛しきお方、エロス様のお名前さえ口にしてはいけないとさえ思うのです。ましてや、声に出して言おうものなら、粉々に砕け散って、きっと未来は永遠に失われてしまうのでしょう。声にさえできない悲しみとは、なんと辛いものなのでしょうか。声にできない悲しみに、わたくしは、アイシャは、耐えていけるものなのでしょうか。声にできないとても深い悲しみを、わたくしはどうすればよいのでしょうか。こんなことを考えてしまうわたくしは一体何者なのでしょうか? 自分自身がわからなくなりました。自分がとても遠く、とても深い悲しみに暮れていることだけはわかるのです……。
 「星々よ! この悲しみをどうすればいいというのですか? 答えてください!」
 アイシャの閉じられた目尻から、涙の滴が、ひとつぶ、またひとつぶと宇宙へ漂っていった。
 ――目を開けなさいアイシャ、目を閉じていることであなたの心は悲しみに支配されてしまうのですから。目を開けるのですアイシャよ! わたくしはわたくしなのです。アイシャはアイシャでしかないのです。ただ目の前にあるものを見つめ、ただこの脈打つ心臓に宿っていると思える心を信じるしかないのです。目を閉じてはなりません。目を開けるのです、アイシャよ。
 見開かれた彼女の瞳には、海王星が映っていた。
「わかりました、エロス様。あたくしがなにをするために此処へやってきたのかが。エロス様、アイシャはただなすべきことをなします。それが、きっとわたくしでないようなわたくしをも満足させるのでしょう。そう信じることにいたします」
 光の鱗粉を漂わせながら、海王星の衛星ネレイドにあるウルジュワーン根拠地に降り立ったアイシャに、もう迷いはなかった。
 手にしたトネリコの杖はまだわずかに青緑に輝いていたが、しだいにその光は弱まっていくようだった。

 
もくじへ 次話へ

―#4―


にほんブログ村 哲学・思想ブログ 創価学会へにほんブログ村 小説ブログ 現代小説へ


ipsilon at 04:25コメント(0)トラックバック(0) 
プロフィール

イプシロン(シンジ)

カテゴリ別アーカイブ
記事検索
最新コメント
ギャラリー
  • 小自分史(1)
  • Thank you my girl
  • 。゚(゚´Д`゚)゜。ウァァァン
  • 勝利のアクビ
  • 一瞬の憩い
  • 笑顔は美しい
  • 4つ目の自分
  • 4つ目の自分
  • 3つの自分
  • アリイ 1:48 三菱零式艦上戦闘機52丙型(a6m5c)
  • ハセガワ 1/700 病院船「氷川丸」 竣工
  • フジミ 1/72 空技廠 零式小型水上偵察機(E14Y) 完成
  • ハセガワ 1/700 重巡洋艦「古鷹」 完成
  • スケッチ アミダラ女王
  • 静止した時間
  • 蝶
  • 祈り
  • チャム・ファウ
  • どこかのお家の猫ちゃん
  • 「みちくさ」
  • ザハロワは美しい!
  • デジ絵「星座と少女」(完成)
  • チュチュがじゃまだよ〜
  • アティチュード
  • 瀕死の白鳥
  • デジ絵「夏の風」(完成)
  • デジ絵「風」(完成)
  • デジ絵 ランカ・リー(完成)
  • 栗木さん 応援イラスト
  • イラスト「天使」
  • 水彩画 愛嶋リーナ 完成
  • 水彩画(デジタルリタッチ)「graduation 」
  • 水彩画(デジタルリタッチ)「アメジストの祈り」
  • 水彩画(デジタルリタッチ)「初雪」
  • 水彩画 愛嶋リーナ
  • デッサン 愛嶋リーナ
  • 水彩画 アリスとネズミ
  • イラスト アリスとドロシー
  • イラスト 眠そうなネフェルタリ
  • スケッチ 微笑の国の人
  • なんでだろうう? と思うこと
  • スケッチ アソーカ・タノ
  • スケッチ ライオン
  • 3DCG X-Wing fighter
  • 3DCG X-Wing fighter
  • 3DCG 缶コーヒー"カフェバニラ"
  • 3DCG 習作 インダストリアル物
  • 3DCG 習作 インダストリアル物
  • 3DCG 習作 インダストリアル物
  • 3DCG 習作 インダストリアル物
  • 3DCG 習作 インダストリアル物
  • 3DCG 習作 インダストリアル物
  • 3DCG 習作 インダストリアル物
  • スケッチ 騎士の左腕
  • アーソウカ、、だった!
  • スケッチ 懐かしのアイツ
  • ニャンとも言えない気持ち
  • 旧作 ペン画
  • デッサン ドイツ兵 in 1944
  • 水彩イラスト ニホンカモシカ
  • デッサン アフリカゾウ
  • 水彩画「水辺の豹」
  • 習作デッサン「豹」
  • 旧作 Gジャンガール
  • イラスト「蜜虫」
  • 「ネフェルタリと豹」下絵
  • イラスト「ネフェルタリ」
  • 水彩画 「装身具をといたクレオパトラ」
  • デッサン+色鉛筆 眼
  • スケッチ 「装身具をといたクレオパトラ」
  • 習作 ネフェルタリ 下書き
  • デッサン 眼
  • デッサン途中 布の研究
  • 旧作 F-4E"Phantom2 & F-5E"Tiger2"
  • 旧作 F-4E"Phantom2 & F-5E"Tiger2"
  • デッサン チャイナドレスの子
  • スケッチ クレオパトラ
  • 水彩画 死せるクレオパトラ
  • スケッチ クレオパトラ
  • デッサン 小野田寛郎さん
  • デッサン 猫
  • デッサン Diane Kruger
  • デッサン ベッキー・クルーエル
  • デッサン 中澤裕子
  • ベッキー デッサン
  • 萌えキャラ 線画 修正 その1
  • 萌えキャラ 下塗り
  • デッサン 杉崎美香 8時間目
  • 習作 フォトショップ 萌えキャラ風塗り
  • デッサン 杉崎美香 6時間目
  • 欝
  • 習作 水彩 その1
  • デッサン 杉崎美香 4時間目
  • 習作 小池栄子 その1
  • 習作 杉崎美香 その4
  • 習作 Face
  • 習作 Formula 1
  • 習作 Formula 1
  • 習作 Formula 1
  • 習作 Formula 1
  • 習作 杉崎美香 その3
  • 習作 杉崎美香 その2
  • 習作 その4
  • 習作 杉崎美香 その1
  • 習作 その2
  • 習作 その1
  • 習作 その1
  • 習作 その1
  • 好き好き大好き
  • 電話中
  • βズガイキング
  • モー様の絵 ハケーン!(笑)
  • Mクン 見っけた!(笑)
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ